文:小松信夫
ハイブリッド仕様などシリーズ全6タイプ、ボディカラーは合計20色!
ついこの間、ヤマハが国内向け125ccスクーターのラインナップに、ニューモデルとして「シグナス・グリファス」を追加、もうすぐ発売が開始される予定ですね。前後12インチホイールのコンパクトなボディに、パワフルで燃費も良好な、125ccブルーコア水冷エンジンを搭載した、スポーティさと実用性を兼ね備えたモデルでございます。
「シグナス・グリファス」は、2003年にデビューして以来、モデルチェンジを繰り返しながら、長らくスポーティな125ccスクーターとして人気だった「シグナスX」の後継モデルってことなんですが。前後12インチホイールは同じだけど、Xはエンジンが空冷。現時点ではまだグリファスと併売されてますけどね。
ちなみにこれは1984年の初代シグナス125(最初はシグナス180だけど、125の〝初代〟ってことで)。シグナスって最初こんな感じの、ちょっと野暮ったいモデルだったんですけど。90年代に出たシグナスDとかSとかを経て、今やすっかり洗練されたスポーティスクーターに進化しちゃってねぇ。
しかし、そうやってスポーティに進化した現代のシグナスですが、Xでもグリファスでもない、全く別系統の「第3のシグナス」も存在しているのでした。そう、例によってインドで開発・生産されているモデルとして。その名は「シグナス・レイZR125Fi」!
空冷の125ccエンジンは、ボア×ストロークこそシグナスXと同じだけど、高効率を狙った最新スペックのブルーコアエンジン。インドの最新排出ガス規制「BS6」にも適合、ストップ&スタートシステムも装備して燃費も向上。SMG(スマートモータージェネレーター)でオンボードバッテリーを充電し、その電力を使ってSMGを逆にモーターとして駆動、発進時や追い越し時の加速をアシストするマイルドハイブリッド仕様も設定。最高出力的にはシグナスXより低いんですがぁ、車重が99kgと極めて軽量なことを活かして、俊敏な走りを実現するわけです。
車体はホイールサイズがフロント12インチ・リア10インチ。スタイリングは複雑な造形が特徴で、スポーツバイク的なタフでスポーティなイメージ。スクーターらしい流麗なボディラインが目立つXやグリファスとは、かなり印象が異なる感じに仕上げられてます。
上級バージョンのハイブリッド仕様はLEDヘッドライトを採用。メーターはコンパクトだが見やすいフル液晶。さらに専用アプリをインストールしたスマートフォンとBluetoothで接続し、走行データ確認やアンサーバックなどの多彩な機能を利用できるんです。
また、オフロード車的なイメージを強調した「ストリートラリー」と呼ばれるモデルもラインナップされてまして…。
専用ボディカラーに加え、個性的デザインのボディ各部にメタルプレートを装着してヘビーデューティ感を強調。
さらにタイヤもオフロード寄りのブロックパターンのものを装着しております。
また「シグナス・レイ ZR125Fiハイブリッド 」には、「シグナスX」などでも存在していた、MotoGPマシン風のグラフィックを取り入れた「MotoGPエディション」まで用意されているのでした。
シリーズ全体では、「シグナス・レイ ストリートラリーZR125Fiハイブリッド」「シグナス・レイZR125Fiハイブリッド」「シグナス・レイ ストリートラリーZR125Fi」「シグナス・レイZR125Fi」の4タイプがあり、さらにレイZR125Fi/ハイブリッドのドラムブレーキ仕様まで含めると全6タイプ、それぞれに用意されたカラーバリエーションは合計すると20色に達する!
このようにXやグリファスとは異なる、あらゆる面でインドに密着した細かな造りこみによって、幅広い人気を獲得している、と。
前回のスズキ「アクセス125」が複数のモデルで共通のプラットフォームを使っていたように、この「シグナス・レイZR125Fi」シリーズも、レトロなスタイルのベーシックスクーターである「ファッシーノ125」と共通プラットフォームを採用して開発されとるんです。
そうやって生産台数を増やすことで、最上級に位置付けられる「シグナス・レイ ストリートラリーZR125Fiハイブリッド」でも、現地価格で13万円を切るという、驚異的な低価格を実現できるというワケだ。よく考えると、現行シグナスたちの中でレイが一番たくさん生産されてるのかもなぁ。
文:小松信夫