フルモデルチェンジを受けたNC750X。新しい軽量フレームをはじめ、熟成を図りパワーアップされたエンジン、スロットルバイワイヤシステムやライディングモード採用、DCTのアップグレードなどで走りをブラッシュアップ。スタイリングもアクティブさを強調したスタイルにリファインされた。
文:濱矢文夫、小松信夫、アドベンチャーズ編集部 /写真:柴田直行/ライダー:山口銀次郎

ホンダ「NC750X DCT」インプレ・解説(濱矢文夫)

画像: Honda NC750X DCT 総排気量:745cc エンジン形式:水冷4ストOHC4バルブ並列2気筒 最高出力:43kW(58PS)/6750rpm 最大トルク:69N・m(7.0kg-m)/4750rpm シート高:800mm 車両重量:224kg 発売日:2021年2月25日 税込価格:99万円

Honda NC750X DCT

総排気量:745cc
エンジン形式:水冷4ストOHC4バルブ並列2気筒
最高出力:43kW(58PS)/6750rpm
最大トルク:69N・m(7.0kg-m)/4750rpm
シート高:800mm
車両重量:224kg

発売日:2021年2月25日
税込価格:99万円

日常の使い勝手に注目したオールラウンダー要素の追求

もともとクセのない乗り味で、誰でも戸惑わずに運転できる機種だったけれど、新型になってサスペンションやタイヤの動きがより分かりやすくなって走りのレベルが上った。

ハンドリングはリーンと同時にさっと向きが変わるような旋回ではなく、前後17インチとアドベンチャーモデルとしては小径ホイールながら、リーンアングルを深くしつつ回頭していくのを少し待つような弱いアンダーステア。申し分なく利くフロントブレーキで速度を落としコーナーへアプローチして、速度をのせたまま深く車体が寝かせていくと、ペグの裏にあるバンクセンサーと地面が接触する。

そんなときに以前より安定感が増したことがわかる。途中で小さなギャップを通過した場合のいなしも改良されている。

画像1: ホンダ「NC750X DCT」インプレ・解説(濱矢文夫)

速さを追求する機種ではないので、この弱いアンダーステアの方が入門者やそれに近いライダーでもオートバイを操っている醍醐味が味わえて楽しいと思う。勝手に曲がるというより、曲げていくという印象が持てるのがいい。

ある意味で当たり前のことかもしれないが、初代NC700Xの頃からしてみると能力を上げて、上手にまとまっているところに感心。ものすごくハイレベルとは言えないが、一般的な走行の中でマイナスに感じさせるところが見当たらない。

1.6kg軽くした新設計のフレームとセッティングを変更して最適化したサスペンションの恩恵か。はっきり言えるのは、その違いは高いスピード領域だけでなく日常的なスピードでもわかる。

DCTの減速比と変速比が1速から4速までローレシオになって、軽量化したピストンでレッドゾーン入り口が6400回転から7000回転へと高回転化。これによって最高出力が4PS向上。スロットルバイワイヤシステムになっているのも重要なポイントだ。他にもギアダウンさせたときの自動ブリッピングやいろいろな制御など、とにかくいろいろ刷新された。

その結果として、一般道のいろいろなシチュエーションで加速がとても良くなり、これが走る気持ちよさになっている。

画像2: ホンダ「NC750X DCT」インプレ・解説(濱矢文夫)

レブリミットまで回したときにあった前のめりになるような減速がほとんど感じられなくなったことも好印象。電子制御スロットルになったから新たにスポーツ/スタンダード/レイン/ユーザーのライディングモードができた。

スポーツにすると名に偽りなくキビキビした加速と反応になるけれど、ずっとこのまま走り続けても疲れたり困ることもない。雨じゃなくてもレインモードで散歩するようにまったり穏やかに走るのも悪くない。燃費も伸ばせそう。パワー、DCT特性、エンジンブレーキ、トルクコントロールを好きなように組み合わせたユーザーモードを作り込むのもおもしろいだろう。

画像3: ホンダ「NC750X DCT」インプレ・解説(濱矢文夫)

高さ800mmと低いシートにコンパクトな車体。パイプのアップハンドルは手前に適度な絞りがあって、肘が横に出ずにハンドルが近く感じられる。実際、左右35度のハンドル切れ角があって、フルロックでUターンをしても外側で伸びる腕には余裕があってやりやすい。DCTはクラッチレバー操作がいらずエンストすることもない。

低回転域でのスロットル操作に対してどのライディングモードでもギクシャクする動きが小さいからUターンも渋滞時のノロノロと加減速しながらの運転も面倒にならない。

今や、決して初心者やリターンライダー向けバイクなんて言えないくらいのオートバイに育ったけれど、とっつきややすいところはきっちり残っているから、はじめの一歩ならぬはじめのアドベンチャーとしてオススメだ。逆にNC750Xはアドベンチャーのカテゴリーに入れなくていいのではないかとも思っている。

スクーターのように重宝していたラゲッジスペースも3Lに拡大した。ディアルパーパスツーリングモデルというより楽な乗車ポジションの万能機種だ。これにETC2.0とグリップヒーターまで標準で、消費税込99万円のプライスは立派。

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