BMW GSシリーズが持つ特別なオーラ
高速道路を走っているGSを見ない週末はない。そのくらい走り回っている。
売れている数もさることながら、オーナー達の総走行距離を想像すると、どんなバイクよりも多いかもしれない。
したがってGSオーナー=ベテランライダーと思ってしまう。例えば「日本一周したことありますよ。毎年2回ずつ」「その間、全部テント泊」みたいな、俺の勝手なイメージ。
そんなGSの魅力を列記しよう。
全体的にゴツゴツしてて強いイメージ。
同時にどこまででも走れそうなくらい頼もしい。
なのにBMWなので知的マッチョに見える。
例えば「自分がパンクして困っている時に、通りかかって欲しいバイクナンバー1」は間違いなくGS。助けてもらえる可能性、期待感がMAX。
「パンクですか? 修理道具持ってますから。はい、直りました。困った時はお互い様」
ブブーンと去って行くGSの後ろ姿。
もはやそのオーナー達は人間的にも素晴らしい方々だと思ってしまう。
アドベンチャーバイクの帝王の名を欲しいままにして、外観的にも性能的にも世界トップランクのBMW R1200GS。なのだが、俺が思うGSの最大の魅力はオーナーをスーパーヒーローに変身させるマジック。
例えば大型二輪免許取り立ての新人ライダーでも、GSに跨がれば「この人はデキるライダー」に見える。特にBMW純正のラリースーツを着れば、もうスーパーライダーに変身。いや実際にそう見えるから凄い。
「走り出したらボロが出る」って思っているだろ。ところがGSはこの外観からは想像できないくらい運転しやすい。俺の場合は「GSに乗るんだー」と力んで走り出したら乗りやすくて肩すかし的にビックリ。
タンクの細い「ノーマル」モデルと、大容量タンクの「アドベンチャー」モデルがあるが、この手のバイクが好きなライダー達が「アドベンチャー」を選ぶ理由がよく分かる。そのくらいじゃないとGSらしい乗りごたえが楽しめないのかも。
ちなみに上の写真のライダーはGSオーナーの本物ベテランライダー。上手に見えるのは俺の腕じゃなくて、彼の腕前。
さて、今回の写真は富士山とGS。余計なものが写らずに、ここまで寄せて撮れる秘密のスポット。実際にはかなりボリュームのある車体だが、そう見えない写真はGSの乗り味のイメージに近いのかも。
写真・文:柴田直行
柴田直行/プロフィール
柴田直行 しばたなおゆき
1963年3月生まれ
横浜市在住
オートバイとライダーをカッコ良く撮るのを生業にしているカメラマンです。
ホンダVT250Fが発売になった1982年(19歳の頃)にオートバイブームに乗じて雑誌編集部にバイトで潜入。
スズキGSX-R750発売の翌年1986年に取材のため渡米。
デイトナでヤマハFZ750+ローソンの優勝に痺れてアメリカ大好きに。
ホンダCRM250R発売の1994年に仲間とモトクロス専門誌を創刊して、米国系オフロードにどっぷり。
カワサキニンジャ250が発表された2007年から、ゴーグル誌でも撮影を担当し現在に至る。
オンでもオフでも、レースでもツーリングでもオートバイライフが全部好き。