文：宮崎敬一郎、木川田ステラ、オートバイ編集部／写真：南 孝幸
BMW「R18 クラシック ファーストエディション」インプレ・解説（宮崎敬一郎）
BMW R18 CLASSIC FIRST EDITION
総排気量：1801cc
エンジン形式：空油冷4スト水平対向2気筒
シート高：690mm
車両重量：374kg
メーカー希望小売価格：税込326万2000円〜
大型クルーザーの魅力を濃密に堪能できる一台
現在BMWで唯一の大型クルーザーモデル・R18のツアラーバージョンとして、R18クラシックが登場した。
前後16インチの極太タイヤを履き、リアフェンダーも深くて大型のものに変更。ツーリングユースで重宝するスクリーンとサイドバッグを標準装備している。独特の排気音を響かせていたスタンダードのフィッシュテール型サイレンサーはストレートタイプに変更。車重は30kgほど増えて375kgになった。主な違いはこんなところだ。
90馬力強を4750回転で発揮し、16kg-m以上の猛烈なトルクを3000回転で生み出すトラックのようなエンジンは、そのパワーを３パターンに切り替えるパワーモードなど、制御系もR18と共通だ。
マフラーが変わっているが、出力特性もR18とほぼ同じ。同じ1500〜1800ccクラスのクルーザーより濃厚なパルスを発し、強烈なトルクの立ち上がり方をする。
Vツインとも270度パラレルツインとも違う、規則正しくも大きな揺れを伴ったパルス感が特徴で、その迫力は定番のＶツインにも勝る荒々しさがあり、これが愉しい。
だが3000回転に近づくにつれ揺れは収まり、歯切れのいい排気音とパルスのみが伝わるようになっていく。結構実用的だ。巨大なピストンが往復しているのに、不快な振動もなく、不思議な回り方をする。
力もある。重いし巨大なバイクだが、スロットルひとつで猛然とダッシュする加速を見せる。これは大排気量クルーザー特有のみなぎるトルクが実現するもの。大型クルーザーのダッシュ力は侮れない速さがあるのだ。
100km/h・6速は約2200回転ほど。低回転域からでもそのダッシュ力は強烈で、アクセルの開け始めならリッタースーパースポーツはもちろん、ビッグネイキッドだって引き離す瞬発力を発揮する。このクラスのクルーザーの中でもトップクラスの瞬発力だと思う。
タイヤのせいか、サスペンションの味付けの違いか、乗り心地はR18よりこのクラシックの方がしっとりしている。乗り心地に関していえば、見た目同様、ツアラー的でスタンダードよりゆったりしていて快適だ。
乗り手の心を楽しませる鼓動とパルスも堪能でき、爆発的なトルクで猛ダッシュもできる。快適で落ち着きのあるクルージングも大得意。R18クラシックは、大型クルーザーの魅力を濃密に楽しめるバイク。Ｖツインだけがクルーザーではないのだ。
