エンデューロレースでも活躍した2スト・オフロードレプリカ
今でも人気が高い一時代を作った2スト・オフ
1980年代、アマチュアから上級者まで幅広い層が参加でき、モトクロスよりも気軽に楽しめるモータースポーツとして、エンデューロレースが人気となった。
上級者の中には国産逆輸入車や輸入車を選ぶ人もいたが、エントリーの大多数はホンダXLR250R、ヤマハDT200Rなどの国産ディアルパーパス車をレーサーに改造したもので参戦していた。
やがて各メーカーからはブームの高まりに合わせて、エンデューロレースで活躍できる戦闘力をアピールするレーサーレプリカ的なデュアルパーパスモデルをリリースするようになる。その流れで登場したモデルのひとつが、CRM250Rだった。
1989年の初期型モデルの人気はイマイチだったものの、1991年のフルモデルチェンジで倒立フロントフォークを採用した2代目は、公道でもレース会場でも人気の1台となった。
その後、1997年までシリーズは続いたが、最終型であるCRM250ARは、低負荷域での不整燃焼を改善することで、HC排出量を抑えた画期的なモデルだった。肝心の走行性能も高く、無限キットなどで武装したレース仕様は、純粋なエンデューロレーサーと互角以上の戦闘力を、日本各地のエンデューロレースで発揮したのである。
撮影車両は2型の最終仕様で、カラーチェンジと細部のブラッシュアップがされていた。デザインはモトクロッサーのCRのスタイリングを踏襲。エンデューロレースにも適した装備が随所に盛り込まれていた。赤/黒は1997年12月25日に発売されたCRM250ARの最終型。
Honda CRM250R 主なスペック
全長×全幅×全高 | 2160×835×1220mm |
ホイールベース | 1460mm |
最低地上高 | 320mm |
シート高 | 885mm |
車両重量 | 127kg |
エンジン形式 | 水冷2ストクランクケースリードバルブ単気筒 |
総排気量 | 246cc |
ボア×ストローク | 66.0×72.0mm |
圧縮比 | 6.4 |
最高出力 | 40PS/8000rpm |
最大トルク | 3.7kgf・m/6500rpm |
燃料タンク容量 | 10L |
変速機形式 | 6速リターン |
キャスター角 | 27°30′ |
トレール量 | 113mm |
タイヤサイズ(前・後) | 3.00-21 51 P・4.60-18 63 P |
ブレーキ形式(前・後) | シングルディスク・シングルディスク |
当時価格 | 44万9000円 |
※1993年式のスペックとなります。
※この記事は月刊『オートバイ』2021年6月号別冊付録「RIDE」の特集から一部抜粋し、再構成して掲載しています。当特集のスタッフ 文:安藤佳正、宮﨑健太郎/写真:赤松 孝、松川 忍、南 孝幸、森 浩輔/撮影協力:ホンダコレクションホール