この週末はMotoGPアラゴンGP02ことテルエルGPが行なわれました。ちょうど1週間前に行なわれたアラゴンGPに続いて、同じモーターランドアラゴンでの2連戦。
これは第2~3戦のヘレス2連戦、第5~6戦のレッドブルリンク2連戦、第7~8戦のミザノ2連戦に続く4回目。もちろん、新型コロナウィルス感染拡大防止のために、移動距離を少なくするために進行しているスケジュールです。
このアラゴン2連戦を終えると、2週間のインターバルを挟んで、いつもの最終戦の舞台でおなじみのバレンシア2連戦、そして11/22にポルトガル・ポルティマオで最終戦を迎えます。
2連戦ということは、最初の金曜から走り始めて金曜にFP1/FP2、土曜にFP3/FP4からQ1/Q2と走って日曜に朝フリーと決勝レース、その5日後にはまた同じコースを同じだけ走るわけで、習熟という点で段階的にステップアップできる、またはやり直しができるという意味が大きな2連戦となります。
これ、もちろんライダーによっては習熟度が上がって上手く走れるか、そんなこと関係なく同じことを2回やるだけか、と大きく違ってくるんですが、中上貴晶(LCRホンダIDEMITSU)がMotoGPクラス参戦を開始する2018年シーズンイン前に、インタビューでこんなことを話したことをハッキリ覚えています。もちろん、インタビュー外の雑談、みたいなところです。
――タカ、でもMoto2長かったよなぁ。2012年から6年かぁ。
中上「そうですね、お待たせしちゃって」
――長く走ってる弊害とかないの? 飽きちゃうとか、またバレンシアかぁ、とか。
中上「いや、僕走れば走るほどよくなるタイプだと思ってるんです。外国人って、パッと走ってパッとタイム出す才能がすごいですけど、僕どっちかっていうと走って走って、それでタイム出すタイプなんだと思うんです。コツコツ型なの、いつまでもそれじゃダメなんだけど~」
――同じコースで2週連続とかやったらいいのになぁ。
中上「はははは。それなら僕、2回目はばんと上行きますよ」
ほら! これ! まさにこれが今年、現実となったんです。そのため、僕は前回のアラゴンGPレポートの最後を「コツコツ型のタカは、同じコースでの2戦連続に強さを発揮しますから、来週のアラゴン02にも大注目したいですね」と結びました。
タカは今年の2連戦、ヘレスは10位→4位、オーストリアは6位→7位ですが、これは赤旗中断時のひとつ前の周の順位で、赤旗提示の周には2位でしたから! それにミザノは9位→6位と、すべて2レース目は1レース目を上回っています。
その期待に応えるように、タカはFP1から絶好調でした。金曜のFP1で2位、FP2でトップ、FP3/FP4で2番手となってFP総合トップとなると、ストレート進出したQ2ではなんとトップ! つまりポールポジションです! もちろんMotoGPクラスにステップアップして45レース目にして初めて!
「MotoGPで初PP獲得出来ました 最高の気分です! 決勝レースは、考えすぎず自分を信じて楽しみます」とは、タカのSNSでの予選後のコメント。ファンのみんなの反応もすごかった! 土曜夜には「MotoGP」がYahoo!トレンドワードで急上昇していたし、タカやLCRホンダのSNへSの反応もスゴかった! もちろん、日本のファンだけでなく、世界中からコメントが届いてましたよね。
そして決勝日、朝のフリー走行でもタカはトップタイムをマークし、準備万端! 世界中のタカファン、日本のMotoGPファンにとってこの数年、最高に期待したMotoGPだったと思います。
10/25日曜、日本時刻21時からの決勝レーススタート! ポールポジションからスタートしたタカは、ホールショットを獲得し、アレックス・リンス(SUZUKIエクスター)、フランコ・モルビデリ(ペトロナスYAMAHA)をしたがえてレースをスタート。
しかし! 開始30秒でタカは転倒! タイヤが温まっていなかった? ラインをすこし外してコースが汚れてた? 理由は何であれ、タカのアラゴンGP02のレースは終わってしまいました。これで、MotoGPライダーでただひとり続けてきた、10戦連続TOP10で完走、という記録も終了。ランキングも5位から7位に転落してしまいました。
「決勝レースでのミスは、気持ちが強すぎて現実を見失ってたんだと思います。このミスから学び、這い上がるしかありません。この写真のような日がまた来ると信じて戦うのみです」 これが、決勝レース後のタカのSNSでのコメント。
ホンダのウェブサイトでは
「まずはチームのすべての人たちに謝罪したいです。今週末はすべてのセッションでとても力強い走りができました。日曜日にすばらしい結果を残す準備ができていたのですが、1周目のスタート直後に小さなミスをしてしまい、転倒してしまいました。とても残念です。このような形でレースが終わってしまい、とても残念です。でも今週末は速さがあり、ポテンシャルを見せることができたので、ポジティブに考えたいです。とにかく次のバレンシアに向けて仕事に集中したいです。再び連戦があります。強くなっていい週末にしたいです。僕をサポートしてくれたすべてのファンに本当に感謝しています」
タカ、謝罪なんかいらん! またがんばれ! 苦しみの中から這い上がれ!
レースはモルビデリがシーズン2勝目!
タカが戦列を去ってから、抜け殻のように観ていたレースですが、オープニングラップからトップに立ったモルビデリが、一度もトップを譲ることなく今シーズン2勝目をゲット! 2位にはモルビデリを追い詰めながらも追いつくまでには至らなかったリンス、3位には4列目12番手スタートのジョアン・ミルのスズキGSX-RRコンビが入り、これでスズキはカタルニア→アラゴン01に続く3度目のダブル表彰台。
チャンピオン争いではミルが2位ファビオ・クアルタラロ(ペトロナスYAMAHA)とのポイント差を14ポイントに広げてランキングトップをキープ!
チャンピオン争いは、まるで予想がつかない状況のまま、いよいよMotoGPは残り3戦です!
■MotoGP 第12戦 アラゴンGP02
1 フランコ・モルビデリ ペトロナスYAMAHA
2 アレックス・リンス SUZUKIエクスター
3 ジョアン・ミル SUZUKIエクスター
4 ポル・エスパルガロ レッドブルKTMファクトリー
5 ヨハン・ザルコ エスポンソラマDUCATI
6 ミゲル・オリベイラ レッドブルKTM-TECH3
写真/MICHELIN motogp.com 文責/中村浩史