そもそもカブトライクって?
カスタムカブ紹介第四弾は、カブトライクをベースにしたカスタム。よくわからない車両をさらにカスタムしてるわけですね。
オーナーは以前、新城市ツーリングをしたときにも登場してもらった、HC氏。
とりあえずカブトライクの素性を聞いてみた。
知り合いがヤフオクで購入したものの、持て余していまして。そいつを譲って貰ったんですよ。
ベースになったスーパーカブは、1978年式のかもめです。
セル付きなのでC50DXとかのシリーズですかね。
んで、そもそもこれってなんですか?
福岡県のタキ商会というところが作ったトライクみたいですね。
実は一度、部品が欲しくて問い合わせたんですが、「当時を知る人がもういない」ということで、残念ながら補修部品は入手できませんでした。
専用設計のレッグシールドが欲しかったんですけどね…
ググってみたらタキ商会というのは、車いすとかの福祉系メーカーみたい。確かにこのカブトライクにもそういう気配、ありますね。
ベースのスーパーカブが'76年式だし、当時の責任者は、さすがにもう在籍してなさそうね。
さて、カスタムについて詳しく。
まずはシートですね。入手時にはシートが何も無かったので、ワンオフで作成しました。
元々はノーマルカブのハンドル周りに、大きく手前に引いたハンドルが付いてたんですよ。
それだとハンドル切った時におなかに刺さるので、ハンドル周りをごっそりとカスタムしました。
バックするためのハンドルがついてたんですが、走行時に非常にうるさいし、油が飛び散りまくるので、まるごと取り外しました。
なるほどなるほど、ではここからは写真で。
ところでさ、なんでアイコンがそんなかわいいイラストなの?
車両写真の背景見て察してください。
まずは基本的な部分から
要素としては、スーパーカブ+ベンチシート+リヤカーという感じだけど、基本的な構造はスーパーカブの印象を残してる。タイヤもカブ用。
なお左右ミラーは撮影のために外してます。
なんか軍用車みたいでカッコ良いね。
カブトライクのディテール
足が外に出ないようにガードバーが設けられてる。気が利いてるね。
燃料タンクはシート背部。
8リットルくらい入りますよ。
スーパーカブの二倍じゃん。
なにこれ?
パーキングブレーキです。切り欠きで固定されるようになってるんですよ。
駆動方式はシンプルというか大胆。
ドライブスプロケットからシャフトを介して左のタイヤを駆動させる方式。
ってことは片方のタイヤしか駆動しないってこと?
そうっすよ。
ロードフォックスみたいなもんです。
どうやってエンジンかけるんだろうと思ったら、キックペダルが一応ついてた。これ、エンジン掛けれるの?
いや、セルついてるんでキックは使わないですよ。
一応試してみたんですが、キックでも始動はできますよ。しんどいですけど。
リアタイヤにも巻き込み防止のバンパーがついてる。ここのデザインがリヤカーっぽくてかわいい。
あと、左右ともリアタイヤなのでちゃんとブレーキついてる。前後連動ブレーキならぬ左右連動ブレーキですな。
トランク部分には、蓋の付いた鉄箱が鎮座。
カスタムポイント
さて、カブトライクの仕様を見てきたので、お次は乗りやすくするためのカスタムポイント。
腹に刺さるレベルの鋭角ハンドルをバーハンキットを使ってシンプルに。
それにともなって、メインキー、セルスイッチ、メーターなども移設。
ヘッドライトはベーツライトかな?
ワンオフで作成したシート。カリモクのソファみたいで良い感じね。
ワンオフですからね!
奥に見える棒はハンドシフト。シフト操作はこの棒だよ。
この棒、なに?
バックハンドルの名残です。
アクセルから取り出した動力をチェーンでここまでもってくる構造でした。
ワンウェイがついてて、バックするときだけハンドルが効くってことなんですが…。
なんせ走行中にガタガタうるさいし、オイルをまき散らしまくるので外しちゃいました。
乗車したままバックできるように、なのかな。
リアにもなんか頑丈そうなバンパーが溶接されてるね。
前オーナーが「リアに予備タイヤを装着できるように」ということで、加工してもらったバンパーですね。
想像だけど、車いすに乗っている方が乗りやすいようにと開発されたんじゃないかな。セル付な上にハンドシフトになってるから、基本的に足での操作が必要ないし。
何台くらい生産されて、どれくらい現存してるかってのはわからないけど、制作者の思いが伝わる作り込みなので、ぜひ長く乗り継いで欲しいものです。
レポート:若林浩志