語り:伊藤真一/まとめ:宮﨑健太郎/写真:松川忍/モデル:大関さおり
伊藤真一(いとうしんいち)
1966年、宮城県生まれ。88年ジュニアから国際A級に昇格と同時にHRCワークスチームに抜擢される。以降、WGP500クラスの参戦や、全日本ロードレース選手権、鈴鹿8耐で長年活躍。2020年から監督として「ケーヒン ホンダ ドリーム エス・アイ レーシング」を率いてJSB1000などに参戦!
CB1000Rの走行モードの使い分けは?
トラコンなど電子制御の仕上がりは極めて良好。あらゆるライダーがその高性能ぶりを満喫できる!
この連載でCB1000Rを取り上げるのは2018年以来ですが、このモデルは非常に気に入っている1台なので、再び取り上げることを楽しみにしていました。
今年に入っての変更は、カラーバリエーションの追加ということで、今回の試乗車の「白」がラインアップに加わりました。
白の追加とともに、足まわりやトップとボトムブリッジがブラックアウトされ、燃料タンク上面にストライプが各色共通仕様として採用されましたけど、この白は艶が抑えられていて上品で、全体の質感的にもとても良い仕上がりだと思いました。
近年、ホンダ車は発売前のリリースにニューフィーチャーとして特筆されていなくても、細部の仕上がりがブラッシュアップされていることがあるので、今回のCB1000Rもそれを期待(?)していたのですが、このCB1000Rについては格別そういうことはありませんでした。
ただ、エンジンは若干以前の型よりもスムーズな印象になった気がしますが、それは大きな差ではないですね。元々エンジンの完成度は高いので、大きく改めるところはなかったのだと思います。
CBR1000RR(SC57)のエンジンを元に、中低速のトルクをアップしたエンジンをCB1000Rは採用しています。最高出力はSC57からかなり下げた145馬力ですが、一般道でのスポーツモードではパワフルすぎるくらいです。まぁサーキットを走らせたりするときは、馬力があった方が楽しめますけど、一般道を走るならばスタンダードモードで十分ですね。
そのほか、スタンダードよりマイルドなレインモード、そして任意の設定が可能なユーザーモードが選択できますが、基本的には常にスタンダードを選択すれば、街乗り、ツーリング、そしてワインディングと、あらゆるシチュエーションで走りを楽しむことができます。
スポーツ、スタンダード、レインそれぞれのモードでの、エンブレやトラクションコントロールの効き方は適切で、電子スロットル含め電子制御の仕上がりは非常に良いです。
ライディングポジションはちょっと前傾ですが、スーパースポーツよりははるかにアップライトなポジションなので、万人が高性能をリラックスして楽しめるバイクだと思います。