快適かつスポーティで、しかも転ぶ気がしない!
どんな悪路でも安定性を失わず、誰もが今まで味わったことがないコーナリングが可能になる――それがヤマハが開発した、前2輪/後1輪のスリーホイールモデル・ナイケン。
では一体、この見たこともない独特なメカが何に役立つのかと言うと、それはロングツーリング。フロント2輪が生み出す安定性は、実はクルージングでの快適性に直結するキャラクターなのだ。
ナイケンのエンジンはMT-09譲りのハイパワー並列3気筒。ただし、MT-09に比べて70㎏ほども重い車両重量では、驚くようなハイパワーは感じられず、やはりこの異次元ハンドリングこそがキモ。
乗り出しこそフロントに重さを感じさせるが、一度走り出してしまえば、フロント2輪ならではの、路面にへばりつくような圧倒的な安定性を味わうことになる。
もちろんこのフロント2輪は、街中の渋滞路ですら難なくこなす。操舵に粘りがあり、何があっても転倒しないんじゃないかと錯覚させるほどのロードホイールディングだ。
それが、いざ高速道路に駆け上がってクルージングを始めると、さらに車両全体が道にへばりつくような走りとなり、道路の継ぎ目を乗り越えたのすら感じないほどの快適性を感じることができる。まさにここが、ヤマハが心血注いで完成させたナイケンのフロント2輪メカなのだ。
このフロント2輪の圧倒的な接地性能は、実はスーパースポーツをしのぐほどのコーナリングスピードすら可能にしてくれるもので、その意味ではスポーツ性と快適性を最高レベルでバランスさせた異形のオートバイなのだ。
タイプ追加されたナイケンGTは、ハイスクリーンやグリップヒーター、センタースタンドや専用シート、トップケース装着を考えたグラブバーも標準装備。これは、ヤマハも想定していた以上にツーリングユースのオーナーが増えている?
ヤマハ「ナイケン」「ナイケンGT」の主なスペック
※《 》内はNIKEN GT
全長×全幅×全高 2150×885×1250《1425》㎜
ホイールベース 1510㎜
最低地上高 150㎜
シート高 820《835》㎜
車両重量 263《267》㎏
エンジン形式 水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒
総排気量 845㏄
ボア×ストローク 78×59㎜
圧縮比 11.5
最高出力 116PS/10000rpm
最大トルク 8.9㎏-m/8500rpm
燃料供給方式 FI
燃料タンク容量 18L
キャスター角 20°
トレール量 74㎜
変速機形式 6速リターン
ブレーキ形式 前 シングルディスク 後 シングルディスク
タイヤサイズ 前 120/70R15 後 190/55R17
まとめ:オートバイ編集部/写真:赤松 孝、南 孝幸