オリジナルパーツも自作パーツも駆使して構成
“シルキーシックス”と呼ばれるほど滑らかなフィーリングのDOHC4バルブ直列6気筒1047ccエンジンを持ったホンダCBX(1000)。この車両は外装やエンジンも当時のノーマル風で、ホイールもCB900/750FCやCXターボなど同様のホンダ純正ブーメランコムスターを履いているから、何年式か……と調べても見当たらない。そのうちに、この組み合わせのモデルがあったか? と気になってくる。もしかすると?
「実は、CB1100Rから純正流用しているんですよ」。こう答えてくれるのは、メンテナンスとカスタムを担当したT.T.Rモータースの林さんだ。それにしても限定車CB-Rから流用とは、ゴールドのカラーも相まって、いい意味で贅沢な感じがする。
「そうでしょう(笑)。オーナーさんはもう10年くらいこの車両に乗ってますが、基本のスタンスは“純正風を大事にして作る”ことですね。これに“CBXの現役当時の印象を持たせる”を組み合わせています。それでオーナーさんの自作部分、当店のCBX用オリジナルパーツ=フェンダーレスキットやクラッチレリーズ(操作が軽くなる)などをミックスしているんです」
APレーシング製対向2ピストンキャリパーやマルゾッキ・リヤショック、DG製6-1マフラーといったパーツのチョイスはその一環。それでもポンポン付けているのでなく、オーナーのこだわりを林さんがうまく昇華している感じになっている。
「リヤショックはオーナーさんが探したオーバーホール済みのマルゾッキですが、そのまま付けるとサブタンクが前側に来てしまうんです。でも今どき、やはりサブタンクは後ろ側でしょ(笑)、という話になって、それを後ろに来るように車体右側、トルクロッドを延長したものをステンレスで作って解決しました。エンジンもオーバーサイズピストンを使うつもりでしたが、純正排気量で行きたいということで、ライナーを純正の寸法で起こして打ち替えた上で、純正サイズピストンを組んでいるんですよ」
CBXも、同年代のCB-F/Rもよく知る林さんならではの工夫はそんな部分にも及んでいた。オーナーはこのバイクを気に入っていて、普段の扱いもすごく丁寧で、まだまだ乗り続けるという。これから先の仕様変更も楽しみにしたい1台である。
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Detailed Description 詳細説明
速度計とエンジン回転計の間下に電圧計を配し、キーシリンダー前側にヒューズボックスを置くメーターまわりやセパレート/アップのハンドルなどはコンセプト通りにCBXのノーマル。タンクなどの外装品は磨き傷にも気をつけて丁寧に扱われているとのことだ。
ダブルタイプのシートもノーマルをベースに加工。こちらは左だが、リヤショックを見ると確かにサブタンクは後ろ側がいいと思える。
ステップはベースプレートをアルミ板から切り出し、オーナーが当時風パーツに見えるラインと文字のステッカーを製作して貼っている。
エンジンはCBXノーマルのDOHC4バルブ直列6気筒1047ccを維持。オーバーホールを行う際にオーバーサイズピストンを組む(実質排気量は上がることになる)案も出たが、ノーマル排気量を維持したいということでライナーをあえてノーマルサイズで製作・打ち替え、ノーマルサイズピストンを組むという方策で対応した。オイルクーラーはロックハートのサーモスタット付き他機種用をセットした。
キャブレターはCBX用としてアフターマーケット品への置換ではほぼ一択となる6連FCRφ33mm、マフラーはかつて“地獄のパイプオルガン”とも呼ばれたというDG製スチール6-1。
クラッチレリーズはCBX特有と言えるクラッチの重さに対して操作が30%軽くできる、T.T.Rのイージークラッチキットに変更される。
フロントフォークはCBXのノーマル。フロントブレーキまわりはAP・CP2696でキャリパーを社外フローティングディスクと組み合わせている。
CBX現役当時を思わせるリヤショックはマルゾッキだが、そのまま付けるとサブタンクが前になるので、タンクが後ろ側に来るようマウント。そのためにブレーキ側(右側)は延長トルクロッドを製作してリヤブレーキキャリパー/サポートに干渉しないよう対応した。
ゴールドアルマイトの前後ホイールは、CB1100RC/RD純正ブーメランコムスターに履き替えられ、[純正値:2.15-19/2.75-18→]2.50-18/3.00-18サイズとなっている。