ダカールラリーを知り尽くした男・三橋 淳が新型アフリカツインを満喫するこの連載企画。空腹に任せて今回向かった先は網走。旨いものを食べ、充電したらアフリカツインで絶景探しをするはずなのですが、どうもそうはならなかったようで…まあとにかくレポートをご覧ください。

気の向くままに向かった先、それは網走

前回の続き。再び能取岬手前の、ベースキャンプである駐車場に戻ってきた。撮影はこれで終了!さて、次はどこを目指そうか?

今回は知床や野付半島あたりに行きたいと最初は思っていた。なにせ雄大な自然の宝庫である。アフリカツイン とともに行ってみたいじゃないか。

しかし、知床はただでさえ晴天率が悪い。それに加えて、予報ではこの先1週間天気が悪いと言うので、相当悩んでいたのだ。

こういう時、目的地はそう簡単には決まらない! そこで、まずは目先の欲求である空腹を満たすことにした。そこで地図を広げて飛び込んできたの地名が網走。網走ぐらい大きな街なら、きっとおいしいランチにもありつけるだろう。

画像: 気の向くままに向かった先、それは網走

そう思って網走に来たはずなのに、気がついたら網走監獄に来ちゃった!(笑)

知っている人も多いと思うが、ここはアニメも大人気だったコミック「ゴールデンカムイ」の舞台であるわけで、漫画オタクとしては外すわけにはいかなかったのである。

聖地巡礼? いやいや、網走監獄の方が歴史も格式も高いので、聖地というにはちょっと違うかな。(笑)

ちょっと見づらいが、写真の屋根にいるのは昭和の脱獄王・白鳥由栄の人形。「ゴールデンカムイ」の脱獄王・白石由竹のモデルとなった人である。手錠とドアの鉄格子を、味噌汁でサビさせて脱獄した話が有名だ。

ここは25年くらい前に一度来たきりで、ほぼうろ覚えだったけれど、明治初期における北海道の立ち位置というものを勉強するためにも、ここは一度来ることをお勧めする。なにしろ、ロシアに攻め込まれないための北海道開拓であり、そのための網走監獄であり、そこに送られた囚人の多くは政治犯や武士制度廃止に異を唱えた者たち。彼らを初めから捨石にするつもりで道路建設に従事させたのだから、なんともすごい話である。

ランチはここで「監獄飯」をいただいたのだが、申し訳ない。そんな網走監獄にテンションが上がって、写真を撮り忘れております…。(汗)

画像: そう思って網走に来たはずなのに、気がついたら網走監獄に来ちゃった!(笑)

ちなみにこちらは今も稼働中の網走刑務所。博物館は網走監獄。間違えないように。

テンション上げて次に向かうはずが、気づけばまたさすらい…

さて、これからどこに向かおう? 数時間後には日が暮れることを考えると、そう遠くには行けない。知床周辺も悪くないが、天気の良さそうな南にベースを構えて、晴れたら素早く知床に移動できるところにしよう。

そう考えて向かったのは、野付半島の付け根にあるキャンプ場。しかし、そのキャンプ場に私のトレーラー、tboxが入らない。そもそも、キャンプ場にアクセスするゲートが狭すぎて場内に入れない。こういうときアメリカサイズのトレーラーは難儀するのだ。

画像: テンション上げて次に向かうはずが、気づけばまたさすらい…

仕方なく、じゃあ野付半島の先端に行ったれ! と既に暗くなりつつある道路を走らせる。真っ暗な上に霧雨で、あたりはなんともいえない雰囲気。途中で、ナラワラという、海水で浸食され風化したミズナラなどの木々が立ち枯れた林を発見。辛うじて見えるが、周りは闇と霧とでなんとも怪しげな雰囲気だ。

そうこうして、とりあえずの目的地、ネイチャーセンターの駐車場に着く頃にはもう真っ暗。霧雨が辺りを覆い、静けさを一層増している。これ、怖がりな人なら泊まれないだろうなぁ、と思いながら私は手元のスマホを見て絶叫した…。

電波が来てない! これじゃ仕事にならん!

ここまで来てネットに不自由することになろうとは思わなんだ。いや、これが当たり前。大自然の北海道、今まで普通に電波が届いていた方がラッキーだったのだ。

夜も8時を回っていたので、とりあえず非常食にとってあった、山梨の名産ほうとうを煮込んで食べる。そして来た道をそそくさと戻ることにした。

画像1: 電波が来てない! これじゃ仕事にならん!

あたりは真っ暗。道の駅に避難しようにも、このあたりは車中泊が禁止されているところが多い。いっそのこと、国道にある側道のパーキングにでも逃げるか? そう思いながら、最後の頼みの綱「全国Pキャンマップ」、いわゆる車中泊マップを開く。全国のユーザーが車中泊できたところをマーキングしてあるので、信憑性が高いのだ。

すると、40分ほど行った公園の駐車場で車中泊ができるらしい。

もうこの状況で選んではいられない。中標津のど真ん中にある公園に乗り付けて、そのまま就寝。なんだよ、そのまま寝るんなら野付でよかったじゃねーか、とも思うが、もう疲れちゃって仕事する気にもならないのだ。

画像2: 電波が来てない! これじゃ仕事にならん!

で、朝起きてびっくり。住宅街のど真ん中でした…。(笑)

しかも、ネットでちゃんと調べたら、ライダーの聖地、開陽台も近くにあったじゃなないか。慌てるとろくなことがないという典型例だ。

開き直って霧多布へ。その名の通り霧ダラケ!

もう完全に開き直って、向かったのが霧多布岬!。読んで字のごとく。霧の多い岬! 本当によく霧が出るところである。どうせ天気悪いんだし、予報もイマイチなら、いっそド真ん中に行ってやれ、と向かったのだが、霧多布岬は、思いの外晴れていた。(汗)

画像1: 開き直って霧多布へ。その名の通り霧ダラケ!

普通、これを晴れているとは言わないのだけれど、ここでは岬の先端が見えるだけでも十分「晴れ」だったりする。そのくらい霧が多いところなのだ。

もしかして、これなら明日根室の方とか行けるんじゃね? なんて、淡い期待をしながら寝床を探す。本当なら霧多布岬のキャンプ場に行くつもりだったが、あまりに来訪者が多く、落ち着かないので断念。で、地図を見るとすぐ隣にも岬があって、そっちは人気がないと言う。その理由が、隣が墓地だからとか。

なんだよ、お墓ぐらい。何が怖いねん?

自慢じゃないが、こんな生活をしているので、ハッキリ言ってお化けなんかちっとも怖くない。人間の方がよっぽど怖いよ。

画像2: 開き直って霧多布へ。その名の通り霧ダラケ!

というわけで、陣取ったのがアゼチの岬。噂通り、全然人がいない…。(笑)

画像3: 開き直って霧多布へ。その名の通り霧ダラケ!

ここを当面のねぐらとする!

画像4: 開き直って霧多布へ。その名の通り霧ダラケ!

ルパンで再びテンション爆上げ。バイクのことをしばし忘れる

画像1: ルパンで再びテンション爆上げ。バイクのことをしばし忘れる

というわけで早速風呂に向かったら、その風呂屋がルパン三世だらけ。なんでも、ここは原作者のモンキー・パンチ先生ご出身の地なんだとか。2日連続で漫画ネタと遭遇するなんて!

画像2: ルパンで再びテンション爆上げ。バイクのことをしばし忘れる
画像3: ルパンで再びテンション爆上げ。バイクのことをしばし忘れる
画像4: ルパンで再びテンション爆上げ。バイクのことをしばし忘れる

街中に行くと、さらにルパン劇場まであった。セットで実際にはオープンしてないんだけど。(笑)

画像5: ルパンで再びテンション爆上げ。バイクのことをしばし忘れる

こちらは「PUB FUJIKO」。は、入ってみたかった…。(笑)

画像6: ルパンで再びテンション爆上げ。バイクのことをしばし忘れる
画像7: ルパンで再びテンション爆上げ。バイクのことをしばし忘れる

せっかくなんで、久しぶりに旨いものを食べようと、お寿司屋さんに飛び込んで、特上セットをいただく。なかなかうまい。

海が近くだけに海産物はうまいねぇ、と言うと、ご主人が

「ここで取れるものはほとんど入ってないんだけど、ウニだけはこの辺りの工場で処理してるんですよ」と。なんと…。(苦笑)

旨かったから、まぁいいけど。

協力:ホンダモーターサイクルジャパン、野口装美、ダートフリーク、サイン・ハウス
写真:三橋 淳

【次回予告】ハイ、すみません! この企画のタイトルって何でしたっけ? まさかバイクの企画でバイクが一度も出てこないなんて…。なんだか今までの反動が一気に出たような回でしたが、気を取り直して、次はしっかり絶景を探索いたします。次回「ノッカマップ!」をお楽しみに。

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「アフリカツイン 北駆南走」前回の模様はコチラ!

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