「ADV150」は高速道路も快適! 長旅でこそ光るその万能性
時速100kmを超え、まだじわじわと速度を上げていく。
「いったい何キロ出るんだ? ADV150!」
最高速が分かるかもしれないと思い、選んだルートは新東名高速の制限速度120km/h区間だった。
メーターは110km/hを表示。さらにまだ伸びていく。111、112、113、114、115、114、115、114、115、114……「115キロでリミッターがかかる!?」115km/hに達すると押し戻されるように、リミッターが働いた。
僕としては予想以上、充分すぎるほどの高速巡航性能だった。トップスピードまで、身体を伏せたりすることもなく、平然と速度を上げていく。直進安定性が高く、タイヤのグリップ感もあり、風はほとんど身体に当たらない。総じて、149ccのバイクとはとても思えないほどに、快適。
しかも、見た目のコンパクトさとは裏腹に、ゆったりと乗れる。身長175cmの僕は、ハンドルにもフットボードにもシートにも窮屈さを覚えず、サイズ感はジャストフィットと思えるものだった。
東京から首都高→東名→新東名を経て、向かった先は静岡県浜松市のキャンプ場。ADV150を初めて見たとき、「何てキャンプツーリングに適していそうなバイクなんだ!」と感激した。その予感は的中。
ADV150に積んだシートバッグは容量25Lの小ぶりなもの。入りきらない道具はすべてシート下のラゲッジボックスに収まった。ちなみにリアシートの積載性も優れていて、トップケースやキャリアを装備することなく大荷物を積むことができる(あればより便利だけどね)。
また、キャンプツーリングでは必ずといっていいほど数百メートルは未舗装路を走ることになる。ここでもADV150は万能性を発揮。フロントフォークはクラス最長130mmのストローク量を確保。リアは120mmのストロークを確保したリザーバータンク付きのツインショック。専用デザインのブロックパターンタイヤの性能も相まって、ちょっとしたダートならものともせずに、ずんずん進んでいける。
テントを設営し、夕食の準備を終えると日が暮れてきた。焚き火の爆ぜる音を聴きながら、ボーっとする贅沢な時間の始まりだ。空には星が輝き出し、月明りとランタンがバイクを照らす。ADV150はよく見ると、とっても男前な顔をしている。
コミューターとしての実用性がフォーカスされがちだが、一日中あらゆる道を走って、立派なアドベンチャーバイクだと分かった。通勤・通学に便利なのはもちろんだけど、このバイクは旅でこそ真価を発揮する。きっと所有して街乗りをしたら、すぐにロングツーリングに出かけたくなるはずだ。
平均燃費は高速道路のみの走行で30km/L前後。後日別の機会で走ったとき一般道では40km/Lを超えた。燃料タンク容量は8L。計算上では、一般道なら300km以上のの連続走行が可能。
これは僕の予想だが、今後、北海道を目指す旅人や日本一周ライダーにも支持されるはず。それだけのポテンシャルをADV150は持っている。
文・写真:西野鉄兵
「ADV150」のイイところ!
ホンダ「ADV150」主なスペックと価格
全長×全幅×全高:1,960×760×1,150mm
ホイールベース:1,325mm
最低地上高:165mm
シート高:795mm
車両重量:134kg
エンジン形式:水冷4ストOHC単気筒
総排気量:149cc
ボア×ストローク:57.3×57.9mm
圧縮比:10.6
最高出力:11kW(15PS)/8,500rpm
最大トルク:14N・m(1.4kgf・m)/6,500rpm
燃料タンク容量:8.0L
変速機形式:無段変速式(Vマチック)
タイヤサイズ(前・後):110/80-14M/C 53P・130/70-13M/C 57P
ブレーキ形式(前・後):シングルディスク・シングルディスク
メーカー希望小売価格(消費税10%込):45万1,000円