文:山口銀次郎、小松信夫、アドベンチャーズ編集部/写真:柴田直行
KTM「890 アドベンチャー」各部装備・ディテール解説
フェイスデザイン
KTMアドベンチャーシリーズ共通のデザインを採用した、個性的なフロントマスク。ヘッドライトはLEDタイプだ。ウインドスクリーンは大きなサイズで、長距離の高速走行でも抜群の防風効果を発揮する。
エンジン
DOHC4バルブの水冷並列ツインエンジンは、ボアを88mmから90.7mm、ストロークを65.7mmから68.8mmに変更して排気量を889ccにまで拡大。鍛造ピストンやクランクケースを軽量化するとともに、クランクシャフトの回転マスを20%増やしたことで低回転域でのフィーリングを向上させた。
マフラー・リア 足まわり
KTMが好んで採用する、オープンラティスデザインのアルミ製スイングアームは剛性と柔軟性をバランスさせた造り。比較的長めに設定され、優れたトラクション性能や安定性を実現。リアサスはリンクを介さずスイングアームにダイレクトにマウントすることで軽量化にも貢献している。
フロント 足まわり
ホイールサイズはフロント21インチ、リア18インチでオフロード向けのスポークホイールを採用。フロントフォークはWP製のΦ43mm倒立タイプでストローク200mmを確保、ツーリングからオフロード走行まで幅広くカバーするセッティング。ブレーキはラジアルマウント4ピストンキャリパーにΦ320mmローターの組み合わせ。
リアサスペンション
アドベンチャーツアラーは様々な用途、状況で使用されるが、890アドベンチャーのリアサスペンションはそんな幅広い用途に対応できるWP製のユニットを採用。さらにプリロード、伸側減衰力も調整が可能なので、様々な使い方に対応することができる。
クイックシフター
純正オプションとして、「クイックシフター+」を用意。クラッチ操作なしにシフトアップ、シフトダウン操作を可能とする。6速ミッションもシフトレバーストロークの短縮などでシフト操作が素早くなり、4〜6速ギアの改良によって大きく信頼性も向上した。
ハンドル
快適なポジションをもたらすワイドなハンドルバーには、アルミ製のテーパーバーを採用。30mmの範囲内で6つのポジションを選択できるので、ライダーそれぞれの好みに合わせた細かなポジション合わせをすることもできる。
メーター
メーターパネルにはフルカラーの5インチTFT液晶パネルを使用。速度やエンジン回転数、トリップメーター、ライドモードなどの情報をライディングしながら確実に読み取れるデザイン。表示のカスタマイズも可能。バックライトは環境光に合わせて自動で調整されるので、常に写り込みがない見やすさをキープ。
燃料タンク
容量20Lという燃料タンクは、890アドベンチャーの大きな特徴。タンクの重心をできるだけ低くするため、エンジンの左右側面まで覆うような形状を採用。一般的な構造の燃料タンクでは避けられない燃料の揺れの影響を解消、機敏なハンドリングを実現している。この構造はダカールラリーを走るマシンからフィードバックされたものだ。
シート
シート高の調整も可能な2ピース構造のシート。ライダー側の前端を細くした形状によって、足着き性は良好。長時間ライディングでの快適性を重視してシートフォームは硬めのものを採用、表皮はグリップ性と動きやすさのバランスが良いもので積極的に体を動かしてライディングすることが可能。
テールまわり
軽量コンパクトだが十分な明るさを備え、被視認性に優れたLEDテールランプ。ウインカーもLEDタイプ。
KTM「890 アドベンチャー」主なスペックと価格
ホイールベース | 1509mm(±15mm) |
シート高 | 830/850mm(調整式) |
最低地上高 | 233mm |
車両重量 | 196kg (乾燥) |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒 |
総排気量 | 889cc |
ボア×ストローク | 90.7×68.8mm |
圧縮比 | 11.2 |
最高出力 | 77kW(105PS)/8000rpm |
最大トルク | 100N・m(10.19kgf・m)/6500rpm |
燃料タンク容量 | 20L |
変速機形式 | 6速リターン |
タイヤサイズ(前・後) | 90/90-21・150/70-18 |
ブレーキ形式(前・後) | Φ320mmダブルディスク・Φ260mmシングルディスク |
メーカー希望小売価格 | 162万9000円(消費税10%込) |
文:山口銀次郎、小松信夫、アドベンチャーズ編集部/写真:柴田直行