良い状態を知ればそれを長く維持したくなる
赤いボディカラーに白のライン、4-1集合マフラー。’78年のAMAスーパーバイク開幕戦デイトナ100マイルで1-2-3フィニッシュを飾ったヨシムラGS1000のスタイル。いや、ビキニカウルも備えているから、この年に初開催を迎える鈴鹿8耐参戦車がモチーフか。この車両はスズキGSX1400の2005年型、K5を元に2005年に販売された「GSX1400 ヨシムラ50周年アニバーサリー」(ヨシムラの創業は1954年の「吉村モータース」創業時で、50周年は2004年となる)を元に、ブライトロジックで手を入れた車両だ。
エンジンやフレームなどの基本の部分はノーマルで、操作系と足まわりを中心に手が入っている。パーツのセレクトは、同店・竹中さんの長年のレース経験を背景に、ライダーがどう無理なくバイクを操作できるかということを念頭に置いて行われているのだ。
「私たちはカスタムを主業務にしていますから、換えて良くなる部分については換えますし、そのために何を使うのがいいかを考える。例えばハンドルならダイレクトにステアリングの軸を回せるような位置で、ライダーに無理のないポジションを作れるものを使うというようにです。シートやステップとの関係性、あと使い方。年齢によっては足着きに不安が出ないことが大事になるでしょうから、その時にはシート高を抑えながらハンドルが適度な位置に来るようにといったことも考えます」。この竹中さんの言葉をまとめると、バイクを動かす主体であるライダーがバイクを動かしやすくすること。
もうひとつ、竹中さんがよく言うのは、いいバイク、いい状態のバイクを知る、乗ること。それが分かることで、良くない状態になってもそれにすぐ気がつき、手を入れてすぐ対策出来る。
このGSX1400ではこの考えに基づいて前述のようなパーツ変更とセットアップが行われ、その結果、大幅に軽量化され、操作性も良くなった。大きく重いと思われがちなGSX1400がぐっと身近に感じられ、扱いやすくなっているのだ。しかもいい状態にある。こうした仕上がり=いい状態は、長く楽しみたくなる。その基本と実績があるから、ブライトロジックの車両は長く乗り続けられる例が多いし、よく乗られている。この車両もそんな例になっているのだ。
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Detailed Description 詳細説明
フロントブレーキとクラッチのマスターシリンダーをブレンボ・ラジアルポンプのRCSに変更。ビキニカウルは限定車の標準装着品だ。
メーターまわりおよびハンドルバーはGSX1400のノーマルをそのまま使用。ヨシムラ・デジタルマルチメーターや12Vデバイス用電源等が追加される。
赤の車体色、タンクサイドの白ラインとヨシムラロゴ、タンク上のヨシムラ50周年記念デカールなどは50thアニバーサリーの仕様だ。
フレームはノーマル。ステップはブライトロジックでの装着率が高いアグラス製として、操作性とポジションを変更している。
1200用の1156cc油冷を元にボアを拡大、ストロークを延長して(φ79×59mm→φ81×68mm)し、シリンダーヘッドを新作した1401ccの直4エンジン/新規採用の6速ミッションや、油冷シリーズで唯一となるFI(ツインフラップのSDTVを備える)などはノーマルのまま。
排気系はベース車販売時に装備されたJMCA認定のヨシムラ4-1ストレートサイクロンが付けられるが、これも言わば車両のノーマルパーツだ。
一番の変更点は足まわりで、φ46mmのフロントフォークこそノーマルだが、フロントの4ピストンキャリパーとディスクはともにブレンボに変更。ホイールはマグネシウム合金鍛造・7本スポークのMAGTAN JB4で、GSX1400ノーマルに同じ3.50-17/6.00-17サイズを履いている。
スイングアームはノーマルでリヤショックをオーリンズに変更。リヤブレーキはブレンボCNC2ピストンキャリパー+サンスターディスク。軽快感や芯のある接地感を得ることで操りやすくなっている。タイヤも現代のスポーツ向けラジアルのブリヂストンS22を履く。