「READY TO RACE」のキャッチフレーズでおなじみのKTMが誇る、オンロードモデルのフラッグシップが1290スーパーデュークR。2020年モデルは新作のシャシーを投入、これに合わせて電子制御デバイスも大きく進化、パフォーマンスを大幅に向上させての登場となった。

KTM 「1290 SUPER DUKE R」 試乗インプレ&解説(宮崎敬一郎)

扱いやすい面も魅力だが本質は獰猛な「ビースト」

画像: KTM 1290 SUPER DUKE R 総排気量:1301cc 最高出力:180PS/9500rpm/最大トルク:14.3㎏-m/8000rpm メーカー希望小売価格:税込217万9000円

KTM 1290 SUPER DUKE R

総排気量:1301cc
最高出力:180PS/9500rpm/最大トルク:14.3㎏-m/8000rpm
メーカー希望小売価格:税込217万9000円

1290スーパーデュークRはKTMのトップスポーツモデルで、同社が誇る最強のスポーツエンジン、1301㏄のLC8を搭載する。このLC8はアドベンチャースポーツ、ツーリングスポーツにも搭載され、変幻自在の拡張性と信頼性が魅力のエンジンだ。

もちろん、このスーパーデュークR用のLC8は電子制御アシスト機構とシンクロした専用の味付けがなされている。ただ、ネイキッドモデルとしては最強レベルの180馬力だ。そのキャラクターは、ひと言で言って「とにかく勇ましい」。

画像1: KTM 「1290 SUPER DUKE R」 試乗インプレ&解説(宮崎敬一郎)

決してピーキーではないが、5000回転からトルクが強烈になり、8000〜9800回転が力の核になる。この一連の繋がりが非常に滑らかで、パワーモードをもっとも過激なものにしていても応答は優しい。

使いやすいが、その時のLC8の主張は凄まじい。100km/h・6速のおよその回転数は3100回転。5速だと3800回転。ここら辺までは全く振動がないのだが、スロットルのワイドオープンで豹変し、排気音とパルスが一気に増大する。

その感触は、穏やかで角の丸いパルスを発する英国製ツインや、粘りのあるアメリカン系のビッグツインとも違う。ドゥカティほどではないが、硬いパルスで獰猛に吠えるのだ。そして、吠えた時の加速は強烈。その瞬発力はNA(いまや過給エンジンがあるので)ネイキッドとしては最強かもしれない。

画像2: KTM 「1290 SUPER DUKE R」 試乗インプレ&解説(宮崎敬一郎)

フレームは新設計。強度が大きく上がったせいか、切り返しなど身のこなしは一段と軽くなった。前後サスはスタンダードのセッティングでもかなりスポーティ。設定プリロードも重くて大きい欧米人向きだ。大方の日本人なら、体重や使う速度レンジを考えて、プリロードを抜く方向でセットアップすればいいと思う。

ボクの場合、リアのプリロードはスタンダードから2.5ミリほど弱めたところがベストだった。乗り心地優先のセッティングだが、日本のおおかたの峠道なら破綻することなく、かなりハードなスポーツライディングができる。スタビリティもいい。ちなみに、許容リーンアングルはスーパースポーツ並みに深く、少々ヤンチャな走りをしても路面に弾かれることはない。これも光る魅力だ。

画像3: KTM 「1290 SUPER DUKE R」 試乗インプレ&解説(宮崎敬一郎)

KTMがつけたこのバイクのニックネームは「ビースト」…その名の通り「野獣」だ。エンジンの咆哮やみなぎる瞬発力などは、まさしく野獣を連想させる。

もちろん、このスーパーデュークRはストリート走行やツーリングを快適にこなすことだってできる。だが、穏やかで気の休まるような走りを求めるのは少し違う気がする。いつでも臨戦態勢で、乗り手の心を煽るエンジンには、闘争心が目をさましたときに余裕で応えるポテンシャルがあるのだから。コイツはキラリ、いやギラリとした個性が光るストリートモンスターなのだ。

KTM 「1290 SUPER DUKE R」 主なスペック

全長×全幅×全高:NA
ホイールベース:1497±15㎜
最低地上高:160㎜
シート高:835㎜
車両重量:189(燃料除く)㎏
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブV型2気筒
総排気量:1301㏄
ボア×ストローク:108×71㎜
圧縮比:NA
最高出力:180PS/9500rpm
最大トルク:14.3㎏-m/8000rpm
燃料供給方式:FI
燃料タンク容量:約16L
キャスター角/トレール量:NA
変速機形式:6速リターン
ブレーキ形式 前・後:φ320㎜ダブルディスク・φ240㎜ディスク
タイヤサイズ 前・後:120/70ZR17・200/55ZR17

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