文:太田安治、オートバイ編集部/写真:森 浩輔
SYM「NH T 125」インプレ・解説(太田安治)
125ccの枠を超えた精悍アドベンチャー登場!
SYMは1980年代にホンダの技術協力を得てオートバイの生産を開始し、現在は世界各国にスクーターとオートバイを輸出している台湾屈指のメーカー。小型スクーターを主力商品としているが、近年はミドルサイズのスクーターや本格的なオートバイのラインアップも充実してきた。
このNH T 125は、オーソドックスなメカニズムのエンジンと車体にアドベンチャールックを採り入れてスタイリッシュに仕上げたストリートモデルだ。
最大の特徴は大柄な車体サイズ。本格的なアドベンチャーモデル同様に、フロント19インチの大径ホイールを備えていることもあり、車格は250ccクラスに近い。くちばし付きフロントカウル、積載性の高い大型リアキャリアの存在感と併せ、ピンク色の125ccナンバーが不自然に見えるほどだ。
エンジンは空冷2バルブ単気筒で、最高出力は約11馬力。低回転域でのトルクが薄めで特に力強いわけではないが、6000回転から1万回転までストレスなく伸びてくれて、5速ミッションを的確に使えばコミューターとして不足のない動力性能を引き出せる。
特筆すべきは、全回転域で不快な振動がないこと。小排気量の単気筒エンジンは細かな振動がつきものだが、このNH Tはワインディングを高回転キープで駆け回っても、郊外の道を淡々と流しても、振動で手がしびれるようなことはない。5速・60km/h時は5000回転ほどで滑らかに走り、アップライトなライディングポジションと併せてクルージングが快適。11Lの大容量タンクのおかげで航続距離は軽く300kmを超えるので、キャンプツーリングとの相性も抜群だ。
前輪の19インチタイヤと大柄な車体、150kgの装備重量が生む直進安定性の高さは250クラスかと思うほど。トレール量、ステアリング軸とハンドルグリップ位置のオフセット量ともに大きめで、ライダーの操作に対してわずかに遅れて穏やかに反応するオフロードモデル的な特性。これものんびりペースに合っているし、ちょっとしたダート路面も臆せず入り込める。オフロード指向のタイヤに交換すれば林道走行も楽しめるだろう。
快適なストリートコミューターとのんびりペースが楽しいツアラーの二面性を備えた仕上がりはクラス唯一で、なにより価格が圧倒的に安い。初めてマニュアルミッション車に乗るビギナーにもお勧めだ。
SYM「NH T 125」カラーバリエーション
カラーバリエーションは「ブラック」、「レッド・ホワイト」、「ブルー・ホワイト」の3タイプ。
ブラック
レッド・ホワイト
ブルー・ホワイト
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