MVアグスタ「F3 RR」の特徴
MV製Moto2マシンのノウハウも取り入れて開発
かつてのMVアグスタ黄金時代に、栄光の歴史の1ページを刻んだ並列3気筒エンジンを積んだGPマシンたち。その栄光の伝統を最新のテクノロジーで復活させたのが、675cc/800ccの並列3気筒エンジンを搭載したミドルスーパースポーツ「F3」シリーズだ。
そしてその2022年モデルでは新たに、スポーツライディングのためのパフォーマンスを追求した「F3 RR」が追加ラインナップされた。
車名の「RR」は、傑出した性能を備えていることの証。エンジン、車体、エアロダイナミクスといった全ての要素で、クラス最高峰の性能を目指して開発されている。そのために、世界GPのMoto2クラスで戦うMVチームのエンジニアも、レースで得られた空力と車体に対する豊富なノウハウを提供。「F3 RR」のパフォーマンスを飛躍的に向上させるのに大きく貢献したという。
スタンダードな「F3」から変更された点は多岐にわたる。ねじれ剛性と縦剛性を高めつつ軽量化も実現するために、前方にトレリスフレームを結合、後方にスイングアームピポットが設けられているフレームプレート部を再設計。
サスペンションのセッティングは「F3 RR」専用で、新デザインで革新的な鍛造プロセスで製造されるリアホイールも7%の軽量化に成功。これらの改良によって、サーキットでの速さと、公道での優れた乗り心地を両立させている。
コンパクトでレーシーなフルカウルも、綿密な検討と風洞実験を繰り返した結果、各部にパーツを追加。240km/h走行時に8kgのダウンフォースを発生させる、フロントマスクのカーボン製ウイング状パーツをはじめ、そのウイングによる進行方向に対する大きな抵抗を補う効果のあるマットガード、ラジエータの冷却効率を高める効果を持つカーボン製のサイドフェアリング、フォーク下端を覆ったフロントフェンダーなど、それぞれ効果的な空力デバイスとして働くものだ。
排気量800cc、水冷並列3気筒の”Trepistoni”エンジンもリファイン。EURO5規制に対応しながら、新しいバルブガイドやDLCコーティングされたタペットの採用などで、内部パーツのフリクションを軽減。さらに全面変更された3本出しの個性的デザインが目立つマフラーなども得て、スムーズなライディングを実現するパワー特性を実現し、同時に最高出力147HPという強力なパワーを発揮する。アップ・ダウン双方向に対応するクイックシフト3.0も装備。
e-Novia社がMV専用に設計・開発した新しいIMUによって、電子制御デバイスも大きく進化。コーナリングABS、トラクションコントロールはより緻密な制御となり、新しくなったFLC(フロントリフトコントロール)は単にウイリーを制限するだけではなく適切にコントロール。MV Rideアプリとの連携機能も備えた5.5インチサイズの液晶メーターから、これらの機能のあらゆる設定・管理を行うことも可能。加えてスマートフォンと接続し、エンジンをはじめとする、さまざまなカスタマイズを行うこともできる。
ストック状態の「F3 RR」から、さらに極限の性能を引き出すためのレーシングキットも付属。アクラポヴィッチ製のチタン・エキゾーストと、専用コントロールユニットが付属していて、これを装着することで155HPにまでパワーアップできる。
その他にも、CNC加工で製作された燃料キャップとブレーキ・クラッチレバー、シングルシートカバーなども付属し、乾燥重量を173 kg から165 kg まで軽量化することも可能。ただしこのキット、公道での使用はできない。
MVアグスタ「F3 RR」のカラー・価格・発売時期
ボディカラーはシュリアルホワイトグロス×マンバレッドグロス、ファイアレッドマット×メタリックダークグレーマットの2色。レーシングキットを含め、税込価格324万5000円というプライスが付けられている。2021年12月の発売予定だ。
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MVアグスタ「F3 RR」の主なスペック
全長×全幅×全高 | 2030×730×NAmm |
ホイールベース | 1380mm |
シート高 | 830mm |
車両重量 | 173 kg (レーシングキット装着時165kg) |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒 |
総排気量 | 798cc |
ボア×ストローク | 79×54.3mm |
圧縮比 | 13.3 |
最高出力 | 147HP/13000rpm |
最大トルク | 8.98kgf・m/10100rpm |
燃料タンク容量 | 16.5L |
変速機形式 | 6速リターン |
タイヤサイズ(前・後) | 120/70ZR17・180/55ZR17 |
ブレーキ形式(前・後) | φ320mmダブルディスク・φ220mmディスク |
まとめ:小松信夫