いろいろと話題になっている全日本選手権レースについて。すでに<https://www.autoby.jp/_ct/17414873>でもルール変更のイザコザをお知らせしましたが、この12月15日に、MFJから「規則変更点のお知らせ」という発表がありました

なにぶんこういう「正式文書」ってのは分かりにくいものが多くて、出来る限り詳細に解説していきますね。オイこれ違うんじゃないの?ってか所がありましたらご指摘ください。webオートバイはすぐに加筆・修正・訂正いたします!(笑)

主な変更点は9つ。2019→2020年の変更点は変更点5つ、それ以前はこういったお知らせをまとめて発表することはありませんでしたから、2020→2021年はいろんなことが大きく変わる節目となるようです。では1つずつ!

1:ライセンスの申請昇格制度とポイントスケール変更
現在、ロードレースのライセンスは大きく「国際」「国内」のふたつ。2021年度からは、国内ライセンスから国際ライセンスへの申請昇格は各地方選手権の各クラス「ランキング上位者から何人」ってふうに変わります。これまでは獲得ポイント数、ランキング上位の「いずれか、って条件だったのが、明確にランキング上位者だけになった、ってことです。なお、一定の獲得ポイント、ランキングを条件を満たした人への「自動昇格」制度はそのまま。

これはたとえば参加レースが少なかったり、エントリーが少ない場合への対応策で、ランキングトップだったけど獲得ポイントが30Pだった――のようなケースでも昇格できるということ。かつてロードレース全盛の頃、ゴールデンルーキーに代名詞だった「特別昇格」制度は廃止になりました。

2:全日本選手権/MFJカップ選手権の獲得ポイント
ポイントスケールってのは順位に対して与えられるポイントのこと。わかりにくい言い方だなぁ(笑)。これは順位によって与えられる「得点差」がランキングを大きく左右するわけで、たとえば1位50ポイント、2位10ポイント、3位1ポイントなんて極端な差があったら優勝だけが大事で2位3位はチャンピオン争いに重要じゃなくなっちゃう。

全日本選手権とMFJカップ選手権の獲得ポイントは
□2020年まで→1位:25P 2位:22P 3位:20P 4位:18P 5位:16P 6位:15P 7位:14Pから1ポイントずつ減って20位:1P
■2021年から→1位:25P 2位:20P 3位:16P 4位:13P 5位:11P 6位:10P 7位:9P 8位:8P 9位:7Pから1ポイントずつ減って15位:1P

15位までしかポイントが与えられない、優勝者と2位のライダーが3Pから5Pに、優勝者と3位のライダーが5Pから9Pに広がった、って内容で、新ポイントはGPと同じになったんですね。これは優勝者の価値を高めて2位/3位もっとがんばれ、って内容で、世界のトップレースであるグランプリと統一するんだからいいことですね。これまで20位までポイントをもらえてたことに関しては、たとえばあるシーズンのあるレースでは、参加台数9台、優勝者は25P、9位(つまり最下位)に12Pが与えられた、ってことがありましたから、なんじゃそれ、そこまでもらえんのかい!ってことがひとつなくなりました。

3:ゼッケンとゼッケンベースカラーの変更について
2021年シーズンに与えられるマシンゼッケンは、2020年のランキング順です。各クラスのランキング1~10位は「赤のゼッケンベースに白抜き番号文字」として、11位以下はJSB1000が「黄地に黒文字」、J-GP3が「黒地に白文字」、ST1000が「紺地に白文字」、ST600が「白地に黒文字」となります。

タイトルに上げた「話題のアレ」とはここのことです。上の<https://www.autoby.jp/_ct/17414873>でもお知らせした、レース界をちょっと混乱させた件についてですが、これも決定しちゃいました。うーむ、Webオートバイでも問題提起くらいはしたつもりなのに、結局なにも変わりませんでした

実はこの問題提起についても、なかなか賛否両論ありまして、WebオートバイはMFJと癒着していてこの記事を書かされた(=つまり賛成誘導したってこと? そんな内容じゃないはずなんだけど)、この記事を書いたWebオートバイのナカムラヒロフミなる人物は、MFJ会長と個人的に知り合いであるから(これはそういう風に書きましたので)ズブズブである、と。
むぅ、言わせたい奴には言わせとけ、とは思うんですが、寂しいねぇ。もう少し建設的な問題提起続報とかはできなかったのかな。特にいろんなメディア、レース専門誌からはほとんどなんの反応もありませんでした。寂しいよ。Web専門メディアは少し追ってくれましたが、こういうの一丸となって反応しなきゃだめだよなぁ。

MFJにも話は聞いてもらえたんですが、全くのレース観戦初心者が見たときにわかりやすくする、もう決定したこと、機能しなかったらもとに戻す可能性はある、という回答は変わりませんでした。これはもう、同時に発表された「より露出機会を増やしていく」のと「まったくのレース観戦初心者は分かりやすい」という点を注意深く見ていくしかありません。機能しているしていない、はまた意見を言えばいいことです。
でも言わせてもらいます。「なに言っても無駄なんだねぇ」と、ゼッケン問題に反対したレース関係者、ファンに思わせてしまったことについては、ルール変更上の重大な過失だかんな、MFJ!

4:全日本選手権およびMFJカップJP250の競技運営
これはJSB1000/JP250クラスの予選通過基準タイムに関する変更と、ST1000クラスのレース距離(60km以上70km以下から65km以上75km以下へ 筑波サーキットのみは40km以上、って点が削除されました)の変更。スタート進行やクイックリスタートについての変更と追加事項もあります。

5:J-GP3クラス若手育成「GP3チャレンジクラス」について
4ストローク250ccマシンで行なわれているJ-GP3クラスは、J-GP3/J-GP3チャレンジ(19歳以下の国際ライセンス所持者)/J-GP3特別参加枠(国内ライセンス所持者)で構成されていますが、ここは変わらず。19歳以下の「チャレンジクラス」は、6戦終了時のランキング最上位で、J-GP3クラス上位選手とおなじレベルのスキルを持つ、と認められたライダー1名は、2022年のアジアタレントカップ(=ATC)の年間参加資格が与えられ、2021年のATCもてぎ大会へのワイルドカード参戦資格も与えられます。

6:JP250 4 気筒 250 ㏄クラス設定について
JP250クラスに「4気筒250ccクラス」が追加されます。ココ大事! 大事件!
これまで、ほぼCBR250RR/YZF-R25/Ninja250の2気筒モデルで争われていたJP250に、Ninja ZX-25Rが参加できるようになった、ということです。ただし、ライダー込みの最低重量が2気筒車=200kgに対して4気筒車=+20kgの220kg、105dBの音量測定回転数が2気筒車=7500rpmから4気筒車=11500rpmと設定されています。

ちなみにCBR250RRの最高出力は41ps/13000rpm、車両重量は168kg、Ninja ZX-25Rは45ps/15500rpm、184kgですから、2気筒のCBRは最高出力発生回転の57%(YZF-R25は63%)で、ZX-25Rは74%で音量を図られる、と。レース界でいう音量規制は、そのまま出力と同意のようなものですから、このハンデが適当かどうか。そのため、重量と測定回転数は2戦ごとに見直されます。つまり、これでも戦力均等が図れなかったら、どんどんイコールに近づけていく、と。この柔軟なところ、いま風のレギュレーションですね。

画像: SPA直入で行なわれた九州エンデュランスフェスタではいち早く2気筒vs4気筒の対決が実現!

SPA直入で行なわれた九州エンデュランスフェスタではいち早く2気筒vs4気筒の対決が実現!

7:ワンメイクタイヤについて
すでに発表されている通り、ST600クラスはブリヂストンタイヤ、ST1000/JP250はダンロップタイヤのワンメイクで行なわれます。

8:ライダーの装備脊柱および胸部プロテクションについて
1シーズン前に予告されていた「脊椎パッド、チェストプロテクターはCEレベル1/レベル2適合品であること、エアバッグに内蔵されている場合は別に装着しなくてOK」という変更が施行されました。この「1年前の予告」ってのはフェアですね。あの一件に関しても……いや、言うまい言うまい。

9:車両に関する変更点(技術仕様関連)
JSB1000/ST1000に関しては「ブレーキ冷却用のダクト追加」がOKになります。これは20年の第4戦もてぎ大会で、清成龍一(ケーヒンHondaドリームSIR)のCBR1000RR-Rに関して起こった失格騒ぎ<https://www.autoby.jp/_ct/17401756を参照>の対応策で、FIM世界耐久選手権のレギュレーションに準じた改訂です。特にツインリンクもてぎでは、MotoGPマシンでも大径ディスクローター装着が認めらたことがありましたから、こういうことは先回りしてレギュレーション改訂しておいてほしいものです。

画像: もてぎ大会で失格の原因となった清成車のキャリパー(またはパッド)冷却ダクト レース後に他チームからの抗議で3位入賞が失格となった

もてぎ大会で失格の原因となった清成車のキャリパー(またはパッド)冷却ダクト レース後に他チームからの抗議で3位入賞が失格となった

ST1000についてはフロントフェンダーに規定までのドリリングがOKになったこと、リアハンドブレーキがST1000/ST600/JP250クラスに搭載禁止になったこと(でも特別な許可の場合はOK=右足に可動不自由があった場合など、ですね)、各クラスのオートシフターの追加がOKになったこと、エアエレメントとオイルフィルターに関すること、そしてNewCBR600RRに標準装備されたウィングレットについては、ハンドル+レバーガード全幅がウィングレットより広くなくちゃダメ、ということが決まりました。

画像: NewCBR600RRに標準装備のウィングレット サーキットスピードでは効果が誰にでも実感できるものです これも今後のレギュレーション改訂にかかわってくるのかな

NewCBR600RRに標準装備のウィングレット サーキットスピードでは効果が誰にでも実感できるものです これも今後のレギュレーション改訂にかかわってくるのかな

今回の改定については2009年度ロードレースセミナー(http://www.mfj.or.jp/user/top/info/detail.php?aid=4982)に発表されています。MFJのオフィシャルホームページではレースに関するルールブックも閲覧できますから、たまにはこういうとこも目を通しておくと、へぇそうだったんだ、ってことがあります。

あ、こういうこと書くから「MFJがwebオートバイに書かせてる」なんて言われちゃうのか。
天地神明に誓って、そんなことあるかっ!

文責/中村浩史

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