ホンダ「スーパーカブ50」誕生の歴史
ホンダと日本を代表する、世界で最も愛される名車
2017年10月、シリーズ1億台目のラインオフ式典が実施されたスーパーカブ。これは、単一シリーズの原動機付モビリティとしては世界一の台数で、世界中で愛されてきた証だ。初代が誕生したのは1958年のことで、二輪車の総販売台数が月間4万台程度だった時代に月間3万台の販売計画がぶち上げられたという革命児だった。
それでもバックオーダーを抱える程の人気となったスーパーカブは、現在まで基本パッケージを変えずに至っている。女性でも跨りやすいアンダーボーンフレームに高出力、低燃費、信頼性、耐久性を確保した4ストロークエンジンを搭載。クラッチ操作が不要で運転が容易な上、17インチホイールで高い安定性を確保。さらにライダーを水はねから守るレッグシールドを装備し、細部まで配慮が行き渡っている。現行の2018年型から、昔ながらの丸目のヘッドライトが復活し、日本生産に切り替えられている。
ホンダ「スーパーカブ50」ショート・インプレッション(太田安治)
スーパーカブの原点とも言うべき50ccモデルだが、厳しい環境規制に対応させた結果、エンジンパワーは3.7馬力となり、数値的には非力に思える。しかし、ロングストローク設定で、実際に多用する低中回転域ではスペックから想像するより力強く、低めのギア比と併せて十分な登坂力も確保している。
原付一種は法定最高速度が30km/hということもあって幹線道路よりも商店街や住宅地の路地を走ることが多く、配達業務では発進・停止を繰り返すため、パワーよりもこの扱いやすい特性が有利だ。発進操作を簡単にするクラッチ操作不要の自動遠心クラッチや、ロータリー式変速など、独自の操作性が楽しめるのも魅力の一つと言えるだろう。
スーパーカブ50の足つき性・ライディングポジション
シート高:735mm
ライダーの身長・体重:176cm・62kg
リラックスした上体、ゆるやかなヒザの曲がりで、余分な力が入らず、自然体で操作に専念できる。昔から変わらない、バランスのいいライポジだ。コンパクトな車体で足つきに不自由することはないだろう。
ホンダ「スーパーカブ50」ブランドヒストリー
世界生産累計2億台に向けて現在も快走中
2018年8月にウェルカムプラザ青山で盛大に60周年記念イベントが開催されたスーパーカブシリーズ。歴史は62年と長いが、並べてみるとコンセプトに一切の変更がないことが分かる。ホンダが追求してきた低フリクションと高効率燃焼を実現する4ストロークエンジン技術と、ユーザー目線で拘り抜いた車体パッケージがこの成功の礎となっている。
フルモデルチェンジは1966年と2012年の2回だけで、第2世代のOHCエンジンは2007年のFI化に際しても基本設計を変えずに受け継がれ、実に40年以上も存続したのだ。
1958年
1966年
1971年
1978年
1981年
1982年
2007年
2012年
文:太田安治、オートバイ編集部/写真:赤松 孝、森 浩輔