取材中の絶景の模様、三橋 淳とアフリカツインのダイナミックな走行シーンは、随時このように動画でもご紹介していきますので、こちらもお楽しみください!
※本編でご紹介している写真、動画の撮影は、全て車両通行可能な場所で行っております。
隣が墓地だから?誰もいない、爽やかな朝を迎える
隣のお墓効果だろうか。それともただマイナーなだけなのだろうか? 物音ひとつせず快適に過ごせたアゼチの岬で、とても爽やかな朝を迎えた。
まずは朝ごはん。キャンプの朝は決まってこれ。コールマンのホットサンドイッチクッカーで作るトースト。別に何も挟まないよ。6つ切りパンをただ焼くだけ。
これにバターとコーヒー。これだけで十分美味しい。高級パンじゃなくて普通のスーパーのパンでも美味しく楽しめるから、とても気に入っている。
気がつけば、外から日の光が差し込んできている。晴れてるじゃないか! 雲は多めだけど、光が差し込む天気は、この2日ほど曇りだったこともあって、気分を和らげてくれる。と同時に、撮影意欲も湧き上がってくる。
ここでようやくアゼチの岬の全貌を見ることができた。
すごいところだ!
こんな景色の中で寝てたんだなと、今更ながらに気付く。
「これはもしかしていけるんじゃね?」
すかさず天気予報のアプリを開く。私の場合、ウエザーニュースとyahoo天気は必ず両方チェックしている。ピンポイントの天気予報はウエザーニュースが当たると評判だが、ここ最近は予報に振り回されている感じだ。さてさて、今日の天気はと見ると、なんと両方のアプリで太陽のマークが出ているではないか!
これは行くしかあるまい!
早急に身支度を済ませていざアフリカツイン でGO!
ってどこへ?
そう、どこに向かうかが問題なのだ。当初は有名観光地である知床半島や野付半島に再び戻るつもりでいたが、ここは一気に作戦変更、根室に向かうことにした。
なぜか? そこには行ってみたいダートがあったから。距離としては短いけれど、断崖まで伸びるダートを走れるというので、行ってみたい場所だったのだ。根室なら霧多布から1時間で着くというのも、最近の不安定な天気を考えると選ぶには十分な理由だった。.
ノッカマップ灯台は想像以上の絶景!
ということで、アフリカツイン でいざ西へ! 国道に出てみたら、あたりはすでに晴れていた。ひひひ。目論見どうりだよ。
根室市内の手前で給油をする。
「今から岬に向かうのかい?」
いえ、その手前くらいです。
「今日は天気どうだろうねぇ?昨日は晴れてたってよ」
マジですか…!!!
しくじった。1日間違えた。霧多布でルパン三昧なんてしてる場合じゃなかった! とはいえ、今はまだ晴れている。今日もきっと晴れるさ。
根室の中心街を抜け、半島の北側を走る頃には、まだ晴れていたものの、雲が一気に増えてきた。そんな時に出て来た看板。そう、これが今日の目的地、ノッカマップ灯台だ。
このダートを進むと灯台があって、海に出ることができるのだ。距離にして数百メートルだが、ダートで海沿いに出られる、というだけでもテンションは大いに上がる。
見よ、この絶景!
断崖絶壁まで柵も何もなくアプローチできるのが北海道のいいところ。本州なら柵やら看板でごちゃごちゃしちゃうもんね。そこが北海道の良さでもあり、海外っぽさが出るところでもある。
だから、絶対にこういう場所ではゴミを捨ててはいけないし、崖から落ちて怪我、なんていうのはもってのほか。安全第一。それが自分の身を守るとともに、この景観を守ることにもなるのだ。
ココがどのぐらい絶景かっていうと、このぐらい!
すごいよね!
ちなみに、画像は晴れてるように加工してあるだけです。実際は曇り。今の画像ソフトって本当に
すごいよね(笑)。私がどこにいるかわかるかな?
もう、どこをどう切り取っても絵になる感じ。この道はおそらく軽トラックが走ってるんだろう。この辺りの草原をぐるっと一周できるようになっていた。
乗用車で走るのは厳しい道だが、アフリカツインなら楽勝だ。
絶景をたらふく満喫して、根室でお腹も満たす
ひと通り撮影したあと、もしかしたら晴れるかもしれないと思い、数キロ戻って根室の街中でランチをすることにした。こういう時にGoogle マップはありがたい。なんか美味しそうなラーメン屋さんを見つけたので、そこに飛び込むことにした。
小さなラーメン屋さんの中には先客が1組いるだけ。観光客相手というより、地元向けのその店は、明らかによそ者の私が暖簾を潜って来たことに拒絶反応するのではないか? とちょっと不安ではあったが、「いらっしゃいませ~!」と、厨房からとても愛想のいい声が聞こえたので、ひと安心して席に座る。
今日のランチはコレ!お腹も空いていたので、迷わずセットメニューのラーメンと豚丼をお願いすることにした。
あっさりシンプルなラーメンは出汁が効いててほっとするうまさ。豚丼もいいあんばいで美味かった。こういうシンプルな味に旅先で出会えると、外食ばかりの旅人にはありがたい。
「今年は昆布どうなの?」
女将さんが先客に尋ねている。
「今年はダメだ。昆布だけじゃねー。なーんもかもダメだ」
「昆布がダメなら根室ダメだね~」
気候変動で海水温度が変わって漁業がおかしくなっているという話は知っているが、それを生業にする人たちには生活に直結する死活問題だ。そんな地元の声を聞きながらラーメンをすする。なんとなく切なくなって、元々早食いなのにさらに急いで食べて店を出ようとした。
「この店どうやって見つけたんだね?」
奥から店主の声がして、ヘルメットを持ち上げた私にそう尋ねて来た。
なんか、そのへんうろついてたら偶然見つけて。
本当はネットで調べて来ているのだが、なんとなく、それを言っちゃいけないような気がして、つい嘘をついた。
「そうかい。よく見つけたねぇ。また来てよ」
そういって店主は微笑んでくれた。
また来ます!
そういって私は店を出た。
うん、また来るか。生きていれば、また来よう。
再びノッカマップ灯台に向かうが、天候は良くなるばかりか、かえって悪くなるばかり。ここはもう諦めて観光に徹しよう! そう思って納沙布岬に向かった。
北方領土は霧の向こう。濡れながら、ひとり物思いにふける
ここからは北方領土が間近に見える、はずなんだが、霧で全く見えず。巨大な炎のモニュメントだけが霧の中に佇んでいた。
この先、この島々が返還されることがあるのだろうか? 私たちにとってはニュースの中の話だが、ここに住んでいる人々にとっては直面した問題なんだよね。かつて、あの島々に住んでいた方々だって、ここにはいるんだから。
先日見た網走監獄といい、北海道の歴史は、やっぱり改めてきちんと学んでおかなければいけないな。そう思った。
霧がだんだんと濃くなって来たこともあり、撤収することに。しかし、走り出すともう、ビシャ濡れである。
止まっている分にはさほどでもないのだが、走るともう、濃い霧がまさに霧雨となって襲ってくる。じんわりとジャケットからも冷たさが伝わってくるが、幸いなことに足はあまり濡れない。新型アフリカツインのタンク形状のおかげで、足はうまく隠れているようだ。
レインウエアを着ようか悩んでいたが、走行するうちにまたキリが薄くなって来た。どうやら霧は半島周辺だけのようだ。
霧多布に戻る道を、行きの国道を通らず、海沿いを走ることにした。これが大当たり!
森の中を延々と走る道は、舗装路だけど、とても気持ちがいい!
地図で見ると、ここは「北太平洋シーサイドライン」とある。時折海が見えるそうだが、曇っていてよくわからない。けれど、シーサイドラインなのに森の中を走るのが、これまた気持ちがいい!
このように、途中何度も狐と遭遇。本当に北海道はアフリカツイン で走るのに最高の場所だなぁ、と改めて感じた1日だった。
協力:ホンダモーターサイクルジャパン、野口装美、ダートフリーク、サイン・ハウス
写真:三橋 淳
【次回予告】時折脱線しつつですが、北海道絶景巡りの旅はまだまだ続きます。なんだか曇天が続く旅路ではありますが、時には極上の景色に出会うこともあるようで…次回「目指すは天空のスーパーロングダート!」をお楽しみに!