以下レポート:三橋 淳
オフロードバイクが好きでよかった、そう思える道
道は徐々に高度を上げて、どんどん山深くなってきた。この、山に踏み入れる感覚、ゾクゾクする。舗装路だけのツーリングでは味わえないアドベンチャー感だ。
それでいて道はずっとフラットなまま。ここは林道ビギナーにもおすすめできる絶好のルートかもしれない。
そう思ったのもつかの間、登り続けると様子が変わってきた。道が、道が……整備されていないじゃないか!
草ぼうぼうになってきたよ!
道幅もだんだん狭くなってきて、軽自動車がギリギリ通れるくらいに。当然、路面も荒れている。石が出始め、溝ができ、ついには大きなクレパスまで! 本格的なアドベンチャールートになっちゃった!
前言撤回。初心者には少々手強いぞ。慣れていれば平気だけれど、これはもはやフラットダートではなくワイルドな荒れた林道だ。
そんな荒れた道がしばらく続くと、突然展望が開けた。そして路面は再びフラットに。ずいぶん山奥なのに、こんなフラット林道が出現するなんて! こりゃ苦労するぞって思っていたのに。
「アフリカツイン最高!」な気分が戻ってきた。
連なる山々に沿って走る林道がどこまでも見える。これからあそこを走るのかぁ。崖の向こうに見える道を横目で見ながらトレースするのはなかなか楽しい。
しばらく走り続けると、徐々に高度が下がり始めた。林道の終点は近そうだ。もう終わりなのか。寂しく感じながら残りのダートを噛み締めるように走る。オフロードバイクが好きでよかった! と心底思う。
そうして川沿いまで降りてきた。ここまでくるともうすぐゴールがやってくる。
道を作る上での基本的なルールがある。
まずは川沿いを走って山の奥まで入り込み、滝などが出てきたら、川沿いを離れてタイトターンを繰り返しながら高度を稼ぐ。その後、山の斜面を縫いながら走り、尾根へと出て、峠を越える。これが一般的な山道の作り方だ。
それにしても渓谷も美しい。ここは本当にいい林道だった。
こうしてダート区間終了。大谷大栃林道、完抜けしたぜ!
その距離26km。走りごたえは十分、さすがは岐阜県、昨日に続いてロングダート天国だと思い知らされる。
しかもまだ時間は12時、お昼だ。この勢いのまま次の林道を目指すぜ。狙うは絶景林道と名高い、めいほうスキー場を抜ける山中峠だ。
レポート:三橋 淳