文:八代俊二、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
カワサキ「ニンジャZX-10R」インプレ・解説(八代俊二)
しなやかな足回りが生む高次元の「人車一体感」
前モデルのZX-10Rの登場は2019年。市販車で争われるワールドスーパーバイク選手権でライバル達の追撃を受けたカワサキが、ライバル達を突き放すべくエンジンを強化したモデルが2019年型だった。
そして今回、ZX-10Rは2年という異例に短いスパンでモデルチェンジされることになった。
最大のウリは、ひと目でカワサキのマシンと分かる斬新なデザインのカウリングをまとい、飛躍的に空力特性を向上させていることである。
ハンドル幅が広がり、スクリーンが40mm高くなった新型10Rで、試乗会場のSPA西浦サーキットを走り出してみて最初に感じたのは、相変わらずマシンとライダーの当たりが柔らかく、一体感が得やすいということ。
タンクがボリューミーでハンドル幅が広く、本来なら厳つく感じるはずのポジションなのに、シートが肉厚で内腿部分の処理が巧みなせいか、不思議とマシンが身体になじむのだ。前後サスの動きも極めてスムーズで、低速から高速までスーパースポーツとは思えぬ乗り心地の良さ。
中でも、深く沈み込んでも底突き感がなく、そこから更に衝撃を吸収してくれる二枚腰のようなフロントフォークの動きは秀逸で、他と一線を画す素晴らしいものだ。
フインガーフォロワーロッカーアームを採用するエンジンは、メカニカルノイズや振動が驚くほど少なく、これが203馬力を発生させるエンジンなのか? と疑ってしまうほどの滑らかさだが、アクセルを全開にすると徐々に表情を変える。
それまでスルスルと滑らかに回っていたエンジンは6000回転付近から明らかに力強さを増し、8000回転を過ぎると急激に吹け上がりが鋭くなり、今回引き上げられたレブリミットの1万4000回転まで一気に吹け上がる。その吹けはあくまでも滑らか。粗暴な印象はない。
最大のアドバンテージであるブレーキング性能をキープするためあえて変更しなかったという車体は抜群の安定感だし、優勝車に課せられる最高回転数の引き下げを見据えてレブリミットを高めたエンジンはどの回転域でも唐突に吹け上がることはない。
残念ながら、ほとんどのコーナーを1速でクリアするSPA西浦サーキットでは、ダウンフォースが17%向上したカウルの効果は実感できなかったが、すべての要素が高次元でバランスした新型ZX-10RのSBK7連覇の可能性は低くはないだろう。
カワサキ「ニンジャZX-10R」モデル&カラー
NINJA ZX10-R KRT EDITION ライムグリーン×エボニー
NINJA ZX-10R フラットエボニー
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