日本が誇る二輪車メーカー4社は世界各地で高い評価を得ている。そして日本市場では正規販売されていない機種が海外では数多く展開されてもいる。この連載では、そんな知る人ぞ知るモデルをフィーチャー。今回はインドで登場したハイブリッド・スクーターのヤマハ「ファッシーノ125Fi ハイブリッド」を見ていこう。
文:小松信夫

通常のガソリン車と見た目も重量も価格もほとんど変わらない不思議なハイブリッド・スクーター

画像: YAMAHA Fascino125Fi HYBRID 総排気量:125cc エンジン形式:空冷4ストOHC2バルブ単気筒 シート高:780mm 車両重量:99kg

YAMAHA Fascino125Fi HYBRID

総排気量:125cc
エンジン形式:空冷4ストOHC2バルブ単気筒
シート高:780mm
車両重量:99kg

特に他意はないんですが、これまでこの連載でスクーターって取り上げてませんでしたね。単純に私の琴線に引っかかるモデルがなかった、それだけの話です。しかし今回、ついにスクーターを取り上げることに! インドでヤマハが販売してる「ファッシーノ125Fi」…なんて、そんな普通のモデルなら紹介なんかしません。そのラインナップに、ついこの間追加された「ハイブリッド」です! 珍しくバリバリの最新モデル。

画像: ファッシーノ(2015年モデル)

ファッシーノ(2015年モデル)

「ファッシーノ」の初代モデルは2015年のデビュー。「人とは違うおしゃれをしたい」「高級感が欲しい」というインドの若者に向けたスクーターで、「Rich & Classyなモダンレトロ」がコンセプトのスタイリングが特徴。扱いやすく軽快なボディに、高効率な空冷113ccエンジンによる優れた燃費も実現。これが狙い通りに若いライダーに受けて人気モデルになっていったという訳です。

画像: ファッシーノ125Fi

ファッシーノ125Fi

そして2020年には「ファッシーノ125Fi」へとフルモデルチェンジ。もともと軽かった車重がさらに4kg軽くなって99kgにまで軽量化! 正立テレスコピックフォーク、フロント12インチ・リア10インチのキャストホイール、フロントディスクブレーキという充実した足回りを組み合わせる。空冷エンジンは、125ccに排気量を拡大し高効率も追求したブルーコアエンジンに進化。インドに導入されている排出ガス規制「BS6」に適合させながらパワーアップし、「ストップ&スタートシステム」(=アイドリングストップ)も採用して、さらに燃費も向上。

画像1: 通常のガソリン車と見た目も重量も価格もほとんど変わらない不思議なハイブリッド・スクーター

ボディはメッキリングで飾られた逆三角形ヘッドライトが印象的な、より洗練されたデザインのレトロなスタイリングへと変身。

画像2: 通常のガソリン車と見た目も重量も価格もほとんど変わらない不思議なハイブリッド・スクーター

容量21Lのシート下収納スペース、タンデムも余裕のスタイリッシュなシートに使いやすいタンデムグリップ、足着き良好なフットボード形状など、使い勝手も良好で大きく完成度をアップ。また、フロントブレーキがドラムのお買い得な廉価モデルも用意されましたよ。

画像: ファッシーノ125Fiハイブリッド / クールブルーメタリック

ファッシーノ125Fiハイブリッド / クールブルーメタリック

そして今年になって追加されたのが今回のテーマである「ファッシーノ125Fiハイブリッド」なんですが、ノンハイブリッドのスタンダードとハイブリッド、その外観上の差はほぼ無し! 画像上わかる範囲では、ハイブリッドのみフロントナンバープレート取り付け用のネジ穴があること(なぜかスタンダードには無い)。

画像: ファッシーノ125Fiハイブリッド(ドラムブレーキ仕様) / メタリックブラック

ファッシーノ125Fiハイブリッド(ドラムブレーキ仕様) / メタリックブラック

あとはカラーラインナップがスタンダードとハイブリッドで共通のカラーに加え、それぞれの専用カラーがあることくらい。ということで見た目が変わりばえしない上に、「ハイブリッド」をアピールするロゴとかも無いもんで、絵柄的に実に扱いづらいです。

画像3: 通常のガソリン車と見た目も重量も価格もほとんど変わらない不思議なハイブリッド・スクーター

で、肝心のハイブリッドシステムなんですが。空冷125ccブルーコアエンジンに新採用された、SMG(スマートモータージェネレーター)でオンボードバッテリーを充電、その電力を使って発進時や追い越し時の加速をアシストするためにSMGをモーターとして駆動。

画像4: 通常のガソリン車と見た目も重量も価格もほとんど変わらない不思議なハイブリッド・スクーター

0-200m加速では従来モデルより7車身分先行でき、時速30〜60kmの範囲の出力を30%向上。さらに燃費も16%向上しているという。いわゆるマイルドハイブリッドってやつで、ホンダのPCX e:HEVとやってることはほぼ同じですな。

エンジンにもともと付いてるSMGを活用する極めてシンプル構造な上に、アシスト専用バッテリーを積むのではなく通常のバッテリーと共用しているようで、スタンダートとハイブリッドで車重が変わらない。要するに制御ユニットのSGCUが追加されただけだもの。

画像: ホンダPCX e:HEV

ホンダPCX e:HEV

だから価格もスタンダードの7万4530ルピー〜7万5530ルピー(日本円換算・約11万円)に対し、ハイブリッドは7万7530ルピー〜7万9530ルピー(日本円換算・約11万5000円〜11万7000円 / 価格は全てディスクブレーキ仕様)と、その差は5%そこそこ。

PCX e:HEVとスタンダードなPCXの日本での価格差が10万円近いことを考えると脅威的だなぁ。ただまあ、PCX e:HEVはグッとお値段の張るリチウムイオンバッテリー使ってるからね。

画像5: 通常のガソリン車と見た目も重量も価格もほとんど変わらない不思議なハイブリッド・スクーター

果たして「ファッシーノ125Fiハイブリッド」のハイブリッドシステムは、実際に乗ってみたらどんな出来なんだろう。もしPCX e:HEV並みの走りだったら…国内仕様のスクーターにも採用されれば、ファッシーノそのままのインド価格じゃないとしても凄い競争力だよ。うーん、さすがにそこまでは行かないよね〜、じゃないとPCX開発陣の立つ瀬がない。でも、近いうちに日本でもこのシステムを載せたヤマハのハイブリッドスクーターが登場するのかねぇ?

文:小松信夫

画像: 【公式動画】Yamaha Fascino 125 FI Hybrid | Now with Bluetooth connect | 65 sec English www.youtube.com

【公式動画】Yamaha Fascino 125 FI Hybrid | Now with Bluetooth connect | 65 sec English

www.youtube.com

ヤマハ「ファッシーノ125Fiハイブリッド」の主なスペック

全長×全幅×全高1920×685×1080mm
ホイールベース1280mm
シート高780mm
車両重量99kg
エンジン形式空冷4ストOHC2バルブ単気筒
総排気量125cc
ボア×ストローク52.4×57.9mm
圧縮比10.2
最高出力8.2PS/6500rpm
最大トルク1.1kgf・m/5000rpm(SMGアシスト時)
燃料タンク容量5.2L
変速機形式Vベルト無段階自動変速
タイヤサイズ(前・後)90/90-12・110/90-10
ブレーキ形式(前・後)φ190mmディスク・φ130mmドラム

This article is a sponsored article by
''.