ヤマハ「テネレ700ワールドレイド」の特徴
より長く過酷な旅に耐えるリアルアドベンチャーへ進化
往年のパリダカマシンの血統を受け継いで、2020年に登場したオフロード色の強いヤマハのアドベンチャーモデル「テネレ700」。このモデルをベースにさらにオフロードでの走行性能を向上させ、さらに装備の改良でハードな長距離ツーリングへの適性を高めたモデル、「テネレ700ワールドレイド」がヨーロッパ向けに発表された。
よりハードなオフロード走行のために、サスペンションをグレードアップ。フロントフォークは新しいKYB製のインナーチューブ径Φ43mmの倒立フロントフォークとなり、ホイールトラベルはスタンダードな「テネレ700」より20mm長い230mm。伸び側・圧側のダンパーとエアブリーディングスクリュー、スプリングプリロードも調整でき、地形や条件に合わせてサスペンションを細かくセッティングできる。
リアサスペンションユニットも新タイプに変更、ストロークの20mm長いピギーバックタイプになった。減衰特性、スプリングレート、リンク比も見直されていて、伸び側・圧側ダンパーとスプリングプリロードも調整可能。
またオフロード走行時のコントロール性を高めるために、オーリンズ製のステアリングダンパーも標準装備。18パターンの減衰設定を選択でき、地形や好みに合わせられる。
「テネレ700」ではオン・オフ切り替え式だったABSは、3モードABSに進化。停車時にメーターを介して右ハンドルスイッチで設定する。公道向けのモード1はABSオン、グリップの低いダート向けのモード2は前輪のみABSオンで後輪はオフ。モード3は完全にABSがオフになる。
270度クランクを採用しリニアなトルクを発揮する、MT-07系の689cc水冷並列2気筒エンジン自体は「テネレ700」と基本的に同じものだ。エンジンを保護するアルミ製ガードも3ピース構造の新デザイン。ステップも大型化されてライダーに高い安定感をもたらす。
「テネレ700ワールドレイド」のルックスは、大型スクリーンやLEDヘッドライトなどを組み合わせた機能的で斬新なイメージは「テネレ700」から受け継いでいるが、スクリーンやフロントカウルなど、多くの外装パーツのデザインは新しくなっている。
燃料タンクは容量がスタンダードな「テネレ700」の16Lから23Lにまで拡大されて、航続距離は約500kmまで伸びている。しかもタンクを左右に分割、それぞれをエンジン側面にまで伸びた形状にする、パリダカマシン譲りのデュアルタンクレイアウトを採用。容量アップをしながら重心は低くでき、軽快な操縦フィーリングはそのまま。
デュアルタンクに合わせてデザインし直されたシート。オフロード走行で、ライダーが積極的に動いて体重移動を行いやすいフラットな形状となり、さらに滑りの異なる2種類の表皮を使い分けている。もちろん座った状態での快適性も確保されていて、さらに脱着可能な後部シートを外してキャリアなどを装着することも可能だ。
新しい5インチサイズのカラーTFT液晶メーターは、3つの異なる表示スタイルを選択可能。車体のCommunication Control Unit(CCU)とリンク、MyRideアプリをインストールしたスマートフォンと連携もできる。メーター右下には、ナビゲーションなどの機器に電力供給、各種デバイスを充電もできるUSBタイプAポートも設けられている。
ヤマハ「テネレ700ワールドレイド」のカラー・海外での価格・発売時期
「テネレ700ワールドレイド」のボディカラーは、往年のパリダカマシンを想わせるアイコンブルーと、シンプルで精悍なミッドナイトブラックの2色を用意。ヨーロッパでの発売開始は2022年5月頃の予定となっているが、国内向けモデルの情報は現時点ではない。参考までにイギリスでの価格は、11600ポンド≒約182万円だ。
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ヤマハ「テネレ700ワールドレイド」の主なスペック
全長×全幅×全高 | 2370×905×1490mm |
ホイールベース | 1595mm |
シート高 | 890mm |
車両重量 | 220kg |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒 |
総排気量 | 689cc |
ボア×ストローク | 80×68.6mm |
圧縮比 | 11.5 |
燃料タンク容量 | 23L |
変速機形式 | 6速リターン |
キャスター角 | 27° |
トレール | 105mm |
タイヤサイズ(前・後) | 90/90-21・150/70R18 |
ブレーキ形式(前・後) | φ282mmダブルディスク・φ245mmディスク |
まとめ:小松信夫