ホンダの原付二種スクーター「Dio110」は2021年にフルモデルチェンジし、新設計のエンジン&フレームを採用。さらにスマートキーを搭載するなど魅力を格段にアップした。この記事では、1カ月間街乗りを中心に普段使いしてみて分かったことをお伝えしたい。

普段使いしてみて分かった「Dio110」のあれこれ

画像: 普段使いしてみて分かった「Dio110」のあれこれ

乗り心地

Dio110はホンダの原付二種スクーターの現行モデルでもっともリーズナブルなモデルとなる。しかし快適性は予想に反して高いものだった。

バタバタっとしたひと昔前の原付の走り心地とは異なり、なめらかだ。タイヤがアジアや欧州のトレンドで採用されるようになった前後14インチなのも大きい。

サスペンションは前後オーソドックスな仕様だけれど、街乗りでの不満はいっさいなかった。エンジンの振動が少なく、加速もスムーズ。あらゆる面でマイルドさを感じた。


画像: 乗り心地

排気音

エンジンやマフラーから出る音はとても静か。住宅街にある自宅へ夜中に帰る際は、とてもありがたかった。

近年は、純正マフラーでもけっこういい音を奏でるバイクが増えているが、Dio110は趣味性より利便性を追求したモデルなのだと、静粛性能からも感じられる。


足つき性・サイズ感

コンパクトな車体は、それだけで都心部では魅力となる。スーパーの駐輪場などで、PCXだとためらってしまう空間にDio110ならヒョイと入れる。そんな場面がたびたびあった。

シート高は760mm。身長175cm・体重70kgの筆者は、スニーカーでも両足かかとまで余裕で接地した。ベタっと足がつくと、またがったまま前後に軽々動かせるし、雨の日も安心。車重はわずか96kg。

ライディングポジションは、ゆったりとしているとはいえないものの、一人で乗っている分には、お尻の位置を好きなだけ前後に移動できるので窮屈に感じることはなかった。


画像: 足つき性・サイズ感

シート

シートは少し硬く感じた。リード125やPCXのシートと比べてしまうとクッション性はイマイチともいえる。ただ、この硬さは、長い目で見たときの耐久性を求めた結果なのかもしれない。

細かいことだが気になったのは、お尻のポケットにいつも入れている長財布がグイグイ押し出されるということ。人それぞれの話でしょうけどね。

画像1: シート

画像2: シート

収納スペース

シート下の収納スペースの容量は約18L。原付二種スクーターの中では小さい方だろう。

B5サイズの雑誌がぴたりと入る。ヘルメットはものによりけり。筆者が使っているジェットヘルメット(アライ VZラム59-60cm)は、ギリギリ入った。ただシートを閉じる際に嫌な感触があったので、推奨はできない。レインスーツとプラスアルファ何か入れるくらいの使い方がよさそうだ。

ヘルメットホルダーになる突起が2カ所に備わっているので、入らない場合はここに掛けるといい。


画像: 収納スペース

リアキャリア

リアキャリアはスタイリッシュで今風なデザイン。使い勝手の面では、昔ながらの格子状のタイプの方が個人的には好み。

トップケースが後付けしやすいように工夫されている。肉抜きされた部分を上手く使えば、コード等を使った積載も可能。ただ給油口がシート下にあるため、リアシート部分にまたがってパッキングを行なうと給油時に面倒だ。


画像: リアキャリア

アイドリングストップ機能

ホンダが早くから採用してきた「アイドリングストップ・システム」はこのDio110にも備わっている。年々進化するこの機構は、いまやストレスをほとんど感じさせない仕上がりだ。

スロットルグリップの付け根にON/OFFの切り替えスイッチがある。


画像: アイドリングストップ機能

スマートキー

新型2021年モデルで「Honda SMART Keyシステム」が採用された。普段使いのスクーターで、この恩恵はかなり大きい。キーはジャケットのポケットにでも入れておけばOK。

旧型と新型どちらにしようか悩んでいる人がいれば、「スマートキーが便利だから新型の方がいいですよ」と筆者はおすすめしたい。


フロントポケット

新型はフロントポケットにフタが備わった。このポケットは500mlペットボトルがちょうどよく入る幅になっている。スクーターの定番装備であるコンビニフックももちろん搭載。


画像: フロントポケット

燃費性能

今回もっとも驚いたのが燃費のよさだ。WMTCモード値は54.9km/L。実走計測では、56.8km/L・47.0km/Lをマークした。ガソリン高騰が続く昨今、レギュラーガソリンで50km/L前後走れてしまうという性能は、ものすごく魅力的。

200km程度走ると、ガソリンメーターが点滅し始めた。そこで給油すると4L前後入った。燃料タンク容量は4.9L。

メーターはシンプルで、アナログの速度計と、デジタルの総距離計・燃料計しか備わっていない。そのため表示切替やリセットを行なうボタンはない。

画像: 燃費性能

ホンダ「Dio110」の主なスペック・価格

全長×全幅×全高1870×685×1100mm
ホイールベース1255mm
最低地上高150mm
シート高760mm
車両重量96kg
エンジン形式空冷4ストSOHC単気筒
総排気量109cc
ボア×ストローク47.0×63.1mm
圧縮比10.0
最高出力6.4kW(8.7PS)/7500rpm
最大トルク9.0N・m(0.92kgf・m)/5750rpm
燃料タンク容量4.9L
変速機形式Vベルト無段変速
タイヤサイズ(前・後)80/90-14M/C 40P・90/90-14M/C 46P
ブレーキ形式(前・後)シングルディスク・ドラム
メーカー希望小売価格24万2000円~24万5300円(消費税10%込)

文:西野鉄兵/写真:西野鉄兵、石神邦比古

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