月刊『オートバイ』副編集長・松本正雅が選ぶ、2021年の現行国産モデル3台
【松本正雅が選んだバイク】
第1位:スズキ「ハヤブサ」
第2位:カワサキ「Z H2 SE」
第3位:ホンダ「PCX」
見て、乗って、インパクトのあった3台を選びました。
ニューモデル担当としてたくさんの新車に触れることのできるこの仕事はなかなかハードではありますが、誰よりも早く新車を見れて、触れて、たまには試乗できたりする「役得」の多い仕事でもあります。2021年も半分を過ぎ、今年もたくさんのバイクに触ってきましたが、そんな中でワタシが「ビビッ」ときたバイクを挙げさせていただきます。
独断と個人的主観によるものではありますが、ここで挙げたどのバイクも、友達に「あのバイク欲しいんだけど、どう?」と聞かれれば、迷わずオススメだと答えるものばかりです。ご参考になれば幸いです。
第1位:スズキ「ハヤブサ」
「イイものに乗っている」感を全身で味わえる!
今年一番のマシンは? と聞かれれば、ワタシは新型のハヤブサだと答えます。排ガス規制が厳しくなっていく時代にあって、こうした大排気量のメガスポーツを新たに出すことがどれほど大変なことか。しかも、誰もが認めるスズキのフラッグシップ。20年以上、世界中で愛されてきたマシンの新型ともなれば、開発のハードルは相当高かったと思います…。
でも! そんな話もさることながら、新型のハヤブサは乗ると「実にイイ」と全身で体感できるのです! デビュー時から撮影で何度も実車を見て、触らせてもらったのですが、目にするもの、手に触れるものがとにかく上質。個人的にはココ!
サイドのエアアウトレットに沿うかたちであしらわれているメッキモール。これがとても「イイモノ」感を高めているように思います。
乗ってみても足回りの動きがとても滑らかで上質。高級車然とした乗り心地の良さで「いま、自分はいいバイクに乗っているんだ」感を全身で味わえ、ヘルメットの中でニヤケてしまうほど。自分で買うならカラーはシルバーでカラーオーダープランを選択、インナーとホイールをレッドにすると素敵だと思っています。
第2位:カワサキ「Z H2 SE」
過給エンジンシリーズの中で最も優しく魅力的!
2015年。ニンジャH2が登場した時、そしてその実車に初めて試乗した時のことは今でも覚えています。銀鏡塗装で妖しく黒光りするボディ、ポリゴンのようなカウル形状にも度肝を抜かれましたが、何よりその加速!
同じ200PSのニンジャ ZX-14Rに初めて乗った時は「このパワーをどこで使うんだ?」と思ったものでしたが、ニンジャH2に乗った後では、ZX-14Rがまるで従順で優しいツアラーと錯覚してしまうほど! 超ド級の加速は楽しかったのですが、それ以上に自分の手には負えないな、という畏怖を感じた1台でありました。
それから時は流れ、ハイスピードツアラーのニンジャH2 SX、そしてこのZ H2と、スーパーチャージドエンジンファミリーは増えていったわけですが、電子制御サスを搭載したこのZ H2 SEに乗って、ワタシは初めて「畏怖」より「楽しさ」が上回ったのです。
もちろん加速は相変わらず凄いのですが、アレ、乗りやすい? と感じてしまうほどの扱いやすさ。ネイキッドならではの開けた視界とアップライトなポジションが与えてくれる解放感と安心感がそう思わせるのかもしれません。
あと、スーパーチャージドエンジン搭載車としては最安(はスタンダードなんだけど…)の価格設定も魅力。乗りこなせないかも…と感じながらSSを買うぐらいなら、コッチを選んだ方がバイクライフはバラ色になるに違いない! と個人的に思っております。
第3位:ホンダ「PCX」
もはや「PCXという乗り物」。抜群の完成度!
初代をはじめて見た時から、PCXには「125ccスクーター」という枠にとらわれない、自由な気風とエレガントさを感じていましたが、進化を遂げるごとに他車とは一線を画した、独自の存在へと昇華していったような気がします。
シャープで近未来的なスタイリングは言うまでもないのですが、滑らかなエンジンフィール、剛性感にあふれた125ccとは思えないシッカリ感のある車体、スマートキーやトラクションコントロールまで装備する先進技術と、PCXはどれを取っても、ライバルの一歩も二歩も先を行っているように感じます。
メーターも非常に先進的。日常の足に使うことが多い125ccスクーターにはとかく生活感がつきものだったりしますが、PCXはそうした「日常感」を感じさせないところもステキだと思います。
自宅のガレージにこのバイクが置いてあるだけで「ちょっと、いい暮らし」を感じさせる存在。乗って満足できるだけでなく、選んだオーナーのセンスの良さを引き立ててくれるような優雅さ。PCX160やハイブリッドのPCX e:HEVも含め、PCXシリーズは「欲しい時が買い時」だと思います!
そう言いながらいまだに15年落ちのフォルツァに乗ってるんですが…。
文:松本正雅/写真:南 孝幸