「ホーネット2.0」はインド現地モデルの最高峰ネイキッド
今回紹介するのは、インドの若者たちを惹きつけているスポーツモデルの最高峰「ホーネット2.0」と、その仲間たちだ。
インドホンダの「モーターサイクル」カテゴリーのラインアップには7車種が用意されている。グローバルモデル全盛の現在でも、「ホーネット2.0」の他にはXブレード、Livo、ユニコーン、シャイン、SP125、CD110というインド独自のラインナップ。
「ホーネット2.0」はかつて日本で人気だった、4気筒の250ccや600ccモデルとは直接の関係はないが、シャープでアグレッシブなイメージのスーパーネイキッド風ボディが特徴。
エンジンには最高出力17.2PSの184cc空冷シングルを搭載。液晶デジタルメーター、倒立フロントフォーク、ABSなど装備も充実させたフラッグシップモデル的な存在だ。
その注目度の高さは、M・マルケスをキャラクターに起用して、レプソルカラーを採用した「レプソル・ホンダ・エディション」が設定されていることでも分かる。
インドではネイキッドだけでも細分化が図られている
「ホーネット2.0」以外の6モデルを見てみると、Xブレードは「ホーネット2.0」とイメージが近いが、細部のデザインは異なるスーパーネイキッド風スタイルで164cc単気筒エンジンを搭載したモデル。
109ccエンジンのLivo、162ccエンジンのユニコーン、124ccエンジンのシャインとSP125の4車種は微妙にスタイルや装備が異なるが、基本的にはベーシックでスタンダードなネイキッド。もう1台、109ccのCD110は価格設定を低く抑えた実用車的性格が強いモデルだ。
このように110〜180ccという排気量の範囲に、細かくエンジン、装備、デザインや性格付けが異なるモデルをわざわざ7車種も用意するというのは、現在の日本では考えられないことだ。
しかし、総人口13億6000万人、人口構成も若者が非常に多く、オートバイの購買層が圧倒的に日本より多いインド(単純に人口で考えれば10倍だが、若者が多い年齢構成を考えると20倍、30倍にもなるだろう)では、このクラスのオートバイの需要がとてつもなく多い。需要が多いということは細かな要望も多くなるので、それに対応するため細かな作り分けをした結果だろう。
気になるインドでのバイクの価格
価格設定を見てもそんな市場の様子が良く分かる。価格順に並べると、最高峰の「ホーネット2.0」が約13万ルピーで、Xブレードは約11万ルピー。ユニコーンが10万ルピー弱、SP125がそれに続く8万ルピー前後、シャインとLivoはいずれも7万〜7万5000ルピーくらい。CD110が約6万5000ルピーと、細かく価格帯が刻まれて住み分けを図っている。
1ルピーは約1.5円だから、日本円換算で「ホーネット2.0」は約20万円相当、最も安いCD110は約10万円相当。ちなみに、インドで生産され日本で注目を集めるGB350のベースモデルで、現地では高級車的な存在のハイネスCB350の価格は19万〜19万5000ルピーで30万円弱。
日本から輸入されるCBR650Rが約89万ルピー=約135万円というインドにおいて、「ホーネット2.0」の価格設定は絶妙なことろを突いている。それが人気の理由の一つなのだろう。
文:小松信夫