ダンロップ・オートバイ杯ジムカーナの今シーズン最終戦となる第4戦が、2021年10月24日に筑波サーキットジムカーナ場で開催された。第3戦に続いて気持ち良い秋晴れの下、この日のエントリー台数は筑波に会場を移した後では最多となる194台! 日の短くなる時期なだけに、コース設定の工夫や早めなタイムスケジュール進行で、競技は問題なく進行した。まず非常に見応えのある展開となった最高峰クラス・A級の模様を画像と共にレポートする。

A級1位 吉野 昇選手&CRF450X

画像: A級1位 吉野 昇選手&CRF450X

この日のトップタイムを叩き出したのは、今シーズン不調続きだった吉野選手&CRF450Xだった。第1ヒートではノータイムに終わっていたが、第2ヒートでは好調時の勢いを取り戻した豪快な走りを見せ、1分19秒273をマークしてトップに浮上。このタイムはついに破られることなく今シーズン初めて、そして2016年7月のオートバイ杯第3戦以来となる久々のオートバイ杯での勝利を手にした。

画像: 表彰式でコメントする吉野選手(左)。右は作田選手。

表彰式でコメントする吉野選手(左)。右は作田選手。

「ここ何年か、マシンも走りも悪い方向にはまり込んじゃってて。それで今年は、マシンは完全に調子よく走れてた時のセッティングに完全に戻して、走りも走行中の頭の位置とか、腕の伸ばし方なんてレベルから見直して、全部一からやり直したりしてたんで。だから今年は、ポイントもほとんど取れてなかった。それが今日、やっと結果に繋がってすごく嬉しいよね! 調子が悪い時にも支えてくれた家族にも感謝してます」と吉野選手はコメントしていた。

A級2位 作田隆義選手&ニンジャ400

画像: A級2位 作田隆義選手&ニンジャ400

この最終戦、チャンピオンの権利を残していた作田選手&ニンジャ。しかし、第3戦で思うように走れなかったことに納得がいかず、悩みに悩んで車高の変更やリアホイールのリム幅を落とすなど、車体を大きく見直して挑んだこの日。これが大当たりで、第1ヒートでは唯一1分19秒台を刻んで暫定トップ。第2ヒートは、いきなり吉野選手にトップを奪われ、その後も1分19秒台が続出して激戦となったが、最終アタッカーの作田選手は、1分19秒529までタイムを削って2位に食い込んでみせた。

「車が良くなって、NSRと五分で戦えて楽しかったな。でも今日は、同じチームの吉野くんと1-2を決めれたのが嬉しくて! 最近2人とも調子悪かったけど、やっと納得できる走りができたんでね」と嬉しさを隠さなかった。

A級3位 廣瀬 章選手&NSR250R

画像: A級3位 廣瀬 章選手&NSR250R

黒いNSRがトレードマークの大ベテラン、廣瀬選手。今シーズン序盤の2戦は振るわなかったものの、第3戦で3位となって持ち前のシャープでアグレッシブな走りが復活。今回も第2ヒートで1分19秒794までタイムを削って、2戦連続の3位入賞。シーズンを気持ちよく締めくくった。

A級4位 角谷岳司選手&YZ250X

画像: A級4位 角谷岳司選手&YZ250X

第2戦で6位、第3戦は4位と安定した速さを見せる角谷選手&YZ250X。第1ヒートは1分20秒983で暫定5位。「今日みたいな、セクションが続いた後、クルっと回ってドンと加速するようなコース、このマシンに合ってるんですよ」という通り、第2ヒートでも1分19秒817までタイムアップ。最終的には2戦連続の4位に。

A級5位 冨永崇史選手&NSR250R

画像: A級5位 冨永崇史選手&NSR250R

5位にはランキングトップの冨永選手&NSR250。「今日は勝つことより、別の大事な〝ミッション〟があるんで…ギリギリまで攻めません」。そのミッションとはシリーズチャンピオン獲得。「大会はすぐ次が来るけど、チャンピオン逃すと丸1年間待たされますから」という冷静な判断だ。結果的には第2ヒートの1分19秒947で5位。ポイントをしっかり加算して、2018年以来のチャンピオン奪回を達成した。

A級6位 大川彰人選手&NSR250R

画像: A級6位 大川彰人選手&NSR250R

近年オートバイ杯へのフルエントリーはしていないが、今だに速さではトップレベルを維持する隠れた強豪・大川選手&NSR。久々にエントリーした今回も優勝候補と目されていたが、1分20秒012と19秒台突入はならずに6位。

A級7位 早川耕平選手&DR-Z400SM

画像: A級7位 早川耕平選手&DR-Z400SM

A級8位 池田秀一選手&NSR250R

画像: A級8位 池田秀一選手&NSR250R

A級9位 松本 崇選手&MT-03

画像: A級9位 松本 崇選手&MT-03

A級10位 中嶋秀和選手&TZR250R

画像: A級10位 中嶋秀和選手&TZR250R

7位・早川選手&DR-Z400SMは1分20秒086。2019年チャンピオンの池田選手&NSRは1分20秒470で8位。9位・松本選手&MT-03は1分20秒721で、10位・中嶋選手&TZR250Rも1分20秒822。6位の大川選手以下、11位の小川選手までが1分20秒台の中に僅差で並んでいる。

画像: オートバイ杯第4戦のA級入賞者 左から1位・吉野選手、2位・作田選手、3位・廣瀬選手、4位・角谷選手、5位・冨永選手、6位・大川選手

オートバイ杯第4戦のA級入賞者 左から1位・吉野選手、2位・作田選手、3位・廣瀬選手、4位・角谷選手、5位・冨永選手、6位・大川選手

オートバイ杯・2021年総合チャンピオンは冨永選手

画像: 左からオートバイ杯2021チャンピオン・冨永選手、ランキング2位・作田選手、同3位・角谷選手

左からオートバイ杯2021チャンピオン・冨永選手、ランキング2位・作田選手、同3位・角谷選手

雨で大混乱、B級・木村選手が優勝した開幕戦の「A級全員ノーポイント」という珍事から始まり、5月の第2戦と10月の特別戦・ジムカーナJAPANは中止。しかし、1戦のみをスポット戦として行った昨年とは異なり、合計4戦が開催されシリーズ成立となった今シーズン。

すでに触れたように、2021年シーズンの総合チャンピオンは冨永選手。実質3戦の争いとなった中、冨永選手は第2戦で3位、第3戦は優勝、そして最終戦は5位で合計46ポイント。ランキング2位は作田選手。こちらは第2戦で2位、第3戦で9位、最終戦は2位で合計41ポイント。ランキング3位は第2戦で6位、第3戦・第4戦で連続4位、合計36ポイントと着実にポイントを取りこぼさなかった角谷選手だった。

今回のオートバイ杯第4戦のレポートは月刊『オートバイ』誌上に掲載される予定。また過去の大会を含めた詳細なリザルトやランキングからイベント情報まで、二輪ジムカーナに関連する各種情報はオートバイ杯の運営を担当しているJAGE(二輪ジムカーナ主催者団体協議会)のホームページを参照。全国各地のジムカーナイベントの日程は、「モトジムカーナカレンダー」でも確認できる。

また、ジムカーナ関連動画を撮影・製作してYouTube上で公開している「Ramkhana」チャンネルでも、今回のオートバイ杯第4戦の生配信アーカイブをはじめ、さまざまなジムカーナに関する動画が用意されている。

レポート:小松信夫


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