ホンダ・CB-Fのように製造40年が経とうというバイクのカスタムには、レストアが併用されることも増えた。そのレストアへの新手法が、TTRによるRECS(Real Engine Clean System)だ。

エンジン洗浄システムRECSが新登場

「2020年の4月1日からRECS(Real Engine Clean System)サービスを始めました。開発に5年かけ、より安全にサービスを提供できるものです」こう語るのは、TTRモータースの代表、林さんだ。

画像: ▲キャブレターのRECS施工後の様子。汚れは皆無でうっすらとつやが出ている。これが短時間で施工できるのだ。

▲キャブレターのRECS施工後の様子。汚れは皆無でうっすらとつやが出ている。これが短時間で施工できるのだ。

TTRは修理や整備、車両販売を主力とする中で、CB-F系対応でこれまでに40点以上のオリジナルパーツ開発やCB750F用純正パーツのオンラインショップ販売を手がけてきた。

オリジナルパーツの中には純正ブレーキキャリパーに使って作動性を高める7N01材製キャリパーピストン(カチラスコート/硬質アルマイトで摺動性と耐食性を得ている)や、純正では緩いスチールプレス製のカムプラグをエッジの立ったアルミ製or真鍮製にしてオイル漏れを予防するようなパーツなど、気の利いたものも多い。

さらに「エンジンは何とかしたいけど開けて手を入れるのは面倒だから、すぐ使えるエンジンがほしい」というような層へ向けてのCB750F(RC04)リビルドエンジンの製作販売も行ってきた。

そんなTTR/林さんの提供する新サービス。それはRECS(レックス)。リアル・エンジン・クリーン・システムの略で、その名の通りにエンジン洗浄システムだという。エンジンをばらし、内部パーツを洗浄する。

画像: ▲向かって左側はRECS施工前、右が同施工後の様子。エンジンはRECS施工後に再塗装しているが、このきれいな仕上がりを得るには下地がきれいにならないといけない。つまりRECSでそこまでできるということ。

▲向かって左側はRECS施工前、右が同施工後の様子。エンジンはRECS施工後に再塗装しているが、このきれいな仕上がりを得るには下地がきれいにならないといけない。つまりRECSでそこまでできるということ。

洗浄はブラストによって行うのだが、汚れを5種に分類し、各汚れに対して最適な方法で汚れを落とすという。メディアは専用品、ブラスト機もエアレスタイプのRECS専用機材を使い、対象物にダメージを与えずに汚れを落とし、さらに対象物には自動的にコーティング処理がされて以後の表面を保護してくれる。

画像: ▲キャブレターはトップキャップのめっきはそのままに汚れが落ち、フロート室の黄色い汚れも除去されているのが分かる。対象物に悪影響がなく、当時のめっきの質感もそのまま、きれいにできる。

▲キャブレターはトップキャップのめっきはそのままに汚れが落ち、フロート室の黄色い汚れも除去されているのが分かる。対象物に悪影響がなく、当時のめっきの質感もそのまま、きれいにできる。

施工後には対象物を溶剤に漬け、メディア=ブラスト粒子を短時間で化学反応させて100%消滅させる。この時間が従来の約4時間からわずか30秒に大幅短縮。ブラスト込みの時間は約5時間から1時間にと、1/5に短縮される。

そのまま組み立てに移れるのも大きなメリットになった。作業の前後は右上の写真で分かると思うが、黒ずみや茶色い脂がないのは当然、新品のような仕上がりが得られる。また今までブラストでは不可能とされたキャブレターへの施工も可能(穴洗浄も問題ない)ということで、エンジンと合わせた施工にも期待がかかる。

既にTTRではこのRECSを前述のCB750Fリビルドエンジンにも活用している。この新技法、ダメージの少ないうちに活用するのも一考かもしれない。

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

※本企画はHeritage&Legends 2020年5月号に掲載されたものです。

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