ダカールラリーなどで輝かしい戦績を残すオフロードのスペシャリスト三橋淳さん。最近は日本の林道ツーリングにハマっているとのこと。この記事では、三橋さんが林道を走る際に実際に持っていくものを公開! 豆知識も盛りだくさん、次のツーリングで取り入れやすいアイテムばかりですよ!

転ばない、壊れないことを前提とした身軽な装備(文:三橋 淳)

天気がいいので林道ツーリングに出かけてきました。ホンダ・アフリカツインを相棒に選んでから林道行く機会が増えましたよ。

16歳からバイクに乗り始めて35年。オフロードばかりのバイクライフだったから、エンデューロも散々やったし、最近流行りのハードエンデューロみたいなことも散々やった。

挙げ句の果てには海外の砂漠なんぞまで走るくらい、いろんなオフロード走ってきたのに、今まさに林道ブームにいる。一周回ってまた帰ってきた感じだ。

画像1: 転ばない、壊れないことを前提とした身軽な装備(文:三橋 淳)

というのもアフリカツインは本当に快適。高速道路はピューンと移動できるし、クルーズコントロールがあるし、DCTだからオートマ操作で楽チン。たまに試乗とかで他車に乗った時に、これらの装備がないとつい面倒に感じる。快適度が一旦上がると、人間なかなか元には戻れなくなっちゃうもんだね。

それでいて林道は適度な緊張感があっていい。アドベンチャーバイクの中ではオフロードに優しいアフリカツインだけれども、大きな車体は土の上では、250ccのオフロードバイクを扱うよりも断然難しい。

でもそれが緊張感を生んで林道ツーリングにスパイスを与えてくれる。だから走り切った時の達成感がたまらない! 転ばず走り切っただけでも満足してしまうほどだ。ただの林道なのに! そのくらいの冒険心を与えてくれるのが、アドベンチャーバイクでの林道ツーリングの楽しさなのだ。

画像2: 転ばない、壊れないことを前提とした身軽な装備(文:三橋 淳)

さて、そんな冒険心を満たすアドベンチャーバイクでの林道ツーリング。いったいどんなものを持って走っているのか? よくいろんなライダーに聞かれるので、ここでは三橋淳の林道ツーリング装備品を紹介しよう!

これがジュン流ツーリングギアセットだ!

画像3: 転ばない、壊れないことを前提とした身軽な装備(文:三橋 淳)

ペットボトルと食料。カメラと三脚。それに帽子と赤ちゃんお尻ふき。以上! これをヒップバッグに入れている。

「これだけ!? 工具とかエマージェンシーキットとか持たないの?」という声が聞こえてきそうだが、はい、一切持ってません!

順を追って説明しよう。

画像4: 転ばない、壊れないことを前提とした身軽な装備(文:三橋 淳)

水分補給はペットボトルが便利

まずは水分。これは林道ツーリングというか、今やバイクツーリングでは絶対持っていきたいアイテムだ。水分はこまめに補給しておきたいからね。そこで私はペットボトルを持参する。

最近の流れではハイドレーションバッグが人気で、ツーリングに活用するライダーが多い。これは走りながら飲めるのでおすすめのアイテムだけれども、私はツーリングでは使わない。

レースでは散々使ってたからだろうか、そんな走りながら飲まなくても、バイク停めてヘルメット脱いで休憩して飲めばいいじゃん! と思ってしまう。レースの時は急ぐけど、急がなくていいのがツーリングのいいところじゃないか、と思ってしまうわけです。

ペットボトルはとにかく便利。まず軽いし、飲み切っても水道等で補給が簡単にできるし、さらに飲み切って仕舞えば、くしゃっと畳んで仕舞えばスペースを取らない。

クルマでダカールラリーに参戦した時、ラジエタートラブルで水が減ってしまった時のこと。砂漠の真ん中で立ち往生していたら、そこに住んでいる人たちがやってきて、水を分けてくれた。

その時の容器がまさにペットボトルだった。「軽くて密閉できるから、持ち運びにも保存にも便利なんだ」と砂漠の民が語った言葉が、今でも印象として残っている。

そういった思い出があるからかペットボトルを愛用しているのだが、今のご時世プラスチックはよろしくないという風潮があるので、今後は水筒の携帯を考えようかとも思っているが、ペットボトルは便利すぎて困る。

画像: 写真は過去のダカールラリーでのヒトコマ。

写真は過去のダカールラリーでのヒトコマ。


食料は「ようかん」がおすすめ

さて次に食料だ。これも必ず持っていく。万が一のトラブルでも食料があれば安心だし、それ以前にお腹が空いたら思考能力は落ちるし、ハンガーノックにでもなったら身動きが取れなくなるので、おつまみとお守りがわりに持っていく。
※「ハンガーノック」とは、長時間の運動によって極度の低血糖状態に陥ること。ひどい状況では意識を失う場合も。こまめなエネルギー補給が予防につながる。

基本昼飯はどこかによって、名物料理を食べたいという思いがあるから、あくまで携帯食は保険。

そこで私がおすすめするのがようかん!

画像: 食料は「ようかん」がおすすめ

これ、ダカールラリーでも携帯していたアイテム。非常食というとジェル状のタイプがあるが、これが腹にたまらず満足感が得られない。バー状の固形のものだと、今度は水分が奪われてしまい、喉を通りにくい。

その点ようかんは水っけがあり、それで食べ応えがあって満足度が高い。それに一口サイズになっているものが売られているので、保存が効くのがありがたい。実はスポーツようかんなるもの販売されていて、運動時のエナジー補給にはポピュラーな存在なのだ。

ただ非常食だけじゃ物足りないので、おやつ的なものも持っていく。いつもは菓子パンだけど、今回はドーナツ。

あまりお勧めしないけどね。こうなちゃうし。

画像: 潰れてぐちゃぐちゃ……。

潰れてぐちゃぐちゃ……。


紙類は「赤ちゃん用お尻拭き」が役に立つ

下が赤ちゃん用お尻拭き。

あとはヘルメットを脱いだときにボサボサヘアを隠す帽子と、赤ちゃん用お尻拭き! これも便利。赤ちゃん用はアルコールが入ってないから顔を拭いてもヒリヒリしない。

それに長時間ライディングでお尻の穴への負担も大きいから、これで拭くとダメージが少ない。これも海外ラリーで必ず持っていくアイテムだ。ポイントはトイレに流せるタイプを選ぶことだけれども、トイレには流せても外に捨てちゃダメ。自然界では分解しないから、絶対に持って帰るように!

画像: あらためて持ち物をおさらい。スマホや財布、免許証など絶対に必要なものは、ここでは省いています。 ・帽子 ・赤ちゃん用お尻拭き ・水分(ペットボトル) ・ようかん ・ドーナツ ・カメラ ・三脚

あらためて持ち物をおさらい。スマホや財布、免許証など絶対に必要なものは、ここでは省いています。

・帽子
・赤ちゃん用お尻拭き
・水分(ペットボトル)
・ようかん
・ドーナツ

・カメラ
・三脚

工具は車載工具以外には持たない

というわけでこれで全部! 身軽でしょ? 林道ツーリングは身軽が一番だもの!

なぜ工具を持たないかって? それは転ばなければどういうことはない! からだ。

もちろん、常日頃のメンテナンスをしっかりやっていることが条件。今のどきのバイクはきちんと整備してあればそうそう壊れない。転んで壊さなければね。

ダカールラリーもバイクが壊れるなんてないんだよ。壊すことはあってもね。壊れるのは新規参入してきて、ノウハウのないチームくらいなものだ。

次回は、林道ビギナー向けの一般的な持ち物を紹介します!

画像: 次回は、林道ビギナー向けの一般的な持ち物を紹介します!

そして走り終わったらその日のうちに洗車。

そのほうがメンテナンスにすぐ掛かれるし、それに林道近くの洗車場なら都会よりも安くつく! 洗車の後のチェーンおよび各部の給油をお忘れなく。

今回は自分の実際の装備を紹介しました。ただ一般的な林道ライダーとは、かけ離れているともいえる。次回は、これから林道を走りたいと思っているビギナーライダーにおすすめのアイテムを紹介します!

協力:ホンダモーターサイクルジャパン、野口装美、ダートフリーク、サイン・ハウス
レポート:三橋 淳

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