文：太田安治、オートバイ編集部／写真：南 孝幸／モデル：木川田ステラ
ホンダ「クロスカブ110」インプレ・解説（太田安治）
Honda CROSS CUB110
総排気量：109cc
エンジン形式：空冷4ストOHC2バルブ単気筒
シート高：784mm
車両重量：106kg
メーカー希望小売価格：34万1000円（税込）
※くまモン バージョン：35万2000円（税込）
ストリートでもオフでも軽快に楽しく走れる！
2020年6月に発売され、大ヒットとなったCT125・ハンターカブだが、その呼び水ともなったアウトドアテイストのクロスオーバーモデルがクロスカブ110だ。2013年に登場の初代は、オフロードムードを採り入れたスーパーカブ110の派生モデル的な存在だった。
こちらはCT125・ハンターカブ。総排気量124cc・税込価格44万円。
だが、2018年のモデルチェンジで実用車然としたレッグシールドを廃止し、前後サスペンションも舗装路での快適性を高める方向に設定を変更。タンデムステップも装備して2人乗りを可能にするなど、洒落っ気と実用性を併せ持つストリートコミューターへと進化したことで、エントリーユーザーやスクーターからの乗り換えライダーまで、幅広い層に支持されている。
109ccのエンジンは空冷SOHC2バルブ単気筒という極めてオーソドックスなもので、扱いやすい出力特性と圧倒的な耐久性は世界中で高く評価されている。細かな改良を重ね続けて振動や変速時のショック、メカノイズも抑えられている。
写真のライダーは木川田ステラ。
ミッションはカブシリーズではお馴染みの自動遠心クラッチ＋4速リターン。ハンドル左側にクラッチレバーはなく、ニュートラルからシフトペダルを踏み込んで1速に入れ、スロットルを開けるとエンジン回転の上昇に伴ってクラッチが繋がってスルスルと発進する。シフトアップはスロットルを戻してペダルを踏み込むだけ。元々は出前や新聞などの配達業務用に右手だけで運転できるように工夫された機構だが、独特の操作性はカブシリーズだけの魅力にもなっている。
スクーターのオートマチックと比べるとスロットルのオン／オフに対する反応がダイレクトで極低速域での速度調整もしやすく、Vベルトを定期的に交換する必要もない。駆動ロスが少ないため燃費もいいし、AT小型限定普通二輪免許で乗れるのもメリット。
車重が106kgと軽量なうえ、上半身が直立するライディングポジションでハンドリングは軽快そのもの。動きのいい前後サスペンションと市街地の速度域に合った車体剛性で乗り心地もいい。フロントのドラムブレーキはレバーを握り込んだときの食い込み感が弱めだが、コントロール性は上々だ。
オフロード色の濃いキャラクターのハンターカブに対し、市街地を軽快に駆け回れる等身大の付き合いやすさがクロスカブの魅力。質実剛健な作りと車両価格、維持費の安さで、通勤通学にもうってつけの一台だ。
文：太田安治
