以下レポート:三橋 淳
東京都心を出発
朝9時。1週間林道ツーリングの旅を始めるべく、スタートの地・東京タワーの真下にいた。パリ・ダカール・ラリーはエッフェル塔の下からスタートした。そのぐらいシンボリックな場所から出発したかったのだ。
今回の旅は、ラリーのようなイメージで大都市のシンボルからスタートして毎日林道をスペシャルステージに見立てて走破。1週間走り続けて大都市にゴールするというものだ。
名付けて「1週間林道ツーリング」である。
ルールはこうだ。
・毎日林道を走破する
・林道は必ず完抜けするものを選ぶ
・宿は林道を抜けてから探す
・雨の日は走りたくない
・自分で決めたルールに縛られない!
これだけ。ラリーっぽくするためにルールは決めたが、最後の項目にもある通り、ルールに縛られたんじゃ楽しくない。だってこれは自分で決めた旅のスタイルなんだから、自分がルールブックなのだ。
というわけで東京タワーの下にいるのだが、これがどうも締まりが悪い。人は多いしスペースがないから東京タワーをバックに、という写真が撮れない。これじゃ気分が上がらない! そう思い、東京タワーをプレ・スタートとして、本当のスタートを別のところに決めた。
東京駅だ。
ここの方が気分が上がるね!
この場所で別のチームがファンティックのキャバレロの撮影をしていた。誰だろう? と眺めていたら、代理店の社長の野口さんだった。
「カッコいいアフリカツインでカメラ持って撮影に来てるのみっちゃんだろうと思ったら、やっぱりそうだった」
なんでもカタログ撮影のために来てるんだそう。何という偶然! そう、私はこのファンティックのeMTBに乗っているのです。
そんな縁がありながらもここで一緒に写真撮るの忘れてしまった。モデルにはちばるさんもいたのだが、面識なかったんで撮影の邪魔にならないようお声がけしなかった。こう見えて人見知りなんです。
都心から近い林道・狭山湖
さて、そんな偶然の出会いから、まず目指したのは狭山湖。東京と埼玉の県境にある都心から一番近い林道だと思われる狭山湖外周路へと、まずは中央高速でワープする。都心部は時間がかかるからね。
狭山湖の林道は、私が免許を取って初めて走った林道だ。高校時代を北多摩周辺で過ごした身としては、この狭山湖がもっとも近くにあったので、よく走りに行ったのだ。この周辺に残されていた森でオフロードの基本を身につけたと言ってもいい。関東ローム層で作られた土地は、雨の日にはそれはそれは滑って、ここより滑るところなんて他ではなかったなと思う。
一番近い林道だからルートに入れたのもあるけれど、三橋淳の原点だからこそ一本目に選んだ。プロローグ(ラリーでスタート順を決める短いステージ)にふさわしいじゃないか。
30年ぶりくらいに訪れる狭山湖は、とにかく大きく変わっていた。無料だった駐車場が有料になっていた。平日の昼間から車がたくさん来ていることも驚きだ。しかしダートの入口は変わらずラブホテルが建っていた。
ここからいよいよダートが始まる。湖をぐるりと周るルートなので、埼玉県側から入ると常に左手にフェンスを見て走ることになる。
車の通行が多いため、路面に穴がたくさんできていて走りにくい。また、歩いている人が多い。近くに住宅地がたくさん建ったのだろう。だから決してスピードを出してはいけない。
人は多いのはここがトトロの森と呼ばれるようになったのもあるかもしれない。
昔はただの森だったけれども、今やきちんと整備された公園という感じだ。いまだに車両が通っていいのが不思議なくらいである。ちなみに車両が走れるのは埼玉側だけ。東京側の南側はゲートで閉ざされている。
約6kmの林道はのんびり走行には最適だった。そのゴール地点には六道山公園があって、ここの展望台に登ると関東平野が一望できる。
昔は心霊スポットなんていわれていたけれど、今ではその面影はなく、家族連れや近所の園児で賑わっていた。
そして隣には六道町かつて私が8の字練習などをした空き地があったのだが、今やきれいな広場になっていた。
30年も経てばそりゃ変わるよね。ここでぐるぐる回っていた高校生の三橋少年に、いずれパリダカでバイクのみならず、四輪でも出場することになるなんて想像できただろうか?
なんて事を考えながら、次の林道を目指す。目的地は埼玉と群馬の間にある御荷鉾スーパー林道だ。
〈続く〉
レポート:三橋 淳