バージョンアップ・コンプリート化に共通した要素を持つ
スズキGSX-R1000K5~8のエンジンと車体をベースとして2015年に登場したスズキネイキッド、GSX-S1000(L5~)。これはそのフルカウルバージョン、GSX-S1000Fの’19年型L9を元に、テクニカルガレージRUNが各部に手を入れた車両だ。
「ここまで約1年をかけて作業を進めてきて、現状で“GSX-Sのツアースペシャル”、ツアラー版バージョンアップコンプリート(TG-RUNが手がける、上質な機能や性能を持たせたコンプリートカスタム車)と呼んでいい状態にまとまっています」と、TG-RUN杉本さん。
各部に目を移せば、前後ホイールをマルケジーニ・アルミ鍛造に換えたりフロントブレーキをブレンボマスター&キャリパー+サンスターディスクにしたり。排気系のフルチタン化や、今TG-RUNで注力する、シートの変更などが行われる。そこにはGSX-SをルーツとしたKATANAを元に、同店が作ったコンプリートカスタム車“シン・ハガネ”の方法論も生かされているようだ。
「それは確かにあるでしょうね。ただこのマシンのオーナー様は、これが初の大型モデルということ、また少し小柄な方ということもありましたので、そうしたオーナーさん個々の使い方や特性に合わせ、安心・快適を中心に作り込んでいます。
その上、年間走行距離もかなりの距離を乗りこなす方でもありますから、今後もさらなる快適性を求めて、フロントフォークをリヤに合わせてオーリンズにするなども予定しています」とも杉本さん。
それでも今この車両に使われている高質パーツは、実は普段乗りでこそ生きてくるものばかり。軽さや疲れにくさ、操作の的確さと反応力。実際にユーザーに合わせてセットアップされた車両に乗ってみて、その元の状態を思い出すと、はっきり違いが分かるものだ。そんな利点をツーリングに生かしているからの、冒頭の“ツアースペシャル”。これなら、走ることが楽しいのは間違いない。
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Detailed Description 詳細説明
ベースは2019年型L9で、外装はノーマルのブルー。全体のシルエットをすっきりさせるようにフロントウインカーを小型化している。
レンサル・ファットバー(アルミテーパーハンドル)や多機能デジタルメーター、スクリーンはノーマルのまま。フロントマスターシリンダーはブレンボ・ラジアルで、クラッチホルダーはゲイルスピード、ミラーはマジカルレーシング。左右グリップラバーにはdominoをチョイスした。
シートはフロント側がTG-RUNスポーツ&コンフォートシートとなり、快適性やホールド性をアップ。リヤ側も表皮をブルーに張り替えた。
リヤ側ウインカーはフロント用の小型化に合わせて、アクティブのナンバーホルダー一体型に換装、フェンダーレス化も行われている。
エンジンはノーマルで148psを発揮するので十分と考え、ラジエーターにエッチングファクトリー製コアガードを追加して安心感を向上した。
動力系では効率化と軽量化を狙い、マフラーをフルチタンでJMCA適合品のケイファクトリー CLR-RG+フルエキ ヘキサゴンサイレンサーに換装。
ステップはTG-RUNオリジナルのライディングステップキット。マフラーでエンジンの、そしてこのステップで車体の動きのレスポンスが向上したという。
フロントフォークは現状でノーマル(KYB製φ43mm倒立タイプ)をセットアップ、この後オーリンズへの換装予定がある。フロントブレーキはブレンボCNCレーシングP4キャリパー+サンスターディスク。前後フェンダーはマジカルレーシング製カーボン品に置換。
前後ホイールはマルケジーニ・アルミ鍛造のM7RS(3.50-17/6.00-17サイズ)で、そのカラーもエキゾーストやオーリンズS46DR1Bリヤショックに合わせたゴールドを選択。スイングアームはノーマルのアルミ。リヤブレーキはノーマルのNISSIN2Pキャリパーにサンスターディスクを組み合わせた。