文:太田安治/モデル:梅本まどか/写真:南 孝幸
全域性能に拘ったフルエキとチタンサイレンサー!
スクーターのリプレイスマフラーは手軽に交換できるスリップオンが主流。車両に対しての価格比率が大きいだけに高価なフルエキゾーストシステムの需要は少ないが、そうしたビジネス的リスクを承知でフルエキゾーストを製作したのがアールズギア。その理由は単純明快。エンジンパフォーマンスに拘ったからだ。
サイレンサー部の変更だけでは低中回転域でのトルクアップと高回転の伸び、規制に合った排気音量を同時に実現することは難しい、かといってどれかを妥協するのは樋渡氏のプライドが許さなかったのだろう。オリジナル形状のステンレス製エキゾーストパイプに異形デザインのチタン製サイレンサーという組み合わせは必然ということだ。
スクーターの多くはスロットル全開時に最大トルク発生回転域を保って加速する設定だから、ここでのトルクが増大すればスタートダッシュも追い越し加速も向上する。実際、スタンダードのADV150と比べると動き出しから40km/hあたりまでが明らかに速く、排気量が20%ほど多いように感じる。最高出力は+0.1馬力とわずかな向上だが、高回転域に至るまでのパワーが増えたことでキビキビ感に磨きが掛かっている。フル加速時の排気音は勇ましいが、スロットル開度一定の巡航時は耳に心地いい程度の音量。高速道路巡航で気疲れすることもないはずだ。
スロットルを閉じて再び開けたときのツキも良く、ダート路面でのスライドコントロール性も上がっているだろう。スリップオンでは果たせない性能アップを実感できる製品だ。