バイク本来の楽しさを自然と共生しながら味わう
箕輪和也 氏
開発責任者
Honda R&D Southeast Asia Co.Ltd
出羽圭吾 氏
開発責任者代行
Honda R&D Southeast Asia Co.Ltd
「ハンターカブというバイクは不思議なモデルで、販売台数はそれほど多くなかったのですが、お客様のイメージがよく、新型に寄せられる期待値も高いものでした」と語るのは開発責任者代行を務めた出羽さん。
「開発当初から、皆さんの期待は相当大きいだろうと思っていました。でも、いくら素晴らしいものを造っても、手の届かない価格になっては意味がない。そのあたりのバランスをどう取るかに苦心しました」と振り返ってくれたのは、開発責任者の箕輪さん。
タイの拠点で開発が始まったハンターカブのメインターゲットとなる国は日本。目の肥えたユーザーが相手で、周囲の期待も大きかったが、開発チームに不安はなかった。
「CTというモデルを振り返ると、基本コンセプトの部分は1960年代ですでに完成されているのです。開発に当たっては、そうしたコンセプトの核となる部分をしっかり守ることを心がけました」
ハンターカブの核となる部分。それはスタイルだけでなく、トレッキングバイクならではの楽しさを継承することでもあった。
「CTを構成する重要なパーツである、大型キャリア、エンジンガード、トップブリッジといった機能部品をしっかり造り込み、パッと見て『CTらしい』ことも大切にしましたが、それに加えて、バイクの楽しさを素直に味わえること、自然の中でゆったりと楽しみながら乗れることも重視しました」
そんな「バイクの楽しさ」を感じさせてくれる要素のひとつが排気音。ハンターカブのサウンドは迫力ある野太いもので、それがライダーの「やる気」をかき立ててくれる。
「専用設計のエアクリーナーとマフラーを採用し、モーターサイクルの持つ大きな魅力であるパルス感やピックアップを大切にしています。サウンドも担当者がかなりこだわって仕上げたもので、バイクの普遍的な魅力を素直に表現できたと自負しています」
歴代のハンターカブたちが大切にしてきた「自然を楽しむ」コンセプトは、いま最新の技術とともに、CT125として新たな歴史の1ページを刻もうとしている。
「ハンターカブは、ライダーを駆り立てる『何か』が備わっているモデルです。風の音を聞き、自然とともに共生しながら、ゆったり乗っていただけたら嬉しいです。ホンダの伝統であるレジャー系バイクの魅力を、存分に楽しんでください」
まとめ:オートバイ編集部