この3台がもっとも輝くのはやはりスポーツライディング
CBR1000RR‐R、パニガーレV4S、S1000RRを同日に試乗した。3機種は当代きっての最新スーパースーパースポーツ。街中を走ろうがツーリングに興じようが自由だが、各メーカーの技術の粋を集め、スポーツライディングでもっとも輝くように生まれたバイクたちだ。そのもっとも輝くパートで、それぞれどのような個性を見せるのか、ここで紹介しよう。
CBR1000RR‐R SPとパニガーレV4Sは、同系列だがインターフェイスの異なるオーリンズの電子制御サスを採用。S1000RRはザックス製の電子制御サスを使っている。それにトラクションコントロール、ウィリーコントロール、エンジンブレーキコントロール、ABSの介入度まで一括でセッティングできるようパッケージ化されている。いまやこれがトップファイターたちの「常識」なのだ。
排気量が一割ほど大きく、その分トルクも強力なパニガーレV4Sのリアタイヤは幅広の200サイズ。BMW S1000RRもオプションで選択できる。CBR1000RR‐Rも200サイズだが、低速での切り返しが多い峠道ではCBR1000RR-Rの手応えが軽く、その鋭いフットワークが目立っていた。日本のクイックな峠道ともっとも相性のいいハンドリングだ。
絶大なトラクションを生むパニガーレV4Sのリアタイヤは常に路面を捉えている。トラコンを信用してガバガバとスロットルを操作しても激しいスライドは起こさないし、高速ワインディングでの安定感は群を抜く。手応えはあるが意のままに従う操縦性もいい。
S1000RRのハンドリングは、鋭くもネッチリもしていない。他の2台に対して傑出したところはないものの、節度のある応答性で無茶な操作によく耐え、使い勝手がズバ抜けてよく、2019年に登場したのに、現在でも見劣りしない。まだまだトップレベルの実力だ。
ちなみに、試乗終盤では、各車とも最も強烈な走りに対応する走行モードで走ったのだが、CBR1000RR-Rのトラコンが頻繁に作動し、立ち上がりが面白くないので、試しに介入を最弱にし、ウイリー制御を切ってみた。
すると、まだバイクが寝ているうちからリアを流しつつ、フロントを持ち上げてしまった。早く降りてくれとフロントタイヤに祈りつつ、次のコーナーへの減速を懸命にした。各車とも「ありあまる力」を電子制御アシスト機構が制御してくれているのだ。オーナーは肝に命じておこう。
文:宮崎敬一郎/写真:赤松 孝、南 孝幸