これももうすっかりおなじみだけれど根っからのオートバイ乗り!
「最初にバイク買ってから40年経つね」ってサラッと言う先生は
愛機CB1300SBを、ガラッとお色直ししてみたのだ!
文:中村浩史/写真:森 浩輔/取材協力:日本体育大学
アテネから20年、パリで金の矢が輝くか──。
ストライカーに集う新しいオートバイ仲間は、走り屋揃い。心根は優しいけれど、イカツいカワサキ乗り──そんなイメージどおりだった。
「新しい仲間ができると、乗る機会も増えますね。ショップも自宅から遠くないから、授業が終わってオートバイで遊びに行ったり、そんなつきあいが始まったんです。みんなスゴいバイクに乗ってるよね。みんな『先生のコレだめだよ、コレ換えた方がいいよ』とか言ってくるの」
先生の中でも、カスタムの虫がうずき始める。かつてはガンマのエンジンをバラしてポート研磨までしていたし、競技に使うボウ(アーチェリーの弓)だってオーダーものの山本スペシャルを使っている。
「もうね、サスやホイールを換えたってブレーキを強化したって、みんなもっとスゴいの乗ってるの。だから、コレはオールペンがいいんじゃないか、って。新さんにTMガレージさんを紹介してもらって、カラーリングの相談に出かけたんです。ストライカーのみんなが乗るカワサキはワルっぽくて、僕のホンダはすごく優等生に見えた。それを変えたかったんだよね」
山本先生のオーダーは妖艶さ。イメージはアンジェリーナ・ジョリー(笑)。セクシーで、チョイ悪で、妖艶なオートバイにしたかった。テーマカラーは燃える「赤」。競技で使うギアでは、心を静める青や白をよく使うという山本先生だが、競技者とは違う顔を、と歴代のオートバイは赤が多いんだそう。
「スーパーカーブーム世代ですから、乗り物は赤がいい! ニンジャも赤だったし、ガンマの頃は大学の寮で自分で赤にオールペンしたほどです」
「ストライカーのお客さんのゼファー1100が、お手製のラップ塗装だったんです。うわぁ、この独特の模様はスゴいなぁ、ってTMガレージさんにお願いしました。僕はイメージを伝えるだけで、TMさんが具体的なところまで決めてくださって。何度か途中経過を見ながら修正したり、で3カ月くらいかかって完成したんです」
インタビューを行なったのは、塗装が完了してわずか数日後。ペイントのことをこまごまと説明してくれる先生は「うーん、カッコいいなぁ」「カッコいいねぇ」「そうでしょー?」を連発。中年の星だって、オートバイを前にすると、少年になるのだった。
──オールペンして、いかがですか?
「90点くらい。ホンネは100点満点なんだけど、まだ伸びしろを残したいっていうか、何度も打合せしたとはいえ、プロにお任せしちゃってるからね。これを乗り続けて行けば100点に近づいていくんだと思うんです」
乗り始めて13年目のCB1300スーパーボルドール。オールペンを終えた山本少年は、新しくバイクを買ったようにニコニコが止まらない。
「もう違うオートバイですよね。もう1台、買い直したみたい。10年も手元にあると、どうしても慣れちゃうし、ワクワク感がなくなってきちゃう。それを自分だけの一台にできちゃうのがカスタムペイントだと思うんです」
アテネオリンピックから20年後は、次回パリオリンピック。先生! 銅→銀の次にはCBのタンクマークにあるウィングマークのゴールドの矢、つまり金メダルが見たいです!
山本先生のCB1300SBの各部をチェック!
2007年式のCB1300スーパーボルドール。チタンフルエキにオーリンズリアサス、前後ゲイルスピードホイールと、ひととおりカスタムしている車両だが「バイク仲間のまわりは、もっとカスタムしてるよ〜」なんだとか。世界に一台だけの愛車にするなら「カスタムペイントしかないな!」と思いついたんだという。愛車購入後、13年目の大お色直しだ。
文:中村浩史/写真:森 浩輔/取材協力:日本体育大学