モンキー125はの定地燃費は「71㎞/L」、スーパーカブC125は「69.0km/L」。このカタログデータって実際はどうなんだろう……。そんな疑問がちょっとでも浮かんだから、やってみました満タンチャレンジ! ホンダが誇る好燃費原付二種の2台。ガソリン約500円でふたりはどこまで行けるのか!
文:ノア セレン/同行者:中村浩史/写真:富樫秀明

燃料計は目安程度?? ピカピカしだしてから粘る!

袋田の滝で有名な大子町ではこれまた茨城名産のこんにゃくや湯葉を薦めるも、ロバ先輩、口を開けば無礼なことしか言わないから、良識ある文化的な読者様方はぜひとも茨城のこんにゃくや湯葉を楽しんでくださいませ!

大子から先は北西に進み、茨城県最高峰の八溝山へ。福島県との県境にあって栃木県の県境もすぐソコという場所で、関東平野が終わる感じがするちょっと神秘的な所。何が良いってほぼ山頂まで林道が通じてるからバイクを降りて5分で登頂成功できちゃう。天気が良ければ良い景色なのだけどこの日は真っ白でした。

画像: 燃料計は目安程度?? ピカピカしだしてから粘る!

また八溝山へのアクセス路がカブにぴったり! 荒れた舗装林道でペースは上げにくいものの、だからこそ小排気量でスタスタ登っていくのが楽しい。スーパーカブC125と僕は高回転域もギンギンに使って燃費無視でウェットワインディングを満喫。

モンキー125とロバ先輩を「はぐれたかな?」と心配になるほどブッチギってやりました。路面にはコケや落ち葉があって、それらすべてが濡れていたこの日はABSもけっこう役に立ちました。

画像: 雨もまた楽し。モンカブのサイズは、茨城県のスモールサイズワインディングにぴったり。

雨もまた楽し。モンカブのサイズは、茨城県のスモールサイズワインディングにぴったり。

八溝山頂に着いたころにはカブも燃料目盛り半分、モンキーは最後の1目盛りがピカピカしだしてロバ先輩「こんなに燃費走行してるのに!」と焦りを隠せない。いやだから、それじゃあ「実燃費」じゃないじゃんか! 普通に走って下さいよ!

画像: 残りひと目盛りになって、トリップメーターが150㎞を指す前くらいから点滅し始めたモンキー125のガソリン残量計。しかし、ここからが長かった! そろそろかな、まだかな、い、いつ止まる!

残りひと目盛りになって、トリップメーターが150㎞を指す前くらいから点滅し始めたモンキー125のガソリン残量計。しかし、ここからが長かった! そろそろかな、まだかな、い、いつ止まる!

ここからは茨城定番ツーリングスポット花貫渓谷を東に抜けて日立のあたりで太平洋に出る。走行距離はもう200キロに迫ろうという所、カブだってもう最後の目盛りになって久しく「そろそろガス欠してくれないかなぁ」というのがふたりの本音。

そしてその時は来た! しかもモンキーが先に! 燃料計の最後の目盛りがピカピカしだしてからだいぶ粘ったけど、とうとうガス欠だ。ふはは!勝ったぜ!さすがカブ! 最後の一滴まで使おうとバイクを振ったりしながら耐えたロバ先輩、220キロほどでとうとうストップ。「もうちょっとでリッター60いったのになぁ!」と悔しがる。

ところが勝利に酔いしれたのもつかの間、その先僅か数キロで今度はC125がプスプス……。さすが同じエンジン、結局結果は僅差、というかほぼ誤差の範疇ということかな!

燃費対決、勝者はスーパーカブC125!

【実測燃費】

モンキー125:58.92km/L

スーパーカブC125:60.27km/L

画像: スーパーカブC125のメーター。燃料満タン(3.7L)から223.0㎞到達!

スーパーカブC125のメーター。燃料満タン(3.7L)から223.0㎞到達!

画像: 同じガソリン量でスタート、どちらかっていうとボクとカブの方がテキトー運転してたって言うのに、信号待ちでちまちまアイドリングストップしてたロバ先輩とモンキーが先にストップ! (笑)

同じガソリン量でスタート、どちらかっていうとボクとカブの方がテキトー運転してたって言うのに、信号待ちでちまちまアイドリングストップしてたロバ先輩とモンキーが先にストップ! (笑)

画像: ボクの地元からスタート、グルッと時計回りに太平洋に出るあたりでガス欠するだろうなぁ、って思っていたこの日のルート。直線距離に直すと、東京−名古屋をゆうに越えます!

ボクの地元からスタート、グルッと時計回りに太平洋に出るあたりでガス欠するだろうなぁ、って思っていたこの日のルート。直線距離に直すと、東京−名古屋をゆうに越えます!

勝因はカブを選んだ選択眼と日ごろの行ないかな

勝負を振り返ると、ロバ先輩はかなり燃費を気にした走りだったことが印象的。少しでも法定速度を超えないように、ワインディングでもペースを上げず、下り坂ではクラッチを切って惰性で降りるなど数々の姑息な燃費向上テクを駆使。対する僕は、元気に回して「燃料消費しちゃったな!」と実感したのは八溝山の登りぐらいで、あとはとにかく「普通に」走っただけ。

カブの方はキルスイッチがないからモンキーのようにアイドリングストップしなかったし、マニュアルクラッチがないから下り坂を惰性で降りるのも難しいという燃費走行しにくい部分もあったけど、燃費走行って多分そんなに一生懸命にならなくても、(勝ったから偉そうに言っておきますけど)ちゃんと速度に応じたギアを選択し、エンジンの美味しい所を上手に使ってあげればおのずと伸びると思います。

画像1: 勝因はカブを選んだ選択眼と日ごろの行ないかな

ま、勝利はカブ有利と見た選択眼と、無理なくカブを走らせる能力、そして日ごろの行いのおかげでしょう! 先輩にもかかわらず大いにからかって差し上げたのは、道中繰り広げられた地元茨城ディスりに対する復讐心も大いに含んでましたからね!

かくして2台の燃費は僅差、おおよそリッター60キロということがわかりました。カブを満タンにしてせいぜい500円、モンキーだったら700円かな。モンキーは燃費走行すれば、1タンクで300キロ以上走るということ。え? 700円で東京から仙台ぐらいまで行けちゃうじゃん!

画像2: 勝因はカブを選んだ選択眼と日ごろの行ないかな

今やこのクラスはかなり高級感もあるから、それに伴って車両価格も高くなった。若者のオモチャというよりは大人の趣味バイクって感じになってきてるから、実際にはあまり燃費を気にする人も少ないかもしれない。

けど、燃費がいいというのはやっぱり正義。走らせるためのコストが少ないのはもちろんお財布に優しいし、使うガソリンも排出する排ガスも少ないというのは責任ある大人のオートバイ趣味として胸を張れる要素。加えて2台とも見た目がカッコ良く、短距離での走行でも楽しい領域にアクセスしやすいという魅力を備えていると今回の走行で再確認できました。

しかしやっぱり燃費と言えばカブ! 50cc版はリッター100キロなんて言われたこともあったけど、125で60オーバーは立派ですね! しかも意識しなくても、普通にこの数値が出るってことが凄いじゃないですか!

文:ノア セレン/同行者:中村浩史/写真:富樫秀明

【車両紹介】ホンダ「スーパーカブC125」

画像: 【車両紹介】ホンダ「スーパーカブC125」

2018年デビューの最新スーパーカブは、カブ伝統のスタイリングにカブの歴史初の125㏄エンジンを搭載。前後キャストホイール、フロントディスクブレーキ、キーレスエントリーを採用。変わらずシーソーシフトペダル採用の、グッと大人の高級志向スーパーカブだ。

全長×全幅×全高1915×720×1000mm
ホイールベース1245mm
最低地上高125mm
シート高780mm
車両重量110kg
エンジン形式空冷4ストSOHC2バルブ単気筒
総排気量124cc
ボア×ストローク52.4×57.9mm
圧縮比9.3
最高出力7.1kW(9.7PS)/7500rpm
最大トルク10N・m(1.0kgf・m)/5000rpm
燃料タンク容量3.7L
変速機形式4速リターン
キャスター角26゜30′
トレール量71mm
タイヤサイズ(前・後)70/90-17M/C 38P・80/90-17M/C 44P
ブレーキ形式(前・後)シングルディスク・ドラム
メーカー希望小売価格40万7000円(税込)

【車両紹介】ホンダ「モンキー125 ABS」

画像: 【車両紹介】ホンダ「モンキー125 ABS」

生誕50年を越えて、惜しまれながら生産中止となったモンキーが生まれ変わって、2018年に125ccで新登場! 50のホイールベース895mmから1155mm、シート高は660mmから775mmへ、前後8インチタイヤは12インチとなった「小さすぎない」モンキーだ。

全長×全幅×全高1710×755×1030mm
ホイールベース1155mm
最低地上高160mm
シート高775mm
車両重量105kg(ABSは107kg)
エンジン形式空冷4ストSOHC 2バルブ単気筒
総排気量124cc
ボア×ストローク52.4×57.9mm
圧縮比9.3
最高出力6.9kW(9.4PS)/7000rpm
最大トルク11N・m(1.1kgf・m)/5250rpm
燃料タンク容量5.6L
変速機形式4速リターン
タイヤサイズ(前・後)120/80-12 65J・130/80-12 69J
ブレーキ形式(前・後)シングルディスク・シングルディスク
メーカー希望小売価格税込40万7000円(ABSは税込44万円)

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