ノーマルのリアフェンダーをそのまま残すスタイリングのトライクは、左右リアタイヤに独立したフェンダーがセットされる。スタイリングを大きく変化させるボディカバーなどは採用せず、極めてシンプルに仕上げたトライクとなる。
文:山口銀次郎/写真:柴田直行

サクマエンジニアリング「ハーレーダビッドソンFXST サイクルフェンダートライク」インプレ(山口銀次郎)

画像: SAKUMA ENGINEERING Harley-Davidson FXST CYCLE FENDER TIKE 総排気量:1584cc

SAKUMA ENGINEERING Harley-Davidson FXST
CYCLE FENDER TIKE
総排気量:1584cc

重量増のネガを払拭する細部のこだわり

「高い運動性能」と表現すると、スポーツモデルをイメージするかもしれないが、今回試乗するモデルはハーレーダビッドソンの2008年製のビッグツインモーター抱えるFXST、つまりアメリカンクルーザーモデルである。

高い運動性能という言葉でハードルを上げるつもりはないが、シンプルな構造とパワフルなエンジンのコンビネーションで、軽快な走行フィーリングを生み出していたことに間違いはないはず。

アメリカ国内の最高速度の引き上げにより、高出力エンジンが求められ誕生したのが1999年のツインカム88(1450cc)、さらに07年にはツインカム96(1584cc)と進化。

つまりこのFXSTが搭載するビッグツインエンジンはパフォーマンスアップが図られたと言っても過言ではないモデルなのだ。ちなみに、現在ではさらなるパフォーマンスアップが図られたツインカム110(1801cc)まで進化を遂げている。

画像1: サクマエンジニアリング「ハーレーダビッドソンFXST サイクルフェンダートライク」インプレ(山口銀次郎)

ツインカム96エンジンには、ドコドコと低回転域を利用してのんびりゆったり走行するといったイメージはなく、現代交通の流れに遅れをとらない立派なパフォーマンスマシンに仕上がっている。無論、生粋のスーパースポーツモデルと比較するというのは無粋というもの。

面白いことに、ワインディングを攻めたりスポーツライディングをしたワケではないのに、なぜ高い運動性能を見出せたかというと、それは街乗りレベルの速度域でも感じることのできる軽快なステップワークにあった。

オートバイ単体の評価では重量ある部類のベース車両だが、トライクならではの強制的にバンクしない構造では、地面へのパワーの伝わり方やショックの収束能力など、それぞれの手応えがとても判断しやすい材料になっている。

画像2: サクマエンジニアリング「ハーレーダビッドソンFXST サイクルフェンダートライク」インプレ(山口銀次郎)

オリジナルのハブ機構を採用することでターン中であろうともクセが一切ないパワー伝達と、EZステアによる軽快なハンドリング、さらに無駄なストロークを感じさせず踏ん張りが効き高い応答性をみせる左右独立サスペンンション、そして重量増を抑えた各部の造り込みになどによって湧き上がるパワーをロスすることがないのだ。

生き生きとしたステップワークに、アメリカンクルーザーであることを忘れてしまう錯覚に陥ってしまった。このFXSTトライクによって、「トライクはゆったり落ち着いて走るもの」といったイメージを払拭することができた。

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