GOCCIA GEV600の外観とSPEC
外観
エンジン&タンクのかわりにバッテリー&モーターを搭載。レイアウトの自由度が高くコンパクトな構成のため、スマートなスタイリングを実現している。モーターはリアハブに組み込まれており、車体構成は極めてシンプルだ。
ホイールサイズは前後14インチ。車体の軽量さに対して比較的大きなホイールサイズとすることで、安定性など走行性能を支えている。
リアはドラムブレーキだが、フロントにはディスクブレーキをおごる。
SPECIFICATION
SPECは以下の通り。特筆すべきは56kgという軽量さだろう。これは電動スクーターならでは。そしてECOモードで約70km走行可能というのも非常に大きなポイント。
燃費ならぬ電費が非常に高い。電動モビリティというと走行距離が気になるが、GEV600においては、高い実用性を持つといえるだろう。
製品名 | GEV600 |
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車両区分 | 第一種原動機付自転車 |
車両寸法 | 1720×690×1030mm |
車両重量 | 56kg |
出力(定格/最大) | 600W×1300W |
最高速度 | 50km/h |
積載重量 | 150kg(乗員含む) |
1充電走行距離 | 約70km(ECOモード 30km/h定地走行値) |
乗車定員 | 1名 |
モーター | 48V×600W |
バッテリー種類/重量 | リチウムイオンバッテリー/7.4kg |
バッテリー電圧/容量 | 48V/20Ah |
充電時間 | 6-8時間 |
ホイール | アルミ合金 |
タイヤサイズ | 2.25-14 |
制動装置形式 | 前:ディスクブレーキ 後:ドラムブレーキ |
カラーラインナップ | 4色 ブラック×グレー ホワイト×ホワイト レッド×ホワイト ライトブルー×グレー |
製造国 | 中国 |
価格 | 16万2,800円(税込) |
実際にGOCCIA GEV600に乗ってみる
GOCCIAとは、イタリア語で「雫」という意味。
新たな時代への、雫の一滴となりうるのか。
走り出すまでの操作方法
ハンドル中央部のデジタルメーターで、ほぼすべての情報が管理される。速度、電池残量といった重要情報は、大きく表示されている。
スイッチ類の使い勝手は、一般的なスクーターと同様。特に違和感を持つこともないだろう。唯一セルスイッチのあるべきところにMODEボタンが設置されているのが相違点。
操作は至極簡単。リモコンキーでセキュリティ解除し、車体の電源ボタンをオン。モードボタンを押してPモード解除してREADYランプが点灯したら、あとはスロットルをひねれば走り出す。
音と動きで安心セキュリティ
基本装備としてセキュリティを搭載。軽くコンパクトなモデルだけに、こうした配慮はありがたい。
操作はいたってシンプルで、リモコンのセキュリティボタン押すだけ。
セキュリティ状態で動かそうとすると、警告音&車体の振動で大きくアピール。わかっていても相当びびるくらいなので、防犯効果も高そう。
GOCCIAの電動スクーター「#GEV600」は走行もパワフルだけど、盗難抑止効果がすごい! メッチャうるさい! めっちゃ揺れる! ちなみに取り扱いはプロトさんで、車体本体価格は税抜14万8000円です!@plot_p2 @SaoSao0709 pic.twitter.com/rh3PzaQEFE
— webオートバイ@YouTube動画増産中! (@webautoby) October 28, 2020
ECOモードでは実用性の高さとストレスフリーなセッティングが光る
まずはECOモードで走行してみる。
出だしの加速感は、電動というイメージからすると、意外なほどにスムーズ。モーターである以上、出力は矩形にならざるを得ないので、急なトルク感を予想していただけに、良い意味で驚きを感じる。
ちょっと懐かしい実用50ccスクーターのような、「唐突さのない、自然な加速感」で車体を押し出していく。このあたりのチューニングはプロトが日本導入するにあたって、徹底してこだわった「バイクらしさ」の表れだろう。
そのままスムーズに30km/hに到達すると、そこで頭打ち。電動オートバイというと、パーシャルでの速度維持が難しいイメージがあったが、そもそも30km/h位しか出ないので、速度維持に気を使うこともない。
ECOモードで普通に走っていれば、速度違反を気にすることもなく、燃費ならぬ電費も良く、まさに良いことづくめ。
バイク好きだけでなく、初めて乗る人や原付一種にしか乗ったことのない人にも勧めやすい乗り物と言える。スムーズな印象が強く、反面トルクフルな走りの楽しさなどはあまり感じられないが、無音でスイスイ走る感触は、次世代コミューターらしく新鮮。
個人的には原付一種という性質上、実用上ECOモードだけでも十分だと感じたが、もちろんそれだけではない。
POWERモードで性格は豹変
右手側スイッチボックスのボタンを押すと、ECOモードからPOWERモードにスイッチ。
モード変更時のショックなどもない。
はっきり言って、POWERモードでの走りは相当パワフル。
モーターの特長ともいえるトルク感あふれる走りで、軽量な車体をぐいぐいと加速させていく。自転車等をスムーズに追い越す時や、坂道などで非常に頼もしい。
もちろん走行中にもスムーズにモード変更が可能なので、「坂道だけPOWERモードにして、平地になったらECOモードに戻す」といった乗り方も自然にできる。
軽量な車体と、14インチホイールのバランスは秀逸で、パワー感にあふれつつも足回りやフレームが破綻することもない。トルクフルなモーターをリニアなスロットルワークで操る感触は、積極的なライディングフィールを感じるもの。シンプルに楽しい。
とはいえ、油断すると制限速度30km/hを簡単に越えてしまうので、自制心も必要。
この車両最大の魅力は、ECOモードでの電費の良さ&ストレスのない走りだろう。さらにPOWERモードの存在により、より懐の深い走りを楽しむことのできる乗り物に仕上げられている。
唯一のネガといえば、メットインスペースがないことだろう。だが、そうした装備を追加すれば当然車体は重くなり、走行性能や電費に小さくない影響が出ることは想像に難くない。航続距離や運動性能などを考え、敢えてメットインスペースを設けなかったのも英断と言える。
幸い、オプションでフットボード部分にカゴを装着できるので、日常の積載に不満はない。日常使いであれば、リュックかメッセンジャーを背負って、そのまま歩きだすようなスタイルが、個人的には似合う気がする。
各部紹介
小ぶりなシートは、立体的なデザインにより、太ももの違和感などもない素直な仕上がり。
コンパクトなボディではあるものの、左右に張り出したフットボードのおかげでポジションの自由度は高い。178cmの筆者でも特に窮屈さを感じることはなかった。
リアキャリアにより実用性も高められている。ゴムカバーも付属しているので、ビジネスバッグなどを傷つける危険性も少ない。積載についてはまた後日検証しようかと思う。テールランプ&ウィンカーはもちろんLED。
低めのステムから素直に伸びるハンドルバーには、中央部に液晶メーターをマウント。
メインチューブには、電源スイッチ。そしてスマホなどを充電するのに便利なUSB端子が設けられる。ステム右側にはハンドルロックも装備。
電動モビリティらしく、先進的なデザインのLEDヘッドランプ。
シート下にはリチウムイオンバッテリーを収納。車体に装着したままでも充電は可能だが、セキュリティを考えると、バッテリーを外して屋内での充電が正解か。その際の充電アダプターも付属する。
開発者インタビュー
徹底した改良開発による完成度
Q.発売にあたって苦労したポイントなどを教えてください。
日本導入にあたって、改良開発を徹底的に行いました。あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、ゼロからの新規設計でこそないものの、ソフトからハードまで徹底的に改修を行っています。
制御系のセッティングはもちろん、こちらからメーカー側に各部の素材変更や品質向上などを求めており、ベースモデルとは別物といって良いレベルです。
Q.開発コンセプトや車両のポイントは?
改良開発は、3つのコンセプトで行いました。
ひとつは、ガジェット・Eモビリティとしての使いやすさ。
そして、Eモビリティを身近にするための価格設定。
最後に、サービス体制の充実による維持の容易さです。
使いやすさについては、走りの良さや航続距離など、実用上の性能面ですね。
価格面については、電動自動車などはまだ価格帯が高いので、より身近な乗り物としてのEモビリティを提供したいという想いがあります。
そしてサービス体制ですが、オートバイ販売店での購入およびサポートを行うことで、使い捨てにならないよう長く付き合えるモデルを目指しています。
Q.改良開発にはどれくらいの期間をかけたんですか?
1年以上に渡って実走テストを繰り返してきました。実走を繰り返すことで、理論値ではなく実際に可能な数値を追求しています。
雨の日や猛暑、峠道をはじめ、本当に様々な走行環境でテストを行いました。実用にあたって考えられるシチュエーションは、ほぼ実走していると思います。
そうした条件で発生する、さまざまな課題をクリアしてきていますので、かなり完成度の高い乗り物に仕上がっていると自負しています。
Q.中でも特にこだわったポイントは?
乗り味の追求ですね。特に走り出しなんですが、電動ですので良く言えばトルクフル、悪く言えば唐突になりがちなんです。
ですので、走り出しで怖さを感じないようスムーズに、エンジン動力の原付スクーターと同じような感覚で乗れるよう仕上げています。
Q.航続距離の長さも魅力ですよね。
航続距離は実用上の重要な要件なので、そこはかなり徹底的に追及しました。
しかしただ航続距離を延ばすだけではなく、わかりにくい部分にもかなりこだわっています。
電動の乗り物特有の傾向として、満充電時点での性能が出力のピークで、電池が減るにしたがってパワーが落ちてしまうんですよ。
そこで、充電50%までは満充電と同様の性能を維持できるようにしています。
イメージとしては、原付一種の一日あたり平均走行距離である約8kmを基準に、週に2回充電するだけで常に最良の性能を発揮できるよう設定しています。
購入はお近くのオートバイ販売店で
Q.どこにいけば購入できますか?
家電量販店などで販売している電動バイクもありますが、整備などのサポートという観点からオートバイ販売店での取り扱いとしています。
2021年3月現在では、全国65か所のオートバイ販売店で購入可能です。取り扱いショップは、今もかなりの勢いで増えています。
さらに全国に9000店以上のプロト取り扱いネットワークがあるので、最寄のオートバイ屋さんで相談してもらえば、大抵のお店で取り寄せ可能です。
取り扱いショップについて、詳しくは下記にて。
Q.車両購入時のサービスやキャンペーンはありますか?
安心して乗っていただくために、半年間の無料ロードサービスが付帯します。原付一種という性質から「15km以内のレッカーが2回まで無料」というものになります。
あとこれは台数限定になってしまいますが、車両購入に対して一万円キャッシュバックキャンペーンを行っています。台数限定ですので、規定台数に到達次第キャンペーン終了になってしまいます。ご理解いただけると幸いです。
ツーリングやキャンプツーリングは可能なのか?
次回検証してみます。
モーター駆動、しかも原付一種ということで、走りの楽しさについては正直不安だったが、乗ってみたらまったくもって杞憂だった。
軽さと素直なトルク特性で、想像以上に面白い乗り物という印象。
なんといっても、航続距離約70kmには可能性を感じる。ショートツーリングはもちろん、電源付きサイトを利用すればキャンプツーリングも可能かもしれない。
今後、そうした可能性も検証したい。
レポート:若林浩志