文:山口銀次郎、小松信夫/写真:柴田直行/モデル:葉月美優
ウラル「ギアアップ」各部装備・ディテール解説


軍用モデルをルーツとする堅牢でハードな扱いにも耐える造りの車体に、シンプルなメカニズムを長い年月熟成・発展させ、現代的なFIを備えるまでに進化した749cc空冷フラットツインエンジンを搭載。
そして何より特徴的なのは通常の駆動輪に加え、サイドカー側のホイールも駆動可能なパートタイム2WD機構を採用し、驚くべき走破性を備えていることだろう。今なお細かな改良は続き、完成度を高め続けている。

大口径の丸型ヘッドライトや無骨なアップフェンダーなど、基本的なスタイリングは半世紀以上前から変わらないクラシカルなものが受け継がれている。

良好な操縦安定性を得るために、イタリアのサスペンションメーカーであるビチューボ製のガス圧式ステアリングダンパーを標準装着。

サイドカー側のフレーム前端には、大光量のLEDフォグライトを2灯装備。

サイドカー側のシートは厚めのクッションを備えるしっかりとした造りで、優れたホールド性と快適な乗り心地を備えている。

サイドカーに人を乗せない場合に、開口部をスマートに覆うためのトノカバーも装備されている。
フロントサスペンションは、古典的だがサイドカーの操縦特性に合わせたIMZ製のリーディングリンクフォークが採用されている。ホイールは3輪ともに19インチでアルミリムにスチールのスポークを組み合わせる。フロントブレーキはブレンボ製4ピストンキャリパー&NG Brake Disk製φ295mmブレーキローター。

独立したフェンダーを備えるサイドカー側のホイール。スポーク越しに見えるブレーキは、ブレンボ製2ピストンキャリパーに、NG Brake Disk製のφ245mmブレーキローターが組み合わせられる。さらに奥に見えるサスペンションは片持ち式スイングアーム式で、ユニットはザックス製。

リアサスペンションは、オーソドックスなスイングアームに、ザックス製のユニットを使用したツインショックという構成。リアブレーキはHB製のシングルピストンキャリパーにNG Brake Disk製φ256mmディスクローター。マフラーはモダンなデザインの左右2本出し。

サイドカーの後部上面にはスペアホイールが搭載されている。このホイールは3輪全てに共通使用できるユニバーサルタイプだ。ホイールの上には大きなキャリア、さらにその下の後部には容量82Lというトランクスペースが設けられている。

シャフトドライブで駆動される後輪の右側から、ユニバーサルジョイントを経てフレームとサイドカー本体の間を通って伸びるのが、サイドカー側のホイールを駆動するためのプロペラシャフト。通常時は後輪のみを駆動、悪路などで2WDを選択する場合はレバー操作で切り替える。この操作は停車時のみで走行中は不可。

熟成を重ねたOHV2バルブというシンプルな749㏄空冷フラットツインエンジンに、最新のケイヒン製FIシステムを組み合わせる。最高出力は41hpと控えめだが、粘り強く扱いやすいトルク特性を実現、信頼性の高さと合わせ過酷な用途に対応。始動方式はセルに加え、サイドカバー下に見えるキックペダルでも行える。ミッションは4速+後退1速。

ニーパッドやタンクキャップなど、シンプルで古典的なデザインが目立つ燃料タンクの容量は19Lで、公称走行可能距離は約250〜300kmとされている。

シートは前後方向にも余裕のあるサイズでタンデムもしやすく、クッションの厚みもたっぷり取られているので乗り心地も快適だ。

サイドカー側の後部左側に軍用車両にも多用される大容量の携行缶、いわゆるジェリ缶が標準で装着されている。

ジェリ缶の反対側には、スタックした時などさまざまに活用できる伸縮式のスコップが装着されているのが、アドベンチャーモデルらしさを強く感じさせる。

ヘッドライトケースの上部に埋め込まれたメーターパネル。一見クラシックなアナログ表示の速度計だが、各種インジケータは盤面に埋め込まれ、小型の補助液晶パネルも装備して現代的な機能を備えている。
ウラル「ギアアップ」主なスペック・価格
全長×全幅×全高 | 2510×1620×1380mm |
シート高 | 810mm |
乾燥重量 | 331kg |
エンジン形式 | 空冷4ストOHV2バルブ水平対向2気筒 |
総排気量 | 749cc |
ボア×ストローク | 78×78mm |
圧縮比 | 8.6 |
最高出力 | 41hp/5500rpm |
最大トルク | 5.81kgf・m/4300rpm |
燃料タンク容量 | 19L |
変速機形式 | 前進4速・後進1速 |
タイヤサイズ | 4.0×19(3輪共通) |
メーカー希望小売価格 | 237万500円~(消費税10%込) |
文:山口銀次郎、小松信夫/写真:柴田直行/モデル:葉月美優