カワサキ「ニンジャ 1000SX」解説&試乗インプレ〈太田安治〉
理想的なパッケージで走りもコスパも最高!
ニンジャ1000に初試乗したときの驚きは鮮明に覚えている。ツーリングを含めた普段使いでの快適性と、大排気量車らしいダイナミックなスポーツ性能のバランスが自分の用途と好みに完璧にマッチしていたからだ。初代を新車で購入してから8年間で3万7000km乗ったが、いまだに飽きることも不満を感じることもない。
その後ニンジャ1000は2014年に2代目、2017年に3代目へとモデルチェンジしたが、個人的には乗り換えたいと思うほどではなかった。ただ、今回の4代目は大いに気になっている。僕が勝手に想像していた「ニンジャ1000の理想の進化形」が、そのまま現実になって登場したからだ。
乗ってまず感じるのがFI制御の緻密さ。スロットルの開け始めと閉じた瞬間に僅かに感じた唐突さが消え、公道で常用する低中回転域で少々ラフに操作してもギクシャクせず滑らかに反応する。4000回転近辺でのトルク感が高まり、中間加速の力強さを増したこもあり、さらに疲れない特性になった。
高回転域まで回し込んだときの従来型との違いはさほど感じなかったが、もともとスポーツツーリングモデルとして充分過ぎるパワーを持っているエンジンだけに、不満などあるはずがない。フル加速時に響く豪快な吸気音もニンジャらしい魅力だ。
トラクションコントロールと出力特性を設定できるライディングモードは刻々と変化する路面状況でも安心でき、アンチロックブレーキシステムもコーナリング中のブレーキングまで制御する高機能タイプ。
今回は自分のニンジャでも走り慣れた峠道で試乗したが、荒っぽいブレーキングやコーナー立ち上がりのフル加速でも各種の制御が介入する不自然さはまったくなく、前後タイヤのグリップをしっかり感じ取れるから、自分自身のセンサー能力とコントロール技術が上がったように感じるほど。
それでいてツーリングやクルージングペースでの快適さが底上げされているのも見事。これまでとは比較にならないほど大幅な進化を遂げている。
灯火類のフルLED化やグリップヒーター、DC電源ソケット、ETC2.0、ヘルメットホルダー、座り心地のいいシートなど、僕が自分のニンジャに後付けしているアイテムがすべて標準装備され、スマホとのブルートゥース接続もできるTFTメーターやクルーズコントロール、クイックシフターまで装備。
税抜き車両価格は初代より11万円ほど上がったが、内容を考えれば「超」が付くほどお買い得。ニンジャ人気が再燃しそうだ。
カワサキ「ニンジャ 1000SX」主なスペックと価格
全長×全幅×全高 | 2100×830×1190mm(ハイポジション時1225mm) |
ホイールベース | 1440mm |
最低地上高 | 135mm |
シート高 | 820mm |
車両重量 | 236kg |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 |
総排気量 | 1043cc |
ボア×ストローク | 77.0×56.0mm |
圧縮比 | 11.8 |
最高出力 | 104kW(141PS)/10000rpm |
最大トルク | 111N・m(11.3kgf・m)/8000rpm |
燃料タンク容量 | 19L |
変速機形式 | 6速リターン |
キャスター角 | 24.0゜ |
トレール量 | 98mm |
タイヤサイズ(前・後) | 120/70ZR17M/C (58W)・190/50ZR17M/C (73W) |
ブレーキ形式(前・後) | Φ300mmダブルディスク・Φ250mmシングルディスク |
メーカー希望小売価格 | 148万5000円(税込) |