足回りの設定が物語る各車の狙いとキャラクター
ダートでの走破性を決定付けるのはタイヤ、サスペンション、最低地上高、車重の順だ。
構成的には完全にロードスポーツモデルで、履いているタイヤもロードパターンのVストローム250をダートで走らせるのは酷というもの。固く締まった林道やフラットダートを慎重に進む、という程度なら大丈夫だが、ガレ場や泥道には入り込まない方が無難。
最低地上高も低めなので、大きなギャップを超える際にはエキパイ下側を打たないように注意しよう。
ヴェルシスX250ツアラーもロードスポーツベースだが、フロントホイールが19インチに大径化され、前後スポークホイールにセミブロックタイヤを組み合わせているのでダートの走破性はVストロームよりもかなり高く、フラットダートならルックスから想像する以上のハイペースで走れる。
とはいえ、ぬかるんだ場所ではタイヤの溝が泥で埋まってしまうし、183kgの車重と815mmというシート高で道幅の狭い林道や足元の悪い場所ではUターンも厳しいから、自ら進んでダートに入っていくことはお薦めできない。
CRF250ラリーはフロント21、リア18インチのフルサイズホイールにブロックパターンタイヤ、有効ストロークの長いサスペンションで、荒れた路面をハイペースで駆け抜ける走りが得意。ピックアップのいいエンジンでリアタイヤをスライドさせる走りにも応えてくれる。
ローダウン仕様車でもシート高は830mm(スタンダードは895mm)あるが、ライダー乗車時のサスペンション沈み込み量が大きいのでオフロード車ベースとして見れば足着き性は悪くない。高速道路で一気に山間部まで移動してから林道ツーリングを楽しむ、といった使い方ならベストチョイスだ。
トライアルセクションに近いハードな状況ならツーリングセローの独壇場。低回転で粘り強いエンジン特性に加えて1速のギア比が低く、早歩き程度の速度から力強く進んでいく。133kgの軽量な車体と足着き性の良さで、大きな石がゴロゴロしているガレ場や、ヌタヌタの泥道も両足をペタペタと着きながら走破できる。ツーリングセローは大きなアンダーガードを装備してクランクケースを守っているし、転倒した場合も大型キャリアやヘッドライトガードを掴めるので引き起こしやすい。
ダート走行のペースではCRF250ラリーに負けるが、条件が過酷になるほどツーリングセローの優位性が増す。目的地までの高速道路移動は辛いが、アタック系の林道ツーリング、ダート初心者には心強い味方になる。