ライダー:福田充徳/写真:富樫秀明/まとめ:オートバイ編集部 中村浩史
チュートリアル 福田充徳 さん
ご存知バイク芸人こと福田充徳さん。自粛期間も明け、徐々に近距離ツーリングも再開。目下の楽しみは、仕事が始まらない午前中に30分くらい自宅まわりを流すこと(笑)。なかなか遠くまでツーリング行けないもんねぇ。
GSX250Rはツーリングに行きたくなる! ベストセラーの魅力を堪能
性能を使い切る楽しさがあるサーキットビギナー向け
4メーカーのフルカウルスポーツモデル対決とはいっても、このGSX250Rだけは別枠だ。というのも、スズキみずから、このモデルをスーパースポーツなんて呼んでいないし、サーキット性能も追及していない。
「スーパースポーツ狙うんだったら、車名はきっとGSX-R250ですもんね。GSXをこのテストに参加させるのはどうかと思います」
まず乗ってみて、とコースインすると、やはりペースは上がらないまでも、コース上の福田さん+GSX250Rは安定して速い! バイクの性能を使い切っているように見えるのだ。
「CBRとかR25と比べるのは酷な気がしますが、イイですよGSX。まずアイドリングすぐ上の3000回転あたりまでのトルクはナンバーワンですね。他のバイクだとすぐに通り過ぎちゃう回転域ですが、スタートしてすぐですから、いちばん使う回転域。これはビギナーにお勧めです」
GSX250Rのエンジンはこの極低回転域がハイライト。その上の中回転〜高回転域は、回転のシャープさもなく、パワーも頭打ち。それもそのはず、ボア×ストローク値は4車中いちばんのロングストロークだ。回転で馬力を稼ごうとしていないことの証拠だ。
「だから性能を使い切れる感じがするんですね。各ギア引っ張ると、すぐに回転リミッターに当たっちゃうし、ハンドリングも穏やか。だからライダーが速く走らせればいいんです。ポテンシャルを使い切るにはGSXがいちばんです。バイク対ライダーで、ライダーが勝っている状態ですね」
いちばんパワーがあって軽いCBR250RRと比べて、最高出力は14馬力少なく、車重は13kg重い。これでは勝負にならないだろう、と思っても福田さんの印象はそうでもなかったのだという。
「僕も最初はそう思ってたんですけど、そうでもない。もちろん、タイムを競ったら4車中ビリでしょう。でも楽しさは変わらないし、たっぷり安定性を確保したハンドリングは、誰が走らせても恐怖感がいちばんないはずです。その意味ではサーキット初心者向き」
さらに福田さんが気づいたのは、そのソフトな足回り。エンジンが穏やかに反応するし、それに対応するフロントフォークもリアサスも動きがソフト。ついでにシートも肉厚があって、スポーツランには向かなくとも、快適性はナンバーワンだ、ということ。
「スズキがスーパースポーツ向きに作ってない、っていうのがよくわかりますね。だって、エンジンスペックだってサスペンションだってシートの厚みだって、ツーリング向き。戦闘力ナンバーワンを決めるなら、CBRかR25かニンジャか、ステージごとに迷うけど、ツーリング快適性ナンバーワンだったらGSXひとり勝ちじゃないですか」
フルカウルというルックスだけでライバル対決に入れてしまったことに、反省。そのかわり、この4車で桶川スポーツランドを飛び出し、街中を走り、高速道路を駆け、ワインディングに差し掛かると、また評価も変わってくるはずだ。
「今回の試乗では、そういう使い方による性格付けが、ハッキリ違ってるな、と思いました。CBRはサーキットナンバーワン、ニンジャは街を流すのナンバーワン、R25は峠のスポーツランでナンバーワン、そしてGSXはツーリング、それも距離が伸びれば伸びるほど他の3モデルをブッチギリますね」
スズキ「GSX250R」各部装備・ディテール解説
スズキの250㏄ツインスポーツは、あえてスポーツ性能だけを先鋭化させていない。そのキャラクターゆえの人気も高く、同系エンジンながらVストローム250よりもパワフルでシャープなフィーリングに仕上がっている。
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amzn.toスズキ「GSX250R」主なスペックと価格
全長×全幅×全高 | 2085×740×1110mm |
ホイールベース | 1430mm |
最低地上高 | 160mm |
シート高 | 790mm |
車両重量 | 178kg |
エンジン形式 | 水冷4ストSOHC4バルブ並列2気筒 |
総排気量 | 248cc |
ボア×ストローク | 53.5×55.2mm |
圧縮比 | 11.5 |
最高出力 | 18kW(24PS)/8000rpm |
最大トルク | 22N・m(2.2kgf・m)/6500rpm |
燃料タンク容量 | 15L |
変速機形式 | 6速リターン |
キャスター角 | 25゜35′ |
トレール量 | 104mm |
タイヤサイズ(前・後) | 110/80-17M/C 57H・140/70-17M/C 66H |
ブレーキ形式(前・後) | シングルディスク・シングルディスク |
メーカー希望小売価格 | 消費税10%込 53万6800円 カラー:トリトンブルーメタリックNo.2は税込54万8900円 |
取材協力:桶川スポーツランド
今回の取材でお邪魔したのは、関東ロードレース聖地のひとつ、桶川スポーツランド。国際ライダーのレース準備の練習から、レンタルバイク&レンタル装備でのサーキット体験走行も可能なサーキットで、走行時傷害保険に加入すれば、コースライセンス不要、会員制度もない、間口の広いサーキット。
走行料金は女性・小学生が半日2200円から、成人が半日3700円が目安。スポーツ走行に参加するのに不安な人向けの「入門走行枠」もあり。走行スケジュール、走行料金など詳細は公式サイトをチェック!
ライダー:福田充徳/写真:富樫秀明/まとめ:オートバイ編集部 中村浩史