ドゥカティ「ムルティストラーダV4 パイクスピーク」の特徴
フレーム、片持ちスイングアーム、前後17インチ化…車体を大改良
ドゥカティがこの秋開催中の、Web上で2022年のニューモデルを連続公開する「ドゥカティ・ワールド・プレミア2022」。10月28日のエピソード3では、新しい「ムルティストラーダV4 パイクスピーク」が発表された。
ドゥカティのデュアルパーパスツアラーである「ムルティストラーダ」シリーズ、その中でも2021年に登場した「ムルティストラーダV4」は、スポーティさに万能性を融合させた「ムルティストラーダ」らしさに、V4エンジンによるハイレベルの動力性能をプラス。新世代の高性能グランドツアラーとして高く評価を受けている。
そんな「ムルティストラーダV4」をベースに開発されたのが「ムルティストラーダV4 パイクスピーク」。シリーズ中最もスポーティな存在として、ワインディングやサーキットなどで、スーパースポーツに迫る高いパフォーマンスを味わえるように大幅な改良が施された。
デスモセディチGP’21のカラーリングとグラフィックにヒントを得た、専用の「パイクスピーク」カラーや、燃料タンク両側のナンバープレートでレーシーな雰囲気を強調。さらに、ノーズのドゥカティコルセ・ロゴや、V4ロゴを備えたツートーン・シート、アクラポヴィッチ製のチタン・カーボン・サイレンサーが特別なモデルであることを示している。
しかし、大きく手が加えられたのは車体だ。アルミ製モノコックフレーム自体に手を加え、ステアリングヘッドの角度を24.5°から25.75°とするなど、車体各部のジオメトリーが見直された。両持ちだったスイングアームは片持ち化され、さらにホイール径もF19インチ・R17インチから前後17インチになるなど、車体の構成をスーパースポーツ的に変更。軽量なマルケジーニ製鍛造ホイールの採用もあって、「ムルティストラーダ V4S」と比較して4kgの軽量化も達成。
オーリンズ製Smart EC 2.0サスペンションは、「パニガーレV4S」と同様のスポーツライディング向けの「イベントベース」モードを追加。またハイレベルなコントロール性を実現するため、ポジション設定も大きく変更。ステップ位置は高くなり、後方へと移動。ハンドルバーもより低く、幅の狭いものを装着。これらの改良で、高い快適性とスポーツライディングを両立させるポジションに仕上げられている。
「ムルティストラーダV4」用の1160ccV4グランツーリスモ・エンジンは従来モデルと共通。非常に軽量コンパクトだが最高出力は170psを発揮。しかもツアラーらしいフレキシブルさ、そして優れた信頼性も備えている。ただし「ムルティストラーダ」として初のレース・ライディングモードが採用され、クイックシフター改良と合わせて高回転域でよりスポーティな走りが可能に。ハイパワーモードにおけるレスポンスもよりダイレクトになった。
最新スペックの高度な電子制御デバイスは、基本的に「ムルティストラーダV4S」から受け継がれる。アダプティブ・クルーズ・コントロールとブラインド・スポット検知機能を統合した前方用・後方用レーダーを標準装備。また6.5インチTFT液晶メーターは、スマートフォンと接続、ミラーリング機能やナビの表示など、利便性の高い機能を利用可能。ウィリー・コントロールやコーナリングABSも備わっている。
この「ムルティストラーダV4 パイクスピーク」、日本での発売予定時期は2022年の第二四半期とされているので4月以降となる見込み。税込価格は378万9000円と発表されている。
まとめ:小松信夫