相次ぐスーパースポーツが登場し、スポーツ一辺倒な進化が続いた80年代。HY戦争を勝ち抜いたホンダもただ手をこまねいて見ているだけではなかった。「ここまでやるのか、新しいNSRは…」。レーサーレプリカブームはいよいよ先鋭化という、出口なき局面へ突入していく。

コンピュータ制御を導入した伝説の「ハチハチNSR」=MC18

2ストレーサーレプリカの未来永劫・最高到達点

86年10月のNSR250Rの投入で、ようやくライバルのTZRと同じステージに立ったホンダ。さらなるポテンシャルアップを狙うべく、88年には早くもモデルチェンジ。

改良の目玉となったのは世界初となるコンピュータ制御式PGMキャブレターの採用だ。ジェットニードル部分に通じる専用の空気通路を設け、エンジン回転数とスロットル開度に応じてその通路を開閉するシステム。キャブレターの場合、どうしてもある条件化で混合気が濃すぎる状況が発生してしまうが、このシステムにより濃度を補正、常に理想に近い混合気をエンジンに送り込むことに成功。

画像1: コンピュータ制御を導入した伝説の「ハチハチNSR」=MC18

加えて、エンジン回転数とスロットル開度に応じて点火タイミングを細かく制御するPGM-CDI、作動パターンが2段階に増えたRCバルブ2も採用され、ドライバビリティが飛躍的に向上した。

車体関係も5角断面フレームやフロントフォーク径の拡大、ワイドリムの新作ホイール、ブレーキ強化、カウリング形状の一新など、全面的にブラッシュアップを果たしている。歴代NSRの中で最もパワフルなモデルで、マニアの間では「ハチハチ」と呼ばれる垂涎の年式となった。

画像2: コンピュータ制御を導入した伝説の「ハチハチNSR」=MC18

「NSR250R(MC18)」主なスペックと発売当時の価格

●エンジン形式:水冷2スト・クランクケースリードバルブV型2気筒
●内径×行程(総排気量):54.0×54.5㎜(249cc)
●最高出力:45PS/9500rpm
●最大トルク:3.8kg-m/8000rpm
●ミッション:6速リターン
●ブレーキ形式前・後:ダブルディスク・ディスク
●全長×全幅×全高:1985×640×1105㎜
●タイヤ前・後:100/70-17・140/60R18
●燃料タンク容量:16ℓ
●ホイールベース:1355㎜
●乾燥重量:127kg
●発売当時価格:57万9000円 ※諸元はMC18前期

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