お話を伺ったのはこちらの5名
こだわりと熱意が支える大人気モデルの充実進化
PCXは誰もが認める大ヒットモデル。前モデルはデビューから2年しか経っていない。モデルチェンジの必要があったのだろうか? 開発メンバーの皆さんに、まずその疑問をぶつけてみた。
「開発をしていると色々なアイデアが出てきますが、中には間に合わなかったものもあるわけです。先代で相当刷新しましたが、まだまだやりたいことはありました。その中のひとつがUSBタイプCソケットの採用です。スマホがきちんと充電できる電力を確保して省スペースも実現した、こだわりの装備です」(大森)
そんな新型PCXだが、ハイライトのひとつである4バルブヘッド採用の「eSP+」エンジンは、高出力と省燃費、どちらを狙ったものだったのだろうか?
「正直、両方とも狙っていました。パワーも燃費も向上する欲張りなエンジンですが、ウォーターポンプ回りを簡略化して部品点数を減らすなど、コストも抑えています」(武市)
新型は車体周りも大きく変わった。洗練されたフレーム形状に加え、リアタイヤは1インチダウンさせている。
「リアの13インチ化で稼いだスペースはトランク容量の拡大ではなく、ほとんどサスストロークのアップに使っています。シットインスタイルのPCXでは段差を乗り越える際の突き上げも大きく感じられるので、リアのトラベル量を増やして、足回りがしっかり動く、乗り心地のいいバイクを目指しました」(大森・半田)
今回はHSTC(Honda セレクタブル トルク コントロール)というビッグバイク並みのハイテクデバイスも採用されている。
「濡れたマンホールや道路のペイント、石畳など、スリップするリスクはどのバイクも同じです。若い方からベテランまで、幅広いが乗るPCXだから、HSTCはあった方がいい、ということで採用しました」(大森)
PCXらしさをさらに研ぎ澄ませたスタイリングも今回のハイライトだ。
「エッジの効いた水平基調のデザインを取り入れながら、大人の方にも似合う、エレガントなイメージに仕上げました。スポーティでありながら、必要以上にアグレッシブにならないよう、面構成にも気を配っています」(岸)
流麗なスタイル、装備、そして上質な走り。PCXの魅力は、常に「一歩先」を見続ける開発陣の努力が切り開いている。
「こうしたら絶対によくなる、というものを新型はすべて盛り込みました。」(前田)
「初めてバイクに乗られる方にも、PCXを通じてバイクの楽しさを味わっていただけたら嬉しいです」(大森)
まとめ:オートバイ編集部/写真:南 孝幸、オートバイ編集部