取材中の絶景の模様、三橋 淳とアフリカツインのダイナミックな走行シーンは、随時このように動画でもご紹介していきますので、こちらもお楽しみください!
※本編でご紹介している写真、動画の撮影は、全て車両通行可能な場所で行っております。
やっぱりダートを走りたい! ということで移動!
道の駅で迎えた朝は晴れていた。天気予報は雨だったじゃねーか!
予報のあまりの外れっぷりに半ばキレながら、どうするか暫し考える。
…昨日のコムケ湖を撮り直すか? はたまた次のエリアに行くか? この判断は本当に難しい。ましてこれだけ不安定な天気の中、ピンポイントで晴れ間を当てるのは至難の技だ。
悩んだ挙句、次のエリアに向かうことにした。と言うのも、今いる場所は晴れてはいるけれど、雲が多めだったから。目指すはサロマ湖の東側にある岬、能取岬だ。
そう聞くとカンのいいライダーは「ああ、あそこね」なんて思うかも知れないが違うんだなぁ。確かにここはツーリングマップルの表紙を飾った事もある絶景なのだが、実は、前にエサヌカ線を撮っていた時に「もうアスファルト路面はいいかな…」って思いはじめていたのだ。
やっぱりアフリカツインと三橋淳のコラボなんだから、とことんオフロードにこだわった方がいいよね、と考えるようになったのだ。で、その能取岬の手前にある能取湖が今日のターゲット。なんでも潮干狩りのエリアでもあるらしいのだが、ここのダートもいい感じではないかと踏んだのだ。
コムケ湖といい、この能取湖といい、元々は海だったのが切り離されて湖になったものらしいが、漁業のために海と連結させているんだそうだ。というわけで、湖の水は海水なので、潮干狩りができるというわけ。
現地に着いたが、曇ってるよ…。雨こそ降らないけど、曇ってる。こうなるともうお手上げだが、一応撮影しておく。
なんだかコムケ湖とにたような景色になってしまった。
そりゃそうだ。おんなじエリアなんだもの。湖と湿原と海のコラボレーション。しかもダート入り。普通に考えたら、こんなロケーション、なかなかないんだけどね。
コケそうになってふと思う「ラリーバイクらしさ」
ここで、拠点にしたパーキングの真前に林道の入り口を見つけた。
これは走っておくか。せっかくだ、身軽にカメラなしで走ろう。
そう思い、100mくらい入ったところで、やっぱりgoproくらいは持っていこうと心変わり。Uターンしようとしたその時、グラッとバランスを崩した!
こ、転ぶ! 新車からまだ1度も転んでないのに!
そう思い、鬼の刑相で踏ん張るが、いくら体格がいいとはいえ、200キロを超える巨体を持ち上げることはそうそうできない。
一瞬諦めてこのまま倒そうか、という考えが頭をよぎるが、
ここで諦めたらいかん! 考えろ!考えろオレ!
コンマ数秒で導き出した答え。
「アクセルターンだ!」
すかさずスロットルをオンにする。バイクは加速状態にあれば起き上がる特性があるので、それを利用しようと考えたのだ。しかし、そうは簡単にはいかない。倒れそうなアフリカツインを引き上げながらアクセルを開け続け、足の軸を何度もずらしながら耐えること2周。
耐え切った!なんとか転ばずに済んだ。オフロード競技をやっていたことに感謝だ。普通なら
ぶっ倒れていたに違いない。
倒すとバイクが傷だらけになる。それはあまりに悲しい。アフリカツインがオフロードバイクとして走れることをウリにするなら、転んでも傷つきにくくして欲しいよと、ひとり悪態をついてみる。
だいたいガードありき、という考え方が個人的に気にくわない。
ユーザーが好みでパイプガードをつけるのは自由だと思う。カスタムのひとつだし、フォグランプをつけたりとアレンジもできる。そこはいい。私が気に入らないのは「傷つけたくなければガードつけてね」というスタンスなのだ。
だってそうだろう。アフリカツインはもともと80年代に活躍したパリダカマシン、NXR750のレプリカ。すなわち、ラリーイメージのバイクなのだ。
ラリーバイクにパイプガードついてるか? ついてないよね?
ラリーバイクはオフロードレーサー。転んだって壊れない設計にしてあるから、パイプガードなんていらないのだ。
だから、ラリーイメージなら、アフリカツインだって転んでも傷つきにく、仮に傷がついてしまったとしても気にならないような設計をしてくれよ、と思うわけですよ!
アフリカツインを名乗るなら、ちゃんとラリーイメージで完結してくれと言いたい。
気を取り直して林道へ。「例の絶景」にも行ってみた
まあ、そんなこんなでいろいろあったが、入ってみた林道は森の中を走るフラットな道で、本当に走りやすい。走りやすくて、あっという間に走り抜けてしまった。どうやら岬の反対側に出てきたようだ。そのまま戻るのもナンなので、能取岬にも寄ってみることにした。
天気がイマイチなので、やっぱりパッとしない。
そしてここが噂の絶景ポイント。「ツーリングマップル」の表紙もこんな感じだったと思う。
いい感じだって?
だとすると、私の感性は、絶景を見すぎて、もはやインフレを起こしているのかも知れない。普通の絶景ではもう心が動かなくなってしまっている。
なんて贅沢な(笑)
で、ここでお昼である。さてどこで食べたものか?
協力:ホンダモーターサイクルジャパン、野口装美、ダートフリーク、サイン・ハウス
写真:三橋 淳
【次回予告】「普通の絶景」ってなんだ!? そんな疑問も少々アタマをよぎりますが、三橋 淳は絶景に囲まれた、贅沢な環境のまっただ中。人間、慣れと言うのはオソロシイものです…。さて次回は、能取岬を出てさらに北を目指します。そこで待ち受けるものは一体何なのか? 次回「ゴールデン番外地」をお楽しみに。