機能と精度、ルックスのそれぞれを高める現行GSX-R用パーツ
今でこそカスタムシーンに当たり前にある、各種削り出し(ビレット)パーツ。NCマシニング=数値制御工作機(numerical control machining)に入力された座標データによって、アルミのブロック材を加工=削って、必要な形を作ってできあがるパーツだ。
例えば、ステップキットやキャリパーサポート、エンジンハンガーといった、強度が必要でかつ、削り出しの加工ラインがドレスアップ効果も生む点。質が高く、製品ごとの誤差がなく作れる点。細かい段差や中ぐりなどの複雑な形状にも対応する点(文字入れやロゴ入れもできる)。また鋳造やプレスのような大量生産と異なって文字通りにひとつひとつ作り出される点なども、カスタムには向いている。
ところでアグラスでは、現行スズキGSX-R1000Rにも多くの削り出しパーツをラインナップする。カタログや同社HPを眺める限りではどの機種用も同じように見えるから、マウントだけ換えているのでは? という気持ちも起こるが、それは違った。
「確かにどのモデルも同じようなラインナップと見えますけど、どれも現車を用意して、機種ごとの部分に合うような作りにしています。ステップの場合はポジションが複数選べるのも早くから着手していましたが、これもライダーの好みや体格と、条件の違い=ハンドルがノーマルか、変わっているのかどうかなどに合わせやすくするため。
それにステップなら見栄えも機能も良くしたいでしょうから、換えてもらってシフトタッチが悪くならないように。あとは足を載せた時の感覚などの味付けも意識しています。それでステップバーも複数ラインナップしているんです。
スライダー類に関しても、樹脂のスライダー本体は同じでも、マウントベースはただボルト位置を合わせているだけでなくて、どうすればより車体に沿わせられる/寄るか、ダメージが減らせるかも考えて設計・製作しています。NCがウチの中核ですから、それで削り出して作れるものは作って、使ってもらえればという姿勢です。カラーオーダーもお好きな色でまとめたり、アクセントにも向くので使ってもらえてると思います」(アグラス/開発担当・久保山さん)
アグラスではこうした自社パーツをそのまま装備した車両で毎年末の鈴鹿サンデーレースに参戦し、4連覇(’16/’17年はYZF-R1、’18/’19年はGSX-R1000R)を遂げている。これも市販パーツをそのまま装着、300km/h出せる場での商品開発として役立っている。
小さなキャップ類から、マシンコントロールのキモとなるステップまで、作れるNCパーツを極力作ろうとするアグラスの姿勢。GSX-Rのみならず、パーツを目にした各車両オーナーにも響くのではないだろうか。
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