土曜日、雨のなか行なわれたJP250クラス。2016年スタート、5年目を迎える「市販250ccスポーツ最強決定戦」ですが、このクラスは2017年にCBR250RRがデビューしてから、19年まで3連覇中。なかでも18-19年チャンピオンの笠井悠太(TEAM TEC2&YSS)が「絶対王者」として君臨。19年は7戦4勝、20年もここまで2戦2勝と、頭ひとつ抜けている存在です。JP250のライダーはみんな「打倒・笠井」を狙っているといっても過言ではありません。
今回のもてぎ大会でも、笠井は木曜/金曜に行われた特別スポーツ走行で2日間ともトップタイムをマーク。続くのは上原大輝(SDG Mistresa CLUB HARC-PRO)、石井千優(千葉北ポケバイコースTeamN-PLAN)、中村龍之介(ENDLESS TEAM SHANTI)、田中敬秀(YUEエムズホーム7C&WAKO’S+NTR)、中沢寿寛(i-FACTORY&Mガレージ)といった面々。上原は2018~19年にST600クラスに参戦していましたがJP250にカムバック。17年のこのもてぎ大会のポールシッターですね。
土曜午前に行われた公式予選では、その上原がポールポジションを獲得。2番手に田中、3番手に中村が並ぶフロントローで、2連勝中の笠井は2列目6番手。ちなみにポールから11番手までずらーっとCBRで、CBRは開幕戦・菅生では2列目までに4台、第3戦APでは1~8番手までを独占と、やっぱり速い! いまのJP250は「打倒CBR」または「CBR勢トップ」と「打倒・笠井」がテーマなんですね。
JSB1000クラス終了後、15時30分すぎからスタート進行が行なわれたJP250クラス。もう夕方、雨も降り続けてるし寒いし暗いし路面温度も下がってるし……なんて状況で行なわれた10周の決勝レースですが、スタートではポールシッター上原が、スタートの瞬間にフロントを持ち上げてしまって出遅れ、予選2番手の田中が好スタート。
上原、吉澤隆(CLUB KENJIN &ペンタグラム)、中村、三上真矢(WIN-RF & ABE & KADAN)が続いて、2列目スタートの笠井はまずまずのスタート。雨のレース、路面温度も低いレースで、序盤は路面状況を探りながら様子を見ていたようです。ベテランの技!
レースは上原がトップに立ち、中沢、田中、中村、笠井の順。上原が後方を引き離し、2番手中沢も3番手以降との差を空け、3番手が集団を作っている、そんなオーダー。
やがて3番手集団のトップに笠井が浮上。前のふたりを追いかける展開になりますが、この差はトップ上原まで約8秒、2番手・中沢まで約3秒。10周のレースではちょっと追いつかないかな、って感じでしたが、レースが後半に差し掛かる頃、トップを走っていた上原が単独転倒! なんと次の周には中沢も転んで、これで笠井がトップに浮上。中村、吉澤にセーフティリードを保ったままチェッカーを受け、これで開幕から3連勝! 3年連続チャンピオンに王手をかけました。
「序盤に3番手につけて、前のふたりには結構離されたんですが、雨の量も増えてきて路面温度も下がってたから、前のペースは速すぎる、と思ってたんです。僕も9割くらいで走ってましたから、僕のペースがギリギリなんじゃないかと。そうしたらさらに路面が厳しくなったレース終盤にふたりが転んじゃた、というわけです」と笠井。
これで笠井はランキング2位の中村に11ポイントの差をつけて最終戦を迎えます。雨でも晴れでも速い笠井とCBR-RRは、最終戦で6位に入れば3連覇です。
さらに国際ライセンスと国内ライセンスが混走するこのクラスは「国内ライセンス」のクラス表彰もあり、国内kラスは、総合4位に入った田中が開幕戦・菅生に続いて今シーズン2勝目! ランキング2番手の笠井杏樹(TEAM テック2&KOレーシング)がクラス9位に沈んだことで、16ポイントの大量リードを持って最終戦に臨みます!
■全日本ロードレース第4戦 もてぎ大会
JP250正式結果
1 笠井悠太 TEAM TEC2&YSS
2 中村龍之介 ENDLESS TEAM SHANTI
3 吉澤 隆 CLUB KENJIN &ペンタグラム
4 田中敬秀 YUEエムズホーム7C&WAKO’S+NTR
5 石井千優 千葉北ポケバイコース&TeamN-PLAN
6 宮澤和典 i-FACTORY&Wiz-Kworks+G3
7 富田一輝 ATJレーシング&NMC
8 三上真矢 WIN-RF & ABE & KADAN
9 神山保男 G3レーシングプロジェクト
10 石塚桂三 TeamSANMEI
写真・文責/中村浩史